見出し画像

浴衣デエト

お盆明けのこと。

以下(オデエト当日)は、月が綺麗ですねの篇
と同日の日中の話である。

お盆明けに会いたいですと、
ワタシからカレをお誘いしてみた。
すんなりオッケーをいただく。

その日は『和』で向かいます。と、伝えた。
最初は『?』だったようだが、
カレはすぐに理解してくれた。

ワタシは、前の前の前からずーっと
浴衣姿でカレとオデエトがしたかったのだ。

和で向かう旨を伝えると、カレは
オデエト先を考え提案してくれた。

浴衣でも暑くなく、バエる場所。
カレのチョイスセンスは抜群だ!

オデエト当日、宣言通りワタシは夏の和、
浴衣姿で向かった。

いつものランチ場所付近で待ち合わせ。
先ずは腹ごしらえだ!

カレがお店付近でワタシを見つけて
声をかけてくれた。

そのときの第一声が、
立派ですね。

???
リッパ。。。
体格か?風貌か?恰幅か?
何が?

予想外の第一声に戸惑う。

その後、本当に綺麗ですね。
と、フォロー(?)してくれたが、
第一声のほうが気になる。

立派。りっぱ。リッパ。
???

両国・蔵前を彷徨いていたら、
声をかけられるほどのリッパか?!
まいったなぁ。

寄りきり。押し出し。上手投げ。
カレに対して恋の白星をあげるゾ。
それほどのリッパということか?!

そんなこと考えながら、ごっつぁんです!と
美味しくランチをいただき、
いざ🍘へ!ではなく、

この日はカレ提案の博物館へ
向おうとすると、

その前にランチのお店のトイレに
イソイソイソと入るカレ。

ん???
入ったものの戻ってこなーい。
しかも長ーい。

ん??どうした?!💩?!
心配になる。

お便秘?それとも水便?
わかるわかる。
確かに夏場はピーピーになりやすい。
うんうん。
ここはおとなしく待とう。

と、思っていたら、カレが現れた!

浴衣姿で!!!!!

ビックリだ!!!

何が起こったのかわからないまま
お店を出る。

おそらく大将も、おかみさんもビックリ
したに違いない!
そして、やっぱりこの2人なにかある!と!
確信したに違いない。
勿論、互いに聞けない、聞かないが。

ワタシもビックリはしたけど、
それよりもとっても素敵なカレの浴衣姿。
ウットリしてしまった。
トイレの中でちゃちゃっと着替えたようだ。
早着替えにもウットリだ。
熱湯コマーシャル並みの早着替え!
あっぱれ!大先生!

何よりワタシに合わせて浴衣を着てくれる、
その気持ちが嬉しくて嬉しくて
胸が締め付けられた。

まさか2人で浴衣オデエトができるとは。
ああ、嬉しすぎる!!!
もう、ワタシにとっては大金星だ☆
ごっつぁんです!

その後は博物館を楽しみ、夜まで過ごした。

帰りは最寄りの駅までカレが送ってくれた。

そのとき、綺麗なお月様が空から
ふたりを見ていた。

こちらもお月様を見上げ
思わずお月様と目が合い、

「月が綺麗ですね」とワタシが呟いた。

そうですね、と無機質に返答するカレ。

一緒に月を見るのは初めてですね。
とワタシ。

そうでしたか?とカレ。

あぁ、前は寒くて月どころではありません
でしたね。とカレが振り返る。

前とは、、、
年末に2人忘年会をしたときのこと。

年の瀬でどこのお店も満席。
夕食難民となった2人は途方に暮れながら
彷徨った末、お洒落とは程遠いが
すぐに入れる町中華で落ち着くこととした。

店内は昭和な雰囲気で、温かみがある。
何の変哲もない町中華だが、
本当にキラキラした記憶として残っている。

キラキラひかって、温かみのある記憶だ。

そこでカレの大学、院生時代の話を
初めて聞いた。
初めて聞くカレの話しはどれも新鮮で
全てがキラキラしていた。

キラキラとした温かみのある情景とは
ウラハラに、
その日はとてもとても寒い日で
月をみる余裕などなく、
帰り際寒がるワタシにカレがマフラーを
巻いてくれた。

暖かく、カレのにほいがついたマフラー。
カレがワタシの首にクルリと巻いてくれた。
心も身体も一気に暖かくなった。

そして、地下鉄口でそっと口づけをして
それぞれの家に帰っていった。

夜。カレと過ごすのはそれ以来だ。

従って、月を一緒に見るのは初めてだ。

いつもは別々の場所から見ているお月様。
その日は一緒に見ることができた。

嬉しさのあまり、
お月様を一緒に見上げた翌日
ワタシは自分の気持ちを
メッセージにしてカレに送った。

********************
あなたと一緒に見上げた月。
とっても綺麗でした。

私が見ている月を、
別の場所から一緒に見ているかもしれない…
と、いつも想像しながら空を見上げて
いました。
********************

かの有名な文豪の翻訳を拝借し、
ワタシなりに大好きを伝えたつもり。

その答えは、、、
はぐらかされた。

口頭でも「そうですね」と淡白な返事。

メッセージでも逃げ切られ、
月が綺麗へのまともな返答はなし。
カレは博識なのできっと
うまいことはぐらかしたに違いない。

ワタシの大きく膨らんだハートは、
2日目の風船のごとく縮んできている。
シュボボボボ…

相撲は一人ではとれない。
相手がいるからこそとれるもの。

白星も黒星もあげられない。
幕下でも横綱でも皆一人相撲は無理だ。

どこが行き着く先かも見通せない。
今が何場所かもわからない。

そんな鬱々とした日々を過ごしている。

両国でスカウトされそうな(?!)
リッパな浴衣姿のカノジョの大きな小言。

ノコッタ。ノコッタ。
ドスコイ。ドスコイ。
一人相撲はまだまだ続くのか。。。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?