米国の有機食品販売が過去最高を更新 消費者の健康志向高まる
米国のオーガニック取引協会(OTA)は2023年5月10日、2022年の米国のオーガニック(有機)食品の販売額は前年比4.3%増の616億7000万ドルと、過去最高を更新したとの調査結果を発表しました。日本円に換算すると、約8.6兆円となります。米国は有機食品の販売で世界最大です。新型コロナウイルス禍や食品価格の高騰といった逆風に直面しながらも、右肩上がりで成長が続いていることが示されました。消費者の健康志向の高まりを受け、「少し高くても良い食品を」という意識が一段と強まっていると言えそうです。
有機食品として販売するには、化学肥料や農薬、遺伝子組み換え技術を使わないといった条件を満たす必要があり、米国の場合は米農務省(USDA)から認定を受けなければなりません。認証機関の審査や36カ月の移行期間を経て、有機食品と認められれば、「USDAオーガニック」のマークをつけて販売できるようになります。有機食品には「少し高いけど健康に良い」とのイメージがあるため、生産コストは高いものの、生産者にとっては高価格で売れるメリットがあります。
OTAの調査結果によると、有機食品の販売額は2013年には318億4000万ドルだったので、この9年間で2倍近くに増加しました。2022年では全食品に占める有機食品の割合は6%ということです。衣類など非食品の有機製品の販売額は1.6%増の59億0600万ドルとなり、食品・非食品を合わせた有機製品の総販売高は4.0%増の675億7600万ドルとなりました。
2020年以降は、新型コロナやインフレなど食品業界にとって厳しい時期となりましたが、OTAは「有機は短期的な経済の嵐に耐えられると証明された。米国人は依然として健康や環境への投資を続けている」と分析しています。さらに、「有機の基本的価値は依然として強く、人類や環境、経済にとってより良いものであるため、消費者は何度でも戻ってくることが実証された」とも指摘しています。
2022年の有機食品の販売額の内訳を見ると、野菜・果物が220億ドルと、最も多くなりました。野菜・果物の全販売額の15%を占めたということです。飲料が90億ドルと続き、中でもコーヒーが23億ドルと7%近く増えました。清涼飲料・エネルギー飲料も14%増の5億0300万ドルと好調でした。
乳製品・卵は79億ドルと、7%以上増えました。乳製品・卵市場の8%近くを占めました。有機のヨーグルトが15億ドル、卵が12億ドルと、ともに10%以上の伸びとなりました。
調査は2023年1月13日から4月4日にかけ、小売店の販売時点情報管理(POS)や専門家への聞き取り、企業の年次報告書などを基に実施されました。OTAは「有機は人間の健康と健全な環境への関心を結びつけるものだ。有機の将来は明るい」と、一段の需要拡大に期待を示しています。
スイスの有機農業研究機関FiBLとドイツのIFOAMの報告書によると、2021年の有機食品の販売額は米国が486億1800万ユーロ(約7.3兆円)と、2位のドイツ(158億7000万ユーロ)を大きく引き離し、圧倒的な首位でした。両者の調査方法は異なるようで、数値に違いはあります。しかし、米国は2022年もさらに増加したことで、世界首位を独走していることは間違いありません。
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