最速155㌔とスプリットの精度向上 「自分を信じて頑張り抜きます」!
VOL12 投手 加納雅也(かのう・まさや) 背番号21・新入団
終始落ち着いた口調で丁寧に話し、自分を誇大に見せることをしない。ありていに言えば今時珍しい謙虚な好青年だ。その姿勢は練習時にも見て取れ、ことさら叫声をあげることもなく黙々とボールを追いかけている。
神奈川県小田原市で生まれた。父親と兄はかつて野球をやり、「母も野球が好きです」と微笑む。そんな野球一家に育ち、軟式野球を経て、自宅近くの県立西湘(せいしょう)高に入学し硬式野球をスタート。エースピッチャーとしてマウンドに立ったが、「目指していた甲子園は県予選敗退が続きました」と苦笑。「当時からプロに進みたいという気持ちが心の奥にありました。でも自分の能力はそんなに高くなかったので、周りには言えませんでした」と、照れ臭そうに表情を崩す。同校卒業後、彼は一般受験で関東学院大に進学したが、先輩に続く格好で大学の野球部には入らず、クラブチームで野球を追い求めた。
自分の奥底にある気持ちに正直に
彼はクラブチームに4年間在籍した。都市対抗野球の神奈川県予選等に先発していたが、本選出場は叶わなかった。だが、「その頃に球速が上がり、もっと上を目指したいという気持ちが強くなってきました」という。そして、レベルアップのための選択肢の1つとして独立リーグに着目。ただ、大学卒業を控え彼の気持ちは微妙に揺れていた。「僕は大学4年の時に一般企業への就職活動もやっていて、会社説明会にも行きました。でも、やっぱり野球が頭から離れず身が入りませんでした。そこで就活をやめて独立リーグで(心の奥にある)自分の気持ちに挑戦しようと、昨年9月にトライアウトを受けて愛媛に来たのです」。
ストレート球速10㌔アップに挑戦
持ち球はストレートにスプリット、カーブ、ツーシームで、「今、スライダーを練習中」という。決め球はスプリットで、「三振が取れます。いい時は136~137㌔の球速が出ます」と自信を隠さない。また、「ストレートと球速が余り変わらない」というツーシームも第2の武器で、ファールを稼いだり、バットの芯を外してゴロに打ち取ることができるという。ストレートは3月の高知FDとのオープン戦でMAX145㌔を記録し、「入団してから3㌔速くなっています」と上り調子だ。ただ、この独立リーグでもストレートの高速化が顕著に進むなか、「僕は155㌔に上げたいんです。150㌔じゃなくて155㌔です」と貪欲で、「155㌔を出してこそ(ドラフト指名の)可能性が高まると思います」との読みがある。そのためチームメイトで最速158㌔を誇る廣澤優選手から「球速アップのメカニズムや練習方法を1から教わって練習しています」と、〝155㌔計画〟を実践。「10㌔アップは大変ですが、自分を信じて頑張り抜きます」と、震える心をそう表現した。
入団後初登板となった3月31日の香川OG戦は、中継ぎとして2イニングを投げ被安打1、奪三振1の失点0。初先発の4月6日の高知FD戦は、6イニングを投げて7安打を喫したが、要所を6つの三振で切り抜け失点は僅か1。腕が振れた時のストレートとスプリットのキレは威力十分で、首脳陣もその粘り強いピッチングに評価を高めたに違いない。彼自身は「先発がやりたい。先発で結果を残したいです」と意欲を高めており、ストレートの球速アップとスプリットの精度向上に全力の構えだ。端正な顔立ちからも一見するとやや大人しげに映るが、この若者の胸中に流れるのは並々ならない負けん気とたぎる情熱だろう。「この1年でNPBに行くつもりです」と、自ら宣言した。
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