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go!go!vanillasっていうロックスターの話をさせて。


死のうと思っていた。
(のっけから重くてごめんなさい)
死にたくて、消えたくて…というよりも生きているのがシンプルにしんどくて。
もういいや、って投げだす直前だった人生を、1つのライブが救ってくれた話。
嘘だと、大げさだと思われても、もう何でもよくて、ただ私は生きてこの文章を書けた、という事実を残しておきたい。

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5年前、YouTubeの自動再生で流れてきた「エマ」に一耳惚れ(ひとみみぼれ)した。検索しまくって見つけた「アクロスザユニバーシティ」のライブ映像を見て一目惚れした。

私の人生にgo!go!vanillasの音楽が鳴り始めた。

2ndアルバムの「Kameleon Lignts」を、ずっっっとリピートして聴いていた。
あんなに1つのCDをリピートしたのは中学生の頃にリアルに擦り切れるほど聴いたスピッツの「フェイクファー」以来だった。
(全然違うのにKameleon Ligntsとフェイクファーは私にとって、すごーく似ている作品)

4年前、パリピしか行ってはいけない場所だと勝手に思いこんでいた音楽フェスに行く決心をしたのは、バニラズに会いたかったからだ。
真夏のまんのう公園で初めてみたバニラズは、めっっっっっっっっっっっ……ちゃくちゃかっこよかった。
バニラズの音楽でその場の人達が狂ったように踊っていた。
日本人ってこんなにハッピーに踊れるんや…と、軽くカルチャーショックを受けるほどに、全員がめちゃ楽しそうに踊って歌って、笑っていた。
ひいき目たっぷりかもしれないけれど、あの日のまんのう公園ではgo!go!vanillasが他のどのバンドよりもスターだった。
ロックスターってやつを、私は初めて見た。


2年前、バニラズのファンは若い子たちばっかりだから私が行ってもついていけないかも…と二の足を踏み続けていたライブハウスへ、初めて足を踏み入れた。
SOUND SHOWER ark清水。
チケットは持っていなかった。
その日たまたま休みが重なった夫に「ちびまる子ちゃんミュージアム」に行きたい!と言ったのは心のどこかで牧達弥もライブ前にちびまる子ちゃんを見に来るかもしれへん、と思ったからだ。(くるわけない…)
清水に着いて、ライブの当日券が販売される事を知った。
海鮮丼もちびまる子ちゃんも上の空になるぐらいに迷った。
だって、ヒールにスカートにモコモコのニットセーターだったし。
ライブハウスの周りに集まってきてる人たちは、やっぱり大学生みたいな若い子たちばかりだし。

それでも、「行かなきゃ後悔するんじゃない?」と言ってくれた夫に背中を押され、ドリプラのUNIQLOでライブモードに衣装チェンジして、はじめてバニラズ の演奏をライブハウスで見た。

あの夜の興奮は、どうしても言葉にできない。 
目だけでもなく、耳だけでもなく、この体全部で音楽を感じた。
体だけでもなく、心だけでもなく、それまでの人生で感じたことのない震えだった。

あの夜、踊り出した自分に驚いた。終わってほしくない、帰りたくないと本気で願った。
本当の、本物のgo!go!vanillasの音楽を、初めて聴いた。そんな忘れられない夜だった。

清水から愛知への帰り道にファンクラブに速攻で入った。もう、終わった瞬間からバニラズのライブ欠乏症になってしまった。

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プリティさんの事故があってもバニラズはライブを続けてくれた。
3人で来てくれた浜松窓枠、オレンジレンジ先輩と対バンしたZepp名古屋、そしてプリティさんが復活したZepp名古屋。

コロナになっても、やっぱりバニラズ は音楽を止めなかった。どのミュージシャンより先駆けてやってくれた東京タワーからの配信ライブ、先月のブルーノートでのライブ。

バニラズ のライブを見るたびに、バニラズがもっともっともっともっともーーーっと大好きになった。

そして、どのライブでも大好きな夫が横にいてくれた。
7年の結婚生活の半分以上を、2人でgo!go!vanillasを追いかけていた。
2人の生活にはgo!go!vanillasの音楽がいつだって鳴っていた。

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夏が終わる頃から、夫が少しずつ、でも確実に私から心が離れていった。
彼の心が違う女性に惹かれている事に気づいてしまった。疑って、不安になって、悪夢を見て…毎日、毎日、泣いて泣いて泣いて泣いて泣いて泣いて泣いて…この数ヶ月どうやって朝を迎えればいいのか分からない、そんな夜ばかりだった。

今月の初め、去年のプリティさん復活ライブ以来のライブを名古屋に見に行った。
久しぶりの生のライブ。久しぶりの生の音…。
本当に本当に感動した。
ここ数ヶ月で涙腺が壊れてしまった瞳から、久しぶりに嬉し涙が出た。

すごーく嬉しい日のはずなのに…座席を1つ空けて隣にいる夫が、席1つぶんよりも遠く、遠く、感じた。ひとりぼっちでライブを見ているみたいだった。

終わった後、「楽しかったね」って聞けなかった。楽しくなかったよって言われたらどうしようって、他の人と本当は来たかったよって思っていたらどうしようって、またネガティブが襲ってきたから。

