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#14 慇懃、重要だけど読めない。/コトノハーバリウム

 コロナが収束したら行いたいことの一つに、親しい人との食事会(成人の人なら飲み会)が挙げられるだろう。

 私はまだ飲み会というものは未体験なので実際に遭遇したことはないのだが、「今日は無礼講だ!!」というセリフがドラマ中でよく聞かれる。

 「慇懃講(いんぎんこう)」これは無礼講の対義語で、参加者が礼儀を崩さない集会のことを指す。

 慇懃とは、無礼の反対の意味、つまり真心がこもっていて、礼儀正しいことである。(参照:コトバンク)
 ここで少し興味深いのは、慇懃の二つ目の意味として「非常に親しく交わること」も並べられていることである。「親しき中にも礼儀あり」が間接的に1語で表現されている点が面白い。

 正直なところ、わざわざ「今晩は慇懃講で」なんていう機会はないと思うので、雑学中の雑学かもしれないが、「慇懃」自体は意外にも使う場面があるらしく、思いの外様々なサイトで取り上げられているようだ。 

 使用例の一つに、「慇懃無礼」という四字熟語がある。これは意味が反対な二字熟語を二つ並べたものだが、慇懃すぎてかえって無礼、つまり「あまりに丁寧な態度がかえって嫌味で誠意を感じられないさま」また、「表面は実に丁寧だが、本心はとても尊大で相手を見下しているさま」という意味になっている。


 そして、この慇懃無礼の略だと思って慇懃を使ってしまう人が物知りの中にもいるようである。この場合、辞書的な意味と発言者の思う意味が正反対になってしまうので注意が必要である。「慇懃」及び「慇懃無礼」の意味をしっかり知っている私たちは使われた文脈や言っている人の態度に注意を払って、意味を汲み取らないといけない。

 ということで今日は「慇懃」を紹介した。そもそも読めなかった単語を読めるようになるのだけでも面白いことである。意味を忘れても調べることができるように、せめて読み方だけでも覚えて貰えば幸いである。

 ではまた。

 

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