2015年6月〜2016年6月ごろつくった短歌

テレビからタモリが消えたあの日から並⾏世界を僕ら⽣きてる

柔らかいティッシュは⽢い死神が君を⾒つけた⽇は晴れていた

ドリンクバー押すと交互に降り注ぐコーラとコーラではない何か

気の抜けたサイダーみたい俺だけがプール監視の光の中で

少しでも正しい⼈になりたくて⽩Tばかり増えていく夏

「ええこれは、新種の星座のようですね」背中のほくろ油性でなぞる

月光を吸った毛布がいいでしょう 奴らは夢の中までこれない

ももいろのきりんは眠るさよならはあなたが大人になってしまう日


新しい顔はもういい バタコさんきちんと死ねる心臓をくれ

砂浜のSOSを踏み潰し、ここは異常のない無人島

くるくると夏のコンパス正しさを描いてふたり離れて眠る

ひとりでにこぼれだす水101の柴犬たちに埋もれていたい

本来の服の持ち味殺してる私の服の組み合わせ方

211号室のベランダはことしもさくらまみれでしょうか 

まだ何かあるんじゃないかと期待するエンドロールの後の一瞬

またあしたまたあしたって手を振って疑わぬのだ 打ち水に虹


犬がいる! 駆け寄ってみて少しずつ岩だったってことに気がつく

どうみても鹿用だそれ 満面の笑みでジョニーが喰らうせんべい

さわやかな風がそろりと入る網戸バリバリバリバリねこバリバリバリ

風鈴の半径12メートルをこれより夏の所有地とする

おそろいののろいのよろい ほらぎゅっと手を、このさきはたんぽぽのはら

地下鉄が光の方へ近づいてまた会いましょうと誓う うなずく

さよならは眩しいのだったもう君がぼくの隣に戻らなくても

しんじつのほたてサンドをほおばれば真珠のようにぽろぽろ落ちて


感情をあまり出さない君がする嬉しいときのへたなスキップ

ねえなんで嬉しそうなの却下って言ってる君の却下じゃない顔

沈黙の石焼き芋をゆっくりと割れば世界にあふれる光

お父さんごめんね実は7割はあの人のため編んでいました

A HAPPY NEW YEARって書き続け生きてきたのに(Aは要らない)

お風呂からあがったあとのいいにおいのまま死にたい きみとタオルと

まきびしのはずだったのに敵陣にはじけるこんぺいとうこんぺいとう

ほんとうにあたしでいいの?ずぼらだし、傘もこんなにたくさんあるし


2016/07/06  岡本真帆


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