フルスロットル【京都サンガFC】

京都サンガが前評判通り、J1の舞台を引っ搔き回している。

今シーズン、J2から昇格し現在7位。
曺貴裁(チョウ・キジェ)監督が作り上げたフットボールは、ここまでJ1で通用していると言えるだろう。

12シーズン振りのトップリーグの舞台。圧倒的な走力と組織力を武器に、更なる高みを目指す。


☆フルスロットル

昨年、J2に所属する京都サンガの新監督に曺貴裁監督が就任。
湘南ベルマーレを指揮し、2018年リーグカップ戦を制した堅守速攻をベースに、ハイインテンシティでチャレンジ精神に満ちたフットボールを注入し、J2リーグ2位の成績で12年ぶりに見事J1昇格。


この記事で特筆したい選手は、曺貴裁監督が育て上げた若き才能、3名。

まずは、MF川崎颯太、20歳。京都サンガU-18出身。

パリ五輪を目指すU-21日本代表にも選ばれた「京都の心臓」。
4-3-3のアンカーとして昨年開花。豊富な運動量とボール奪取能力が特徴で、彼の中盤での「狩り」から京都の攻撃は始まる。

同じく曺貴裁監督の指導を受けた、遠藤航(シュツットガルト)2世との呼び声も高く、京都サンガ、更には日本サッカーの未来と言っても大袈裟ではない大器だろう。


次に、MF福岡慎平、21歳。京都サンガU-18出身。

小学生年代から京都サンガでプレーし、2022年から10番を背負う、若きサンガの象徴。

ポジショニングと視野の広さが武器の知性派で、もちろん運動量も兼ね備えるアタッカーで、シャドーの位置からサンガの攻撃にテンポを出す。

しかし、昨年は中心選手として38試合に出場しながら3得点と数字面では少し寂しい結果に。彼が10番に相応しい数字を残せれば、サンガの順位も自ずと上昇するだろう。


そして、個人的にサンガのスタイルを最も体現していると感じる選手が、SB荻原拓也、22歳。

昨年、浦和レッズからレンタル移籍で入団。すぐに左サイドバックのレギュラーポジションを獲得し、40試合に出場。

彼の特徴はなんといってもその驚異的なスプリント回数。

自陣深くで1対1の守備を行ったかと思えば、直後のカウンターのチャンスでは一気に相手ゴール前まで駆け上がる。このような、上下運動を1試合で何度もやってのける。

こちらも川崎颯太同様、曺貴裁監督の指導後にブレイクした山根視来(川崎F)のプレーを彷彿とさせる。
スピードのある相手とのマッチアップではさすがに途中交代することもしばしばあるが、その若さと勢いはサンガのスタイルには欠かせない。


そして、もちろん、サンガの強さを支えるのはこの3人だけではない。

荻原の逆サイドには、同じく運動量・スピード共にトップレベルの白井康介。

湘南→京都と曺貴裁監督のスタイルを熟知し、小柄ながら多くの決定機を作り出すキャプテン・松田天馬。

京都サンガU-18時代、16歳の若さでJ1デビューを果たし、現在もチームを支える、プラチナ世代「京都の至宝」宮吉拓実。

そしてなんといっても、一昨年はJ2得点王、昨年もJ2得点ランキング2位の強大な得点源、元ナイジェリア代表ピーター・ウタカ。


その若い勢いと11人が90分走り切る姿は、さながら、若き日のレヴァンドフスキ、香川真司、マリオ・ゲッツェを発掘し黄金期を築いたボルシア・ドルトムントの様。

当時、自らのチームをユルゲン・クロップ監督はこう表現した。

「フルスロットル・フットボール」

この愛称が日本一似合うチームは間違いなく、京都サンガだ。

フルスロットルで昇格1年目からタイトルを狙う。

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