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Webby Award2021 受賞作から

久しぶりの投稿になります。昨年はカンヌが中止されたりと国際広告賞についてはなかなかアクティブに感じられる一年ではありませんでしたが、今年はこれから、D&AD、One Show、そして、6/21からはオンラインではありますがカンヌも無事開催されます。この1年以上に及ぶコロナ禍が、クリエイティブにどんな影響や変化をもたらしているのか、このブログでも注目していきたいと思っています。

まずは、デジタルでのクリエイティビティに特化した国際広告賞としては最大のWebby Award 2021の受賞作が発表になっています。この状況下でも70カ国から約13,500という過去最高数のエントリーがあったそうです。たくさんのカテゴリーがありますが、Advertising, Media & PRから気になったものをいくつかご紹介。

Best Cause Related Campaignは、カナダのCovenant Houseの売春被害撲滅のためのキャンペーン、"Shoppable Girls"。被害に遭いやすいティーンの女の子たちの関心事であるファッションブランドの広告の体をしたバナーで気を引くが、値段が付いているのは服ではなく、モデル達の方であることが分かる。自分たちが性犯罪者たちからどう見られているかを、分からせることで被害の撲滅を狙ったもの。学校やショッピングモールなど、ティーンが近づく場所でバナーが出るようにも工夫されている。

Corporate Social Responsibility Campaignは、マスターカードの"True Name"。トランスジェンダーの人たちは、クレジットカードに記載されている名前を確認されるとき、容姿と一致しない自身の名前でトラブルになることがある。銀行が認めない限り、本名以外をカードに記載することはできないが、マスターカードの働きかけによりいくつかの銀行が承認。Chosen name(自分でつけた名前)でカード名を記載することを実現した。

Best Digital Campaignは、バドワイザーの"Future Official Sponsor"。アメリカの女子プロサッカーリーグ、NWSLの平均年俸は男子リーグの19分の1。その賃金格差の原因は、スポンサー数の少なさ(男子の24社に対して、女子はバドワイザーを含むたった3社)にあると自らスポンサーを募集したキャンペーン。結果、6社が名乗りを上げ、選手たちの年俸は19%上昇した。

こちらもサッカー関連。Best Social Community Building & Engagementは、イギリスのスポーツチャンネルBT Sportの"Unscripted"。これから始まるプレミアリーグのストーリーをAIに予想させ、シナリオにしてメディアや選手、ファンに配布。読んだ人たちはその内容に一喜一憂、メディアやSNSで論争やリアクションを引き起こし、話題になりました。

Real-Time Response Campaignは、sixdegrees.orgの"#IStayHomeFor"。コロナウィルスが世界中で猛威を奮い始めた2020年3月、SNS上で行われたソーシャルディスタンス ムーブメント。sixdegrees.orgの創設者でもある俳優ケビン・ベーコンは、誰でも6人を介せばつながることができるという言い伝え、6次の隔たり(Six degrees of separation)をもじったSix degrees of Kevin Bacon(誰でも6人を介せばケビン・ベーコンにたどり着く)で有名。そこで彼が始めたのは、#IStayHomeFor◯◯に自分が大切にする人の名前を入れて投稿し、6人の友だちにリレーしていくSNS上のチャレンジを提案。結果、120万投稿という拡がりを見せ、約20億のインプレッションを獲得した。

Best Use of Earned Mediaは、ユニリーバのアイスクリームブランドGood Humorの"A New Jingle for a New Era"。アメリカで100年以上も慣れ親しまれてきたアイスクリームトラックが流す音楽 "Turkey in the straw"が、人種差別主義にルーツがあるということが知れ渡り、突如使用中止に。Good Humorは、急遽、人気ラッパーのRZAと共にニューソングを制作、使用料なしで全米を走るアイスクリームトラックに提供しました。


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