ドイツ式【サンフレッチェ広島】
4月成績リーグ戦3勝2分0敗、ルヴァンカップ予選2勝0分0敗。
サンフレッチェ広島が、どこからどう見ても乗りに乗っている。
コロナの影響もあり合流の遅れたドイツ人新監督ミヒャエル・スキッベのアグレッシブなフットボールが、とうとう定着してきたのだ。
近年はどちらかというと堅実なフットボールで結果を残してきたイメージのあるサンフレッチェ広島。攻撃的でアグレッシブな新たな姿でこのまま優勝争いに絡んでいけるのか。
☆ハイスピードフットボール
リーグ開幕から少し遅れた3月5日。サンフレッチェ広島の新監督、ドイツ人のミヒャエル・スキッベ監督が来日した。
過去には、ドルトムント、レヴァークーゼン、フランクフルト、ガラタサライなどの監督を歴任し、ナショナルチームではドイツ代表コーチ、ギリシャ代表監督を務めた、紛れもない名将である。
ドイツ人監督らしいハイプレッシングで高い位置からのボール奪取を目指す戦術と、走力に長けた若手・中堅の能力が完全にマッチし、1試合あたりのスプリント回数でも現在リーグ4位とその成果は顕著に表れている。
特に輝きを放っているのが、満田誠と藤井智也。
満田誠は流通経済大学から今季加入したルーキー。第3節までは出場機会に恵まれなかったが、ルヴァンカップでの活躍もあり第4節FC東京戦からスタメンに抜擢。
左サイドでの起用では縦へのドリブル突破、中へのカットイン、シャドーの位置ではライン間でボールを受けて、裏へも抜け出す。
様々な攻撃パターンを武器に、あっという間に攻撃の主役に。若手らしい積極的でチャレンジングなプレスでもチャンスを生み出す。
技術云々では説明できない、天性の得点感覚も持ってるタイプのアタッカー。
これからの、広島の王になる資質は十分だろう。
そして、右サイドの藤井智也は、J1全体でも指折りのスピードスター。
スピードに乗ったドリブルで相手を振り切り、精度の高いクロスでチャンスを量産している。1試合あたりのスプリント回数もリーグトップで、スキッベ監督の志向する切り替えの速いフットボールにおいては超重要な戦力。
日本代表・伊東純也が体現するように、「スピード」は世界と戦う上でも重要な能力。今シーズンの活躍次第で更なる飛躍を感じさせる大器。
今シーズン、他クラブからの補強を行わなかった広島だが、その他の戦力も粒ぞろい。
シャドーの位置でゲームメイク、ポイントゲットと変わらず存在感を見せつけ、10番を背負う新時代の広島のエース・森島司。
今季、ヴァンフォーレ甲府から復帰。J2でますます左足のキックの制度を上げ、中盤の底でハードワークも出来る天才レフティ・野津田岳人。
兄・浅野拓磨と同じく、一瞬でDFを置き去りにするスピードとスケール感の大きいフィニッシュを得意とする、浅野雄也。
更に、新監督のもと勢いを得た若手・中堅達をまとめる、広島の黄金期を築き上げたベテラン勢もまだまだ健在だ。
現在も森保ジャパンに常に召集されているキャプテン佐々木翔、左サイドのダイナモ・柏好文、UAEの強豪アル・アインから復帰した仕事人・塩谷司、広島の誇るバンディエラ・青山敏弘らが、堅実な守備と経験で安定感をもたらす。
2010年代の栄光とスタイルを捨て、新たな、そして最新式の武器を搭載したサンフレッチェ広島。
新監督就任から2ヶ月でこの変貌ぶりだ。
広島の創る新時代はすぐそこまで来ているかもしれない。
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