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旅する万葉講師のおばあちゃんが地域の魅力を再発見する講座をしながら、子どもや孫と各地をめぐる生き方・働き方ができるのか?

◆自己紹介

福岡市からフェリーで能古島を訪れた帰り道、孫と一緒に

孫にも伝わるように、1300年前の人々の暮らしや想いを話して旅をする

YUKIと申します。
普段は大学で学生に文学の講義を担当したり、大学の課外講座で万葉集を教えたりしています。
これまではカルチャーセンター、公民館などで万葉集を教えることが多く、机に向かっての講義を主におこなってきました。

その中で、30年ほど前から、講座の参加者の皆さんを連れて万葉の故地をめぐる旅を行ってきました。
机についての講義ももちろん良いのですが、せっかくであれば1300年前に万葉の歌がよまれた現地で、当時の人々の想いや風土に想いを馳せながらお話をして、その土地の風や匂いを感じて、その土地の美味しいものを食べていただくのが、一番伝わると思います。

奈良にて。目でも楽しめる美味しい料理は旅の醍醐味

この30年間で、日本全国に歌碑が数多く増えました。しばらく経ってから訪れると歌碑が移動していて探してしまうこともあります。コロナを機に少し中止していましたが、2022年ごろから少しずつ、故地めぐりの旅を再開してきました。

千葉県の馬来田。この地域の方のよんだ歌が、1300年の時を超えて伝わっています

万葉集と聞くと、難しそうと感じられる方もきっといらっしゃいますよね。
娘夫婦が私の講座旅行のサポートをしてくれているのですが、その中で孫を連れて孫にもわかるように万葉の話をしながら現地を巡っています。
小学校に入る前の子でもわかるよう、興味をもってくれたことを通じてもっと深くその土地のことを知ってもらえるようなお話をします。
そんな、やさしい万葉集のお話も、これから記事として書いていきたいと考えています。

万葉集というのは宮城から九州まで、広い地域に故地が残されています。
日本全国に万葉の故地があるので、さまざまな地域でそれを実践することができると考えています。
3年後、5年後には、全国で万葉集のお話をしながら旅をして講義ができるようにできるのか、挑戦してみたいなと思っていました。

新しい働き方LAB指定企画への挑戦

そんな中、ご縁あって自治体「掛川市」×オンラインコミュニティ「新しい働き方LAB」の企画に参加させていただくことになりました。
「学びのキャンパス化プロジェクト」として、まち全体を学びのキャンパスに変えるという、壮大な実験です。

掛川に辿り着いた、と感じる風景

私の専門である万葉集において、掛川という場所は遠江国に含まれます。防人が九州へと向かう際に通る東海道では必ず通る地と言えます。
掛川よりも東の国から集められた防人たちが通っていきました。後の世では、掛川宿として整備されました。
改めてどのような地なのかを知ることは、現地の方にとっても、外の地域から来る方にとっても、意義のあるものだと考えます。

今回の研究を始めるにあたって改めて万葉集の歌を見返して、まさに掛川の地の人がよんだ歌があります。

知々波々母 波奈尓母我毛夜 久佐麻久良 多妣波由久等母 佐々己弖由加牟
父母も花にもがもや草枕旅は行くとも捧ごてゆかむ

万葉集20-4325 丈部黒当

遠江国佐野郡、現在のまさに掛川市にあたります。
こうした魅力を再発見し、現地の方や外から掛川を訪れる方に伝える。近隣の地域や関係地域との関わりの中でどのような意義を持っていたのかを伝える。そんなことを通じて、まち全体を学びのキャンパスにするための活動をしていきます。

◆実験の目的と背景

3年後、日本全国の万葉の故地をめぐる講座旅行を仕事にしていたい

伊香保にて、孫と歌碑をよむ

冒頭でもお話ししたように、私は30年大学で万葉集を教えてきました。
これからは、学生や講座の受講生に講義室で教えるよりも、現地を訪れて現地で講義をする「万葉街歩き」の方に力を入れたいと考えています。
コロナ後、茨城、奈良、福岡、和歌山などを訪れて、講座に参加してくださる皆さんを連れて歩いていく中で、こういう働き方を今後主流にしていきたいとより強く感じるようになりました。

これまでに30年、「万葉街歩き」をやってきて現地で感じていたのが万葉集や歌碑について、現地の方が全く知らないことがほとんどでした。
だからこそ、地方が魅力を再発見して訪れてくれる人を増やそうとしている今の時代に万葉という切り口で何か力になれないかなと考えています。

