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デジタル地図で森林管理をテーマにウェビナー実施!管理されていない森林は…

GIS芸人いりやまです。

弊社のウェビナーがご好評をいただいているようなので、内容を公開します。

これまで放置されてきたと言わざるを得ない森林。新たな制度のもと森林整備をすることとなった自治体。そこで発生する様々な課題課題をどうやっ
て解決して森林整備をどのように進めていくのか。。。答えはGISにあるかも?という内容です。

|日本人にとって森林は大切なもの​

まずは森林の状況から説明していきます。森林は私たちの生活と密接に関わっています。日本の国土が70%が森林と言われますのでこれはごくごく当たり前の事ですね。

では森林の現状は良いのか悪いのか?悪いのであれば森林をあるべき姿にしなければなりません。

といっても森林や林業を身近に感じない人も多いと思います。皆さんにとって森林とはどのようなイメージでしょうか?「緑や風景、空気もきれいになる」は異論ないと思います。

一方、林業はいかがでしょう?森を育て、木を材木にする仕事ですね。
ただ、こう思う人もいるようです。「外国の木材によって国産材の消費は減り、林業は衰退した」

|林業は成長産業!​

これは、かつては正しかったと思います。ただ現在は状況が変わってきているようです。

林野庁の資料の中では、林業は条件付きで成長産業とされています。まず、上部の赤い矢印のあたりを見ていただくと、国産材の供給が増えています。合わせて国産材の需要も増えていますということ等が示されています。

次に下部の青い矢印のところこのあたりを見ていただくと、ここでは林業従事者の高齢化が進んでいるというようなことも示されます。一方で森林の所有者についても高齢化は同様に進んでいるとも言われています。

総じて高齢化は林業にとって課題となっています。

さらに、そんな中で「儲からないという長年の思い」であるとか「いざ林業をやろうと思ったら自身の持つ森林状況がわからない」とかによって、林業へのモチベーションは下がってきたことも課題として挙げられています。

まとめますと、「森林資源は成熟しつつあり、ニーズもあって追い風である」、ただ「これまで放置してきたツケや課題もあります」。これらの課題をクリアすれば、今後の林業は成長作業になっていくということです。

いかがでしょうか?みなさんの森林・林業に対する見方はどのように変わったでしょうか?

一方で、そこの中では森林経営の循環も成長産業となるための条件として紹介されています。林業が持続的な産業として継続していくための条件です。

林業では「植林・間伐・伐採・製材/供給といったものが循環し続けなければならない」ということも言われています。当然ですが「切ったら終わりているのでは持続しない」ということです。

こういう状態である森林や林業に対して現在、行政が”あるべき姿”に向けて何をしているのか?を引き続き説明していきます。

|森林経営を支える制度とお金

平成24年に森林経営「計画」制度、平成31年に森林経営「管理」制度が創設されました。

これは、森林植林間伐伐採これをどんどん行えるようにした制度だと考えてください。モチベーションが下がった就任所有者にじゃあどうやってやらせるのということです。

自分で森林経営をしなくても外部に経営を任せられる(委託できる)ようにしたということです。

ただ、現実問題としては、儲からない森林は当然、委託を受けてもらえないので、整備が進まないのです。

ですので、この制度の中では儲からない森林は地方自治体への委託ができるようにしています。

ただ自治体も収入がない森林では困るので、森林環境税・森林環境贈与税というものが創設されています。

委託してでも、財政支援をしてでも、森林整備をしなければならないということになります。

|間伐をできる自治体とできない自治体​

ではその委託を受けた地方自治体に関する森林整備についてのお話をしておきます。

まず「森林整備をする」とはいったい何をすることなのか?

これは基本は「間伐」ということになります。
間伐とは樹木を間引きするという作業ですね。

・“間伐”って急に言われても・・・​

ただしこの間伐に対して、地方自治体の向き合い方には(ヒアリングを通して)2種類あるなぁと感じています。

それは森林が多いか少ないか。
まず森林が多くて、元々積極的に機能していた自治体は、森林環境税によって活性化は進んでいくでしょう。
逆に、森林が少ない自治体は、そもそも何やるんだ?間伐ってどうやるんだ?となっている感触です。

ひとつ自治体の例を紹介します。
間伐を積極的にやったことがないので、まずわからない。そこからスタートしてやっとの思いで経営管理制度を運用し始めます。そこで、大きな問題が発生してきます。

・資源量調査と境界調査

それは間伐をするために必要な情報の品質が悪いということです。

これらの情報は本来は森林簿とか森林計画として管理されているはずのものです。ただし、放置している場合も多く、品質はイマイチなこともあります。

つまり、どんな樹木が森林にあるの?この森林は誰の?はっきりしないわけです。経営管理制度の中で間伐を進める中では、これらを明確にしてその上で森林を効率よく集約していかなければなりません。

それができないのでつまずきます。

じゃどうするか?地道に、データを改めて整備するしかないということになります。森林資源量調査と言います。

樹木の種類や本数などのデータ作りということになります。

次に誰の森林なのか?はっきりさせることを境界調査と言います。これをマンパワーでやるととても時間がかかるので、マップクエストではデータを作ったり修正したりには、デジタル地図を活用していくことをお勧めしたいと考えています。

・資源量調査の課題​(どんな樹木が森林にあるの?)​

まず森林資源量調査の課題を説明します。
どうやるか?まずどなたでも思いつくのは目視で確認です。しかし、広大な森林で1本1本調べるということはなかなか難しいでしょう。

サンプリング(抽出調査)ではどうか?精度に問題があるかもしれません。では、航空測量はどうか?これもなかなか実際は厳しかったりします。

・境界調査の課題​

次に境界調査の課題です。
これは所有者の明確化をすることになります。ただ森林には地図に準ずる図面があるだけ、というようなことも多いので、図面を適当につなぎ合わせて仮の境界を作っておいて、所有者の意見も聞きながら、現地で境界を地道に明確にしていかなければならないのです。

とても難解で手間のかかる作業だと思います。

調査には、「想定した時間が倍かかった」とか、調査を依頼した地方自治体からすると「半分しかできなかった」そういった声も大きいです。

森林管理のためのデジタル地図の活用法​

これをデジタル地図で解決していきましょう。

森林管理システムでは調査データを集約して管理する機能を持たせる必要があります。そしてそのデータを使って間伐の実施の検討や計画を作るために利用していきます。

森林境界システムでは、図のタブレットのような形で、現地にデジタル地図を持ち込んでいきます。

・森林管理システム​(森林『資源量』調査の時間を短縮できます。​)

森林管理システムでは、現地踏破で記録する代わりに、UAV空撮画像を取り込んでいきます。
これにより、1ヘクタール当たり8人日から4人日に短縮するとも言われています。

・森林境界調査システム​(森林『境界』調査の時間を短縮できます。​)

次に境界調査システムです。
これは現地でのアナログ的作業が大変だという話した。そこで、現地にデジタル地図を持ち込み、調査をデジタル地図の上で行ってしまいましょう。タブレットがあるといいですね。

現地で境界確認作業を行いながら、タブレット上で入力していきます。事務所での作業も減りますし、事務所と現地の移動時間も減ります。

また、GPSを使ってみたり、オフラインで森の中でも使えるマップを使ってみたり、境界杭などのメモ書きも記録できたらいいかもしれません。

|まとめ

森林へデジタル地図を導入すると調査活動を効率化させることができます。また、調査結果を活用して森林経営管理制度の運用の品質も上げることができるというお話をさせていただきました。


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