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リアリスティック・サスペンス

私は小説家だ。主に殺人事件を題材にしたサスペンスものを書いている。

私にはこだわりがある。万年筆のインクを黒色ではなく赤色にしていることだ。

そうすることで殺人事件の血みどろな様子が思い浮かんできて万年筆の進みが良くなる。

また私は赤色が好きなので、好きな色を見ながら小説を書けるという精神的な面でも良い。

書くものが定まったら原稿用紙を準備して徒然なるままに赤い文字を万年筆で書きこんでいく。

私の作品に対する読者の感想は、

「情景がリアルで引き込まれる。」

「リアルすぎて引けてくる。けど読みたくなってしまう。」

といったものだ。

どうやら私の作品はリアリスティックなサスペンスとして評価されているらしい。そう思ってもらえているのであれば、私の本望。

赤いインクは他人の血。私の家には7L程の血が保管されている。一作品に使うインクの量は短いもので80mL、長いもので300mL。今まで出版した小説の数は14作品。

私が殺人事件の犯人とも知らずに私の作品を読んでもらっていると考えていると、背徳感とスリルで気持ちがいい。

おわり

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