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#26 役にたつ耳たぶ型。/コトノハーバリウム

 「ネジ」と言われたら、どんな形状を思い浮かべるだろうか。

 私は、円筒もしくは円錐に螺旋状の溝が入っていて、いわゆる頭の部分に様々な形状の穴が彫られている。と、私は想起した。

 では穴の形はどうだろう。最も一般的であろうプラス、マイナス、や、家具を組み立てるのに使うような六角、くらいが日本では知られているだろうか。

 さて、今日紹介するコトノハは、「ヘックスローブ」である。これはネジ穴の形状の名前で、アキュメント社が商標登録している「トルクス®」という名称で通常は使われることが多いようである。そのため「トルクス®」の方なら聴いたことがある、という人はいるかもしれない。(以下は一般名称のヘックスローブで記述)

 実は、私が知らなかっただけで「新開発!!!」というわけではないらしい。(日本に入ってくるのはもっと後だが、)1967年にアメリカで開発されて以降、自転車やバイク業界、精密機器などに利用されているらしい。

 まずその形だが、「ヘックス」というのは6のこと。ヘキサゴン(六角形)のヘキサである(クイズ番組が懐かしく感じられるが読者の方はどうだろう)。ローブは耳たぶ(earlobe)の意。つまるところ6つの耳たぶという意味合いであるが、私が見た感じだと、緩やかな六芒星といったところだろうか(花みたいだと形容する人もいたので、関係ないけど同じ図形から受ける印象の違いを少し感じている)。

 そして肝心の凄さだが、ヘックスローブである一番の利点は、力が効率よく伝わるという点にある。頂点に力が加わる傾向にある六角ネジに比べ、より面で捉えるヘックスローブ穴のネジの方がトルク(ねじる力)が満遍なく伝達される。

 この第一の利点、力が「点」ではなく「面」にバランス良くかかることによって、「ねじ穴が潰れにくい」「カムアウト現象(押し込み続けないと捻る力の方向がずれてドライバーが穴の外に飛び出してしまうこと)」も防げるという。一石なんだか。

 そして副作用的に、その珍しい形状により素人には開けづらくいたずら防止という観点で一定の効果があった(今は100均でも売っているので計画犯には対応ができないが)。製作者側が消費者に「このネジはむやみやたらに緩めないで欲しい」という意思表示をするときには未だに役立っているようで、冒頭に挙げたように自転車やバイク、精密機器のような素人にはなかなか直せない製品や、弄ると使うときに危ないものなんかに利用されているのはそのためである。

 また、単にヘックスローブと言ってもバリエーションがあるようだ。驚いたのは、ねじ穴の中に突起がついていて専用のドライバーでないと回せないように進化したイタズラ防止になっているものがあったり、外側にヘックスローブ型の突起があり凹んだ器具でないと回せないものがあることである。

 ということで今日は「ヘックスローブ」を紹介した。ネジ穴に注目する機会はあまりなかったが、穴一つにも奥深い世界が広がっていることがわかった。

 今度自分の自転車を注意深く見てみたい。(なお、iphoneには小さいヘックスローブが見つけられた。)

ではまた。  

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