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中国が小麦でも世界最大の輸入国に

米農務省(USDA)は2023年4月11日、2022~23年度(7~6月)の中国の小麦輸入量を前年度比25%増の1200万トン(従来予測1000万トン)に上方修正し、エジプトとインドネシアを抜いて世界首位になるとの予測を公表しました。中国は小麦の生産量も世界最大となる見通しですが、それでも消費に追いつかず、輸入を拡大させています。既に大豆では世界の総輸入量の6割近くを占める圧倒的なトップとなっているほか、コメの輸入量も世界首位です。小麦も首位になれば、中国の爆買いによる世界の食料安全保障への懸念も広がりそうです。

USDAによると、中国が1200万トンを輸入すれば、1995~96年度の1250万トン以来、27年ぶりの高水準となります。2018~19年度は314万5000トンで、上位15位にも入っていませんでしたが、この4年間で3.8倍に急増しています。小麦は食用のほか、豚などの家畜の飼料用としても多く消費されます。

USDAの分析によると、中国は最低支持価格制度によって国内の小麦価格を引き上げており、ここ1年ほどはトン当たり450ドル前後で推移してきました。これに対し、オーストラリアや欧州連合(EU)、カナダの生産増により、ここ数カ月の小麦の国際価格は400ドル以下に下落しました。国内価格より国際価格の方が割安になったため、最近は輸入を急増させています。

特にオーストラリアは小麦生産が3年連続で過去最高となり、同国産小麦の価格競争力が強まっているため、中国は積極的に輸入しています。2022年7月~2023年2月のオーストラリア産の輸入量は66%増となりました。カナダ産の輸入量も83%増と猛烈な勢いで伸びています。小麦価格の下落により、飼料としては小麦の方がトウモロコシより割安となったため、トウモロコシから小麦に切り替える動きも広がっているようです。

2022~23年度のその他の国・地域の小麦輸入量は、前年首位だったエジプトが前年度比2%減の1100万トン、トルコが10%増の1050万トン、EUが2.3倍の1050万トンとなる見通しです。EUは、穀物黒海イニシアチブの成果もあってウクライナからの輸入が最近増えているようです。前年2位だったインドネシアは11%減の1000万トンと予測されています。日本の輸入量は3%増の575万トンと、世界9位の見通しです。

一方、2022~23年度の中国の小麦生産量は前年度比0.6%増の1億3772万3000トンと、EUを抜いて2年ぶりに首位に返り咲く見通しです。この4年間で5%近く増えています。これに対し、消費量は1%減の1億4600万トンと、2年連続で前年を下回るものの、依然として生産量を上回り、世界首位となる見通しです。国内消費を国内生産で賄えず、足りない分を輸入に頼る状況はしばらく続きそうです。

同じUSDAの予測によると、2022~23年度の中国の大豆輸入量は前年度比5%増の9600万トンと、引き続き圧倒的な首位となる見通しです。世界の全輸入量(1億6475万6000トン)の58%を占め、2位のEU(1390万トン)の6.9倍に達します。コメの輸入量も510万トンで首位、トウモロコシは1800万トンでEUに次いで2位の見通しです。

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