今までは東京から地方へ講座の受講生を連れていくという形でしたが、これからは、地方在住の方に向けて、その土地を知ってもらうような講座や街歩きもできるのではないかと考えています。
そして、その土地の資産として残る、街歩きのコースを提案してみたい。これまでに全国でおこなってきた経験を活かして、そんな取り組みをしてみたいと思うのです。

東海万葉の中心地、掛川市

掛川市立中央図書館と、澄んだ青空

今回の企画を主催されている「掛川市」は東海万葉の中心地であり、生涯学習都市でもあります。
町の魅力を再発見してアーカイブ化するという指定企画の取り組みは、私がこれから3年後5年後にやりたいと思っていること、日本全国の万葉の故地のことを、それぞれの地域の方に知ってもらう活動と、とても近いと感じています。
ですから、掛川に住む方や、その周辺地域の方にこの地域のことを知ってもらうために魅力を再発見して、魅力を伝えるというその両方を実験的に行いたいと考えています。

そこからは、自分のライフワークにもつながるでしょう。娘夫婦もフリーランスなので、数年後の未来で3世代で旅をしていけるかに挑戦してみます。日本全国の万葉の故地のことを、それぞれの地域の方に知ってもらう活動の、その最初の取り組みを「掛川市」という場所でスタートさせていきたいと思います。

◆検証したいこと

・万葉集のことをより多くの人に知ってもらい、「面白そう、話を聞いてみたい」と思ってもらうことはできるのか。(事前アンケート)
・掛川の魅力を再発見して、現地の人に伝えることができるか。(現地での講座)
・自分の暮らし、働き、遊ぶ場所の1300年前のことを、面白く感じて学んでもらえるか。(講座後アンケート)
・3世代で旅して働くことができるか。(半年間の発信)

◆活動の概要

①現地で、万葉集という切り口から当時の歴史を感じさせたり、文化や風土が残っている風景を町の魅力として再発見します。
②再発見した魅力を解説をつけて、写真や動画にしたり、記事にしたり、SNSで公開したりします。
③現地の方(高校生、小中学生、大人など)に向けて、万葉集の講義をすることで、現地の方に自分たちの住む土地の魅力を再発見してもらいます。
④万葉集について興味をもってもらうための活動をしたり、地域活性化のための取り組みに万葉集を活用してもらうための取り組みをします。

具体的な手法

・現地の方(市の観光課の職員の方なども含めてでしょうか)とお話して、昔から残っている地形や場所について伺います。
・現地の方々に歌碑の認知度をアンケートを取ります。
生徒には、学校に歌碑があるなら、歌碑があることを知っているか、何の歌碑か知っているか、歌碑に書かれた歌の意味を知っているかなど。
先生には、学校で歌碑について生徒に伝えたり授業で取り扱ったことはあるか、どのように扱ったことがあるか、誰がいつどんな目的でこの学校に歌碑を建てたのかなどを伺います。
・講座を企画して、現地の方に参加してもらって万葉集について伝えます。講座形式のものと、街歩き形式のものを想定しています。
・万葉集を切り口とした、学びのモデルコースをつくります。

◆アウトプット・成果

・事前アンケートで、万葉集や地元のことについて聞き、グラフなどにまとめます。
・町の魅力を見つけて、それを言語化して記事化できるようにします。いくつ記事化できるかを計測します。
・アーカイブ化できる写真や動画を撮ったり、撮ってもらいます
・上記の写真や動画を活用して、SNSで発信します。どれだけ発信できるかを計測します。
・定期的に報告書を書いて発信します。見ていただいた数などを計測します。
・今までにお話しできてこなかった皆さんに向けての講座を行います。どのような方に何回できたのかを計測します。事後アンケートもとって、グラフなどにまとめます。

◆実験の測定方法

・現地でいくつ、どのような町の魅力を見つけられるか
・発見した魅力のアーカイブ化をいくつできるか
・SNSでの発信をどの程度できるか
・学校や講座以外の人に向けて、万葉集の講義をどれくらいできるか(高校生や小中学生、大人など)
・アンケートの結果を分析
・その他の活動への参加について

◆スケジュール・進め方

6月      計画を立てる、事前アンケートの作成(〜7月上旬まで)
7月      掛川現地を訪れる、現地での講座、オンラインでの講座
8月      万葉講座旅行

9〜11月は、6〜8月の計画を見ながら、現地訪問や講座の予定を立てるつもりでいます。

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