欲しかった手紙

雨宮まみさんの本を読んで、私はヘーゼルナッツ・ラテというものを知った。

『湿地』や『笑う警官』といった北欧のミステリーにも興味を持った。

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雨宮まみさん『まじめに生きるって損ですか?』より以下抜粋

「なにかをすることではなく、自分を責めるのをやめることが、大事なことではないかと思います」

「『やってみる』ことよりも『安心して』やることが大事なんだと、なんとなく覚えていてもらえると嬉しいです」

「もっと努力しなきゃいけないんじゃなくて、もっとラクをしたほうがいいんじゃないか」

「命をあげたくても、あげることはできませんでした。

世の中は正しくはありません。正しくないんですから、安心して間違えてください」

「どのような考えのもとに、どのような立ち位置にいるかなんて実はあまり重要じゃなくて、『生きている』という事実だけがすべてなんじゃないかと思うこともあります」

「この戦いは、あなただけのたった一人の戦いではなくこの世を少しでも自由な、呼吸のしやすい場所に変えてゆくための戦いなのだということを思い出してください」

「別に美しさや可愛さをみんなが目指さなくてもよくて、ただ自分に快適な服を着ていたい、ラクな状態でいたいって人もいますよね。それに対してゴチャゴチャ言ってくる人の言葉を聞くのも、地味にこたえることのひとつです」

「私は、生きることよりも正しいことなんてこの世にないと思っています。生きているということがもっともタフで強いことだと思います」

私は人が怖いですし、未来が怖いですし、消えてしまいたくなるのは当たり前のことだと思っています。日常的に感じる気持ちです。みんな、生きているだけで偉いと思います」

「苦しいことから逃げないことよりも、楽しそうなことから逃げないことではないでしょうか」

「どうか、この世界からいなくなる前に、楽しいことをしてください。何かに夢中になって、自分のことや周りのことを見つめるのを忘れる瞬間を味わってください。生きている限り晒される比較の視線から、心底逃れられる時間の中に浸ってみてください。もっとちゃんと逃げてください」

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初めて著者近影を見たとき「なんて綺麗なひとだろう」と思った。

こんな美しいひとに、容姿のことをゴチャゴチャ言うひとがいたというのが信じられなかった。

インタビューだかお買い物の記事では、ターコイズブルーのノースリーブのトップスを召されていた。

こんなにターコイズブルがーが似合うひとがいるのか。

耳の辺りまで切った丸みのある髪型と黒髪と大振りの天然石のアクセサリーに、それはそれはよく映えていた。


一度でいい。雨宮まみさんから手紙をもらってみたかった。

私だけを想って書かれた、私宛ての彼女の言葉を夜更けに開いてみたかった。

私に合う飲み物をおしえてもらいたかった。

私が長い長い間、自分の身体を枷だと感じていると書いたら、彼女だったら何と答えただろう。

「立ち位置も考えも重要じゃない。『生きている』ことよりも正しいことなんてこの世にない」

こんなお返事が、私に合う飲み物と一緒につまびらかに書いてあるだろうか。


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