マガジンのカバー画像

南仏プロヴァンスの旅

28
2020年6月から2021年11月まで、南仏プロヴァンスに住んでいたときの旅ブログ。 オンラインサロン「Like! Provence」にて連載。
運営しているクリエイター

記事一覧

プロヴァンスワインを買いに、シャトーへ行こう!

フランスワインといえば、ほとんどの人はボルドーやブルゴーニュを思い浮かべますが、プロヴァンスも有名なワインの生産地です。車を走らせていると、至るところにぶどう畑やシャトーを見かけます。 実は、プロヴァンスはフランス国内で最も早くブドウ栽培が始まった場所です。紀元前 600 年頃に古代ギリシャ人がブドウを持ち込んで、紀元前200年頃には、定住していたローマ人がブドウを栽培していたと言われています。 プロヴァンスワインといえば、フレッシュなロゼ 現在プロヴァンス地方で生産さ

ワインだけじゃない、シャトーの楽しさ

前回は、ワインを買いにシャトーへ行きましたが、シャトーはワインづくりだけでなく、レストランやホテルを運営しているところも多く、広大な庭や古い建築を楽しめるので、ただ食事したり泊まったりする以上の体験ができます。 また、野外コンサートなどのイベントを開催することもあります。 シャトーは観光客にとっても地元の人にとっても特別な場所。今回は、ブロヴァンス在住のマダムたちに連れていってもらったシャトーをご紹介します。 18世紀から続くシャトーで、木陰ランチ 18世紀からあるとい

デニムの発祥地「ニーム」のまちなかはローマ遺跡だらけ

まちなかにローマ遺跡が点在 ニームは「フランスのローマ」といわれるほど、たくさんのローマ遺跡があります。 古代ローマ時代、前回紹介したポン・デュ・ガ-ルを通り、ユゼスから水を引いていたまちです。 また、ニームは「デニム」生地の発祥地でもあります。 今回は写真を多めに使ってニーム散策の様子を紹介します! TGVも停まるニーム駅を降りると、まっすぐな並木道「Avenue Feuchères」がのびています。道の脇には用水路があり、市民が憩うベンチやテーブルが並んでいます。

旧石器時代から続く山村「セーニョン」で、特別な岩に登る

プロヴァンスの山間には、可愛らしい村がいくつもあります。人口1000人程度のセーニョンもそのひとつ。 セーニョンに人が住み始めたのは遥か昔、中期旧石器時代(20万年〜3万5千年前)だとか。ネアンデルタール人とかクロマニヨン人の時代です。外敵から隠れやすい地形だったようです。 天文台になったり、城になったり 村の北側にある高さ約30メートルの岩「Le Rocher de Bellevue」は、「美しい眺めの岩」という意味。天文台として使われたほか、信号を送る場所だっただろ

2000年前にローマ人が建設した水道橋「ポン・デュ・ガール」

ニーム近郊オクシタニー地方にあるポン・デュ・ガール(Pont du Gard)は、ガール川にかかる巨大な水道橋です。 この水道橋は、古代ローマ時代の紀元前19年から5年かけて建設されたそうです ※年代については諸説あり。 当時、人口が増えて水不足になったローマの都市ネマウスス(現ニーム)へ、50km離れた水源地ユゼスから水を引くためにつくられた導水路の一部です。 ポン・デュ・ガールは約600年間、飲料水を運ぶために使われていました。 水道橋の上はどうなっているの? ポン

岩山の小さな村「ムスティエ・サント・マリー」の陶器

ムスティエ焼きで知られる小さな村ムスティエ・サント・マリーは、プロヴァンスの山岳地帯にある人口700人程度の村です。 この辺りは、切り立った岩山とその間を流れる清流の、迫力ある景勝が広がっています。ムスティエ・サント・マリーも遠くから見ると、断崖絶壁を背負っているのがわかります。 ムスティエ・サント・マリーは車かバスでしかアクセスできませんが、人気の高い観光地で「フランスの最も美しい村」にも登録されています。 人気が高い理由のひとつは「ムスティエ焼き」という高級陶器の生

画家セザンヌのアトリエと「サント・ヴィクトワール山」

セザンヌってどんな画家? 私が住んでいた街エクス・アン・プロヴァンス通称エクスは、画家ポール・セザンヌ(1839〜1906 年)の故郷であり、創作の地でした。 セザンヌは「近代絵画の父」と呼ばれるほど、美術史にとってなくてはならない存在。 今回は、エクスにあるセザンヌのアトリエを訪れます。 セザンヌはエクスの裕福な家庭で生まれ育ち、20代前半に画家を志してパリに出ます。 最初は、モネやルノワールなど、自然の光を美しく描く「印象派」 の一員として活動していました が、やがて独

