#7 いずれ上梓してみたい。/コトノハーバリウム
「上梓(じょうし)する」という動詞は聞いたことがあるだろうか。これは、「本を出版する」ことの言い換えとして用いられる言葉だが、なぜ上梓するというのだろう。
鍵は「梓」の方にある。この字は、「あずさ」という意味の他に「版木」という意味があるのだ。活版印刷が発明される以前の昔の中国において何かを出版する場合、梓の木に彫る木版印刷が一般的だったのである。このことから書籍を刊行することを「上梓する」と呼ぶのだ。
梓は硬くて丈夫な木材で、木版の他に建築に際しての材木にも使われたらしく、「梓人」という熟語になれば建築家を意味する。それくらい梓の木は中国の人々にとって有用な木材であることがわかる。
そうなると興味が湧くのは「あずさ」の木が如何様な木であるかだ。そこでGoogle大先生に「あずさ 植物」と聞いた。すると驚きの結果が出たのである。出てきたサイトによると、今現在「あずさ」という和名の樹木はないというのだ。
昔の日本における「あずさ」については諸説あるらしい。例えば梓弓と呼ばれた弓の材料の「ミズメ(ヨグソミネバリ)」(通説)。もしくは「大和本草」において梓の欄に掲載されている「キササゲ」。他にも「本草綱目」の梓の項目に載っていた「アカメガシワ」など。サイトで調べると他にも噴出してくる。それらはバラ科にカバノキ科、ノウゼンカズラ科など、様々である。確かに匂いや葉の形に似ている部分はあるらしいのだが、イマイチ判然としない。
もっと調べたところ、辞書における「梓」はミズメとキササゲの別名として掲載されている。そして現代中国語においては、梓はキササゲのことを指すようだ。中国のキササゲ(トウキササゲ)は材木として有能らしいことから、私の中では「上梓する」の「梓」はトウキササゲを指すことで一応の結論に至った。
ということで、今朝は「上梓する」を紹介した。いつの日か本を出版するような経験をしてみたいが、そのためには他の人生経験を積むか、専門的・有用的な知識が必要なので、上梓するのはだいぶ先になるだろう。
ではまた。
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