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テレパシー通信と嫌がらせ

梅雨の合間の晴れの日の朝は早い。

そんな早い時間に、奴は怒鳴っていた。

「なんで、こんなことになってんねん!💢」
何の事かは分からないが、いつものテレパシー通信だ。
周りの人達もウンザリした様子で、
「よく分からないけれど、お前のせいになってるって、前から言ってたやろ!!ちゃんと確認してへんのか?」

「嘘つくな!!!」
奴は激高した。
「俺はホントウの話を聞きたいんや!!!!!」

相変わらずの平常運転。そこが堪らなく良い。
世の中では「大迫、半端ねぇ。」だけど、
ここでは、「ハッタリ、ハンパねぇ。」だ。

もう20回以上は耳にしたセリフを聞きながら、ふと思った。

彼のホントウの話とは?
【彼にとって耳障りの良い話】、に違いないと。

思い出すと笑ってしまうので、文字起こしする。

彼が、俺の近くにやってきたのは15年以上前だったろうか?
まだ団地に住んでいた時に、教えてもいないのに、
「こんな所に居ったんか?」と耳元で叫んできた。

気にせず生活していたのだけれど、ある時「神」を騙る奴が、耳元で喋り始め、休みの日に家でぼ〜っとしていると、突然「アホ◯◯さん。」と呼びつけ、「君は、保護観察になりました。」と言い。
「飛び降りろ!!」とか、「引っ越せ!!」、「臭いウンコするな!!」とか言い始めた。挙句に「公開説教です!!」とほざく。

はじめは気にしなかったが、そのうち夜中寝ているときでも耳打ちし、叩き起こされ、病院送りにされてしまった。

それから親元に引っ越して、しばらくしたらまた奴らが来た。推測だが、団地に提出した書類などで、俺の引越し先を割り出したのだろう。

なぜそう思うか?
引っ越しする際に郵便局に転居届けを連絡した。
その時、郵便局員が「他に同居されている人たちはどうされるのですか?」と聞いてきた。
何のことか分からず詳細を聞くと、他に4〜5名転居届けを出さずに住んでいる事になっていた。
「僕は一人で住んでいたので、よく分かりませんが、その人たちも何処かに移ってますよ。」と告げ電話を切った。

たぶんその人らも、なにかの声を聞き、怖くなって準備もせずに出ていったのかもしれない。ま、これは推測だ。


そして奴らは毎度のごとく、「引っ越せ!!」だの「俺の話を聞け!!」だの「ムカつく、ムカつく・・・。」だの「彼女もいないのか?モテない君!!」を繰り返した。
酷いときは、「君の昔の悪事をバラすぞ!!」みたいな事も言ってくるし、「早く、結婚したほうが良いんじゃないか?」とお前に言われる筋合いでもないことを言ってくる。

悪い冗談だし、悪質な嫌がらせだし、とても邪魔である。

「嫌がらせは、やめろ💢!」と叫んでみるが、奴は「俺は、お前の事を思って・・・。」と続け、取り合わない。
そりゃそうだ、声はすれども姿は見えず。
殴られる心配もなく、良い人面して、悪口の言いたい放題。
「俺をハッタリ君やと思って、探して、「ヤメテくれ!!」と頼んだら良いと思います。」と続けた。

暫くこんなやり取りを数ヶ月も続けていて、ふと思った事が有る・・・。

(ハッタリ君を探し出して、面と向かって言ってみても、しらばっくれるんじゃないだろうか?)

そうだよな・・・、悪質な嫌がらせを素直に認めるとは思えない!!
問いただしても、ノラリクラリと交わすだろうし、下手すれば何かを要求されるかもしれない。
詐欺の手口と変わらないのかも?


が、いつからか奴の悪い噂を聞くことになった。

・・・つづく

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