この感動は誰のものだ? ブルーピリオド 1 感想

いろいろな巻のネタバレを含みます。ご注意ください。

【刺さった場面・セリフ】

「この感動は誰のものだ?これは俺の感動じゃない。」

ヤンキー友達と渋谷でサッカーを見ている場面。

普段、コンテンツの消費者側に回ることが圧倒的に多いと感じている。音楽、スポーツ、アイドル、漫画など、「感動させるため」に作られたコンテンツで感動するのはお手軽でとても楽しい。だが、この場面をみて自分の感動とは何かを考えてみた。自分自身で獲得し、体感した感動は、他者に与えられた感動とはかなり味が違う気がする。

もちろん、様々なコンテンツは最高に楽しいし、多様な思想に触れることができる。しかし、インプットされる感動だけではなく、自分から発したものによるアウトプットの感動の両輪が重要なのではないかと感じた。

「やっぱこの辺りが座りがいい 少し高めの社会のレールの上」

藝大受験を悩む場面。

社会のレールの上、と言われると従っているニュアンスが強い。ただ、少し高めのレールの上。レールには乗っているし、下も十分見える高さにいて、そこから降りる心理的抵抗はかなり大きいものだと思う。実際八虎は早慶余裕と言われるレベルで、藝大受験に踏み切るには相当な勇気が必要だと感じた。

「「好きなことは趣味でいい」 これは大人の発想だと思いますよ」

美術部顧問の先生と美大進学について話す場面。

好きなことを仕事にできるなんてほんのひと握り。斜に構えて言っているわけでもなんでもなく、素直にこの考えを持っている人は多いと思います。私自身もそちら側です。大人の発想は、確かに結果的には優秀で、合理的な結果になることも多いかもしれないですが、模範解答の先の答えには辿り着けないものかもしれません。ここで、合理的ではなくても魅力的な決断をできる勇気がとてもかっこいいと感じました。


【雑談】

ブルーピリオドは一話が長めなことや、作品内の作品を細かくみたいこともあって、読むのにかなり体力がいる漫画ですね笑

恋愛要素はあまり気にしていませんが、八虎は森先輩をどのように見ているのでしょうか。「祈り」の絵画への憧れ、リスペクトなのか、それ以上の特別な何かなのか。

また、YOASOBIの「群青」は楽曲版ブルーピリオド一巻だと思っています笑 一巻読後は、ファーストテイクで群青を聞くことを強くお勧めします。


【1巻あらすじ】

成績優秀、世渡り上手の不良高校生 矢口八虎が、美術の授業で描いた「青い渋谷の朝」をきっかけに美術に目覚める。

趣味で絵を描ければ十分ではないか、全てをかけて美大に行くメリットがあるのか、という思いもあり、藝大を目指す決心がつかなかったが、美術部顧問との会話で藝大受験を決意。

藝大受験に向け、予備校の冬季講習に通い始める。そこで、天才的なデッサン力を持つ世田介と出会う。

・・・2巻へ

お付き合いいただき、ありがとうございました。