そもそも、私はあのライブを心の底から楽しめていたのか…それすらも自信がもてなかった。

あのライブの後も、ダブルベッドで1人、何日も朝を迎えた。

人生を全範囲選択して、デリートキーを押したかった。
ぐちゃぐちゃの思考に飲み込まれていく脳みそを拳銃で撃ち抜いてほしかった。


もう、死んじゃおう。

その思いが頭から離れなくなったのは、ちょうどgo!go!vanillasが初めて武道館に立つ日だった。

あの日の朝、私は決定的な事実を見てしまった。
不安だった事も、悪い妄想も、全て正解だった事を知ってしまった。


血の繋がった人たちと誰一人信頼しあえなかった私にとって、唯一の家族が彼だった。初めて家族ってものを教えてくれたのが彼だった。
彼と出会うまで、いつも死にたい、いつでも死んでいいと思っていた。その人生を変えてくれた彼が夫になったのに…。

もはや無数のトゲが刺さっていた心を、切れ味の悪いパン切り包丁でザグザグと切られるような痛みだった。
痛くて痛くて、息をする事すらもしんどかった。

最寄り駅のホームのベンチからしばらく動けなかった。
その小さな駅は猛スピードで鉄の塊が数分おきに通り過ぎる。
5歩進んだら、この体はバラバラになるなー…と、ぼんやり思っていた。

今、死んだら…彼に、そして彼と付き合っている人に、呪いをかけられるかなぁ?




でも今日はバニラズの初めての武道館ライブの日なんだ。
大好きなgo!go!vanillasの悲願の日なんだ。


帰らなきゃ。


本当にあの日がバニラズのライブの日で良かった。
2020年11月23日のことを、私はこの先も絶対に忘れない。

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「ライブ1つで人生が変わる」
牧さんがMCで話した言葉が、まさに私自身に起こった。

4人がスタージに立って、オリエントの演奏が始まった時、牧さんの歌声にいつも以上の緊張を感じて私まで心臓が飛び出そうなくらいに緊張してしまった。
アメージングレースの前奏では、やっぱりその幸福な音に嬉し涙が出て、そのあとの牧さんが走って行った先のマイクの音がめちゃ小さくてまた心臓が痛くなって…


ほんの1時間前まで死のうって思っていたことなんて、一瞬も思い出せないほどに、祈るようにライブの成功を手を合わせて、眉間に皺を寄せて祈っていた。

最初こそ、わしバニラズの親か?ってほどに心配と不安でハラハラして見守っていたけれど、アメージングレースの、

今日でサヨナラは悲しすぎるからやめてくれよ
明日も笑えますように

この歌声を聴いてしまった瞬間から、あのライブは、あのライブの全てが、go!go!vanillasから放たれる音の全部が、私だけのものになった。

とめどもなく涙が溢れだすのに笑いが絶えぬ


何度も何度も聴いてきたマジックの冒頭の歌詞は、まさにあのライブそのものだった。

おまけ おまけ 大負けの人生か
そうだっけ?そうだっけ?
君は美しくいるだけ いるだけ
生きるだけでいいから
君を探すんだよ

ザクザクになって血だらけになっていた心に、マキロンをぶっかけられたみたいに染みた。
しみてしみてしみて、涙がとまらなかった。

どうかまた会える日まで さよならは言わないよ 笑顔でいてほしいから


アンコールラストのギフトは、もはや自分の嗚咽で演奏が聞こえなかった。


自分たちの夢を、誤魔化さずに、かっこつけずに、語る姿。
そしてその夢の場所で音楽を届けたgo!go!vanillas は、正真正銘のロックスターだった。

バニラズ が生きてろよって、また必ず会おうねって、言ってくれたから、
最高に素晴らしいライブを、また更新してくれたから、
死んでる場合ちがうわ。
全然死んじゃだめだ。

まだまだgo!go!vanillasの音楽を聴きたい。
サイシンサイコウなgo!go!vanillasの未来を見たい。
これからもgo!go!vanillasと一緒に歳をとっていきたい。

死にたい夜はあるけれど、それでも、生きる理由が、生き続ける理由がありすぎる。
その事にはっきりと気づいたライブだった。

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(ジャンプ力すごくない?)


あの夜から、まだ私の人生は混沌としたままだ。
私とも彼女とも別れられないズルくて優しい夫と暮らしている。

夜になると必死に一人の部屋を音楽で埋め尽くす。
消えたい気持ちは、やっぱり、時々襲ってくるけれど、大丈夫。

大げさだと思われても、バニラズが私の生命線を支えてくれている。
「ロックンロールイズ生きる力」ってジェットセイヤさんの真似して声にだしてみる。
明日はわからないけれど、今日をめぇいっぱい頑張って生きてみる。
その繰り返しだ、きっと。
その先にもずっとgo!go!vanillasがいてくれるから、人生転がしていくしかないな。


今年「不要不急」のレッテルを貼られたモノに、どれぐらいの命が支えられていたのだろう。
その事を考えると、どうしても、私自身に起きた奇跡みたいな夜の事を書きたくなった。


go!go!vanillasの最新作「鏡」で、彼らはこう歌う。

世界が来ることを望む前に
よく見て 思い切って 型にはめないで
札付きのワルが嘘をバラまく
変わるもの 変わらない答えを
君が探すんだ

人生に必要なもの、大切なもの、全部自分で決めていいんだ。
誰かの不要不急は、私にとっての必要不可欠なモノかもしれないから。


あの日武道館で演奏された「鏡」は、偶然だけれど(というか単純に間違えたんだろうけど)
牧さんは1番の【秋雨の君】も【八日目の君】と歌った。

八日目の蝉のように、今日も命が続いた事、生きている事、それって奇跡みたいに素晴らしい。

そんな思いがこめられた【八日目の君】という歌詞だから、2度歌ってくれた事が、私にとっては特別でめちゃくちゃ嬉しい。私の為に2回歌ってくれたとしか、もはや考えられない。

ありがとう牧さん。
ありがとうgo!go!vanillas。

満席の武道館でバニラズのライブを見る、っていう、めちゃくちゃ尊い生きる理由ができました。












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