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東雲、快晴

冬の晴れている日は、寒い日が多い。

2015年の冬に、東雲TOLOT内にあるユカ・ツルノギャラリーに山谷祐介さんのRama lama ding dongを見るという目的で行った。東雲、初めは読めなかった、しののめ。このことを書こうとネットで調べていたらいつの間にか閉廊していた。一度しか行かなかった。

東雲駅に着くと風が強くとても寒かった。足早にギャラリーへ向かう途中、倉庫のような所があったので撮っておいた。ギャラリー入り口というのはどうしてこうも難しいのか。ここか?ここか?と探し回る。そしてギャラリーの周りというのは基本それ以外何もないので、ウロウロする同士たちが結構いる。私に同じく東京アートビートを見てきた感じがプンプンする。いくつになってもミーハーであれ。情報を集めて、自らの足で出向くというのは、大切だ。

東雲tolotはあっけなく見つかったが、重厚なドアを開けていいのか迷った気がする。開けた。月曜じゃないし。階段を登って、ガラーンとした中にガラスが目に飛び込んだ。来てよかったとすぐに思った。透明な大きい板はとても綺麗でツルツルしていて良い。あと重くて動かないのが良い。椅子もよかったが、これは、ちと冷たい。

平日だったのか、人もほとんどいなくて、展示も落ち着いて見れた。モノクロはやっぱり私には難しいかなあと思う。写真はどれもよかった。

写真はどれもよかったのだが、心はギャラリー館内の方に興味が移ってしまい、ウロウロして、少し躊躇したが、冷たい椅子に座って、自動販売機のカフェオレを飲んだ。椅子冷たい、寒い。どこかの待合室にいるような感じだ。

大きい空間の中に私がポツンといて、何を思うでもなく静かに座っている。無機質の中にいると、自分も無機質な、透明な存在になって、冷たいとか、綺麗とか、単純な感覚を持っていることを思い出させてくれる。この感覚は、生まれながらに自分自身が持っているかなり純度の高いものじゃないかと思う。ややこしいものはすっ飛んでいく。人はこんなにシンプルな気持ちになれるのか。

冷たい椅子にただ座っている。東雲、快晴である。

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