モダニズム建築の巨匠ル・コルビュジエの「ユニテ・ダビタシオン」

コルビュジエ理想の集合住宅 マルセイユで、ル・コルビュジエが設計した「ユニテ・ダビタシオン」に泊まりました! コルビジェはモダニズム建築の巨匠。 近代建築の5原則(ピロティ、屋上庭園、自由な平面、自由な立面、水平連続窓)を提唱しました。 「ユニテ・ダビタシオン」は、コルビュジエが設計した理想の集合住宅です。ヨーロッパにいくつかあり、マルセイユにあるものが最も有名です。 1945~1952年に建てられた8階建て全337戸。今も人が暮らしていますが、一部ホテルになっています

ローマ教皇のおひざ元だった「アヴィニョン」

あの歌の橋は途中で終わっていた! アヴィニョンのまちことは知らなくても、「アヴィニョンの橋の上で」という童謡は聞いたことがあるという人、多いのではないでしょうか。私もそうでした。 歌に出てくる「アヴィニョンの橋」です。 スイスを源流に地中海まで続いているローヌ川にかかっています。 あれ? なんかおかしい・・・と思いますよね。そうなんです、橋が途切れているんです。 橋の正式名は「サン・ベネゼ橋」。 橋の名前になっているベネゼという羊飼いが、天使から「橋をかけなさい」とお

赤い色をした村「ルシヨン」のオークル

プロヴァンスの西側、広大なぶどう畑を見下ろす丘の上に「ルシヨン」はあります。 村全体が赤いのが、ルシヨンの大きな特徴です。南仏の濃い青空によく映える! ルシヨンは面積28㎢程度の小さな村ですが、その色彩の美しさに多くの観光客が訪れます。 人口2000人未満で保護遺産があるなどの基準で選ばれる「フランスの最も美しい村」にも認定されています。 ルシヨンにある建物はすべて赤い色をしています。 しかしよーく見ると、一軒一軒色味が微妙に違います。 ピンク色に近かかったり、黄色っぽか

ミモザ!ミモザ! ミモザ! 南仏の春の訪れ

冬のマルシェに並ぶミモザ プロヴァンスというと温暖なイメージがありますが、冬は東京と同じくらい寒いです。街を歩くマダムたちも、ブーツにジーンズ、ダウンジャケットを着込んでバッチリ防寒します。 そんな真冬から春先にかけて、プロヴァンスの花屋にはミモザがたくさん並びます。とくにマルシェでは新鮮なミモザの花束が3〜5ユーロ(1ユーロ約130円)と、安く売っています。 ミモザの正式名はアカシアといいます。ギンヨウアカシアやフサアカシアなど、黄色いフサフサの花が咲くマメ科アカシア属

ゴッホが描いた「アルル」では、ローマ遺跡が現役だった

アルルは小さいまちなので歩くだけなら一日あれば十分ですが、見所が多く何度も訪れたいこところです。 古代ローマ時代を物語る「円形闘技場」アルルは紀元前6世紀頃にギリシア人が開拓した後、紀元前1世紀にローマの植民地となりました。アルルは地中海へ続くローヌ川沿いに位置しているため、ローマ人は運河を建設し、アルルを地中海交易の要所としました。 そうしてアルルは「小ローマ」と言われるほど繁栄します。 現在、その形跡であるローマ時代の遺跡がいくつもあり、それらは世界遺産に登録されてい

幻想的な湿地帯「カマルグ」を白馬に乗って歩く

独特な地形の湿地帯カマルグは、ヨーロッパ最大規模の湿地帯です。 グラン・ローヌ川とプティ・ローヌ川、地中海に囲まれた3角のエリアで、カマルグ地域自然公園にあります。ローヌ川が何千年にもわたって運んだ土砂が土壌となり、独特の景色が広がっています。 地図で見ると、湖や池が点々としていて、いまにも地中海に沈みそう(沈みません)。海の側の塩田は、ほんのりピンク色。フランスで唯一の水田もあります。 フラミンゴをはじめ数百種類の野鳥、黒牛、白い馬など、カマルグならではの生き物が生息して

マルセイユ港編:魚市場とブイヤベース

活気に溢れる魚市場19世紀まで貿易の中心地として栄えていたというマルセイユの旧港。 そこにある「ベルジュ河岸(quai des Berges)」では、毎日午前中に魚市場がたちます。 カモメが空中を旋回する下で威勢のいい掛け声が飛び交い、活気に溢れています。 魚市場の後ろは海! 漁師たちが船と陸をまたいで行き来しています。 見慣れない深海魚からマグロまで、その場で魚を捌いています。ワイルド! 親子でしょうか、くわえタバコがサマになってますね。 かなり高齢の方も、買い物に