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(この街が好き) 南箱根ダイヤランド

1.リゾート地への短期移住

 多摩ニュータウン稲城地区の自宅を売却して2024年春の新居への引っ越しまでの約2年間の人生を精一杯楽しもうと南箱根ダイヤランドにあるリゾートマンションへの短期移住を決意した。6月2日に引っ越しを終え、ちょうど2ヶ月が過ぎた。最初の1ヶ月は引っ越し荷物の整理、片付け不用品の処分や家具の配置の試行錯誤に追われ、後のひと月は新しい生活パターンを模索している。引越し前はここを拠点として伊豆各地の名所を訪ねたいと思っていたが、残念ながら、コロナ第7波の急拡大と夏になり人出の増加が予想されるため、未だ、修善寺を尋ねただけだ。伊豆は今NHKの大河ドラマの注目を浴びており、早い時期に旧跡巡りができれば良いのだが。

2.マンション暮らし

 このマンションは色々と内覧した中でベストなものでは無く、色々な制約の中で妥協した点もあり、80点の満足と言う印象だった。東京からの距離の制限もあり、南伊豆の海岸地方の南国的な雰囲気は諦めた。熱海市の生活の利便性は家賃と共用施設の問題で諦めた。引っ越した当初の6月初・中旬はセーターがいる程肌寒く、また、油断するとすぐにカビが生えそうな程、湿度が高く、少し後悔した程だった。引越しの断捨離で除湿器は処分してしまったので、新しく購入しなければならなかった。

 しかし、その後、6月下旬の異常な暑さ、また、7月末から8月初めの日本各地での40度に達するかの猛暑のニュースに接するたびにこの地の快適さを認識している。私の住むマンションは海抜532mの高さにあり、恐らく、気温が30度を超えたことはまだ無いのではと思う。少なくとも東京とは5℃以上の気温差があるだろう。朝霧が掛かることは良くあるが、梅雨が明け湿度もそれほど気にならなくなった。異常な暑さのニュースを見聞きする度にこの地に住んでいる有難さを実感している。

 このマンションは築後30年で昭和バブルの終末期に販売された。バブル期のマンションは価格を抑えるため、専有面積を最小限に抑え、仕様を落としたものと価格に糸目を付け無い贅沢な作りの物がある。このマンションは後者のほうだ。リゾートマンションの仕様にはあまり期待していなかったが、住んでみると中々贅沢な作りになっていることがわかる。まず、建物は山の斜面に沿って雁行型に建てられている。一階下の住戸のリヴィングの上がテラスになっており、広くて使いごたえがある。キッチンや浴室はタイル張りだ。各部屋に薪ストーブが設置されている。煙突がついており、実用的なストーブだと聞いている。リヴィングの窓は天井までのハイサッシだ。中住戸だが、隣戸との間に吹き抜けの空間があり、採光と通風が確保されている。外の廊下も2m以上の幅がある。ただ、南西向きで夏は午後の日当たりが強く、南北に流れる風が部屋には入りにくいと言う欠陥もある。また、私の部屋の間取りは1LDKで、主流では無いため色々と問題点はあるのだが。

 共用施設も豊富だ。サウナ・水風呂・2種類のジャグジーのついた室内プール(夏季限定)、スポーツジム、麻雀ルーム、カラオケルーム、卓球台やビリヤード代がある娯楽室、ゲストルーム、図書館兼会議室、ラウンジそして館内にレストランも入っている。住戸は総戸数121戸で定住者はそのうち3ー4割程度と思われ、これらの贅沢な共用施設を使いこなすには居住者が少なすぎるようだ。主に、ジムとプール、ゲストルーム、会議室以外は殆ど使われていないのではないだろうか。また、コロナ対策でジム、プールとも1−1.5時間単位で1家族のみの予約制である。しかし、私はジム、プールともに週2−3回は使わせてもらっているが、予約が取れなかったことは一度もない。大変な贅沢をさせてもらっている。もし、私がこのマンションの所有者であったら、理事に立候補し、無駄な共用施設の廃止運動をするだろうと思うほどだ。また、駐車場は屋内にあり、場所にこだわらなければ無料で使え、100%確保されていないものの、これまで駐車に困った事はない。熱海、函南町いずれの最寄りの場所まで車で2−30分掛かる不便さはあるが、ドライブも楽しみだ。
 また、二回目の大規模修繕も昨年に実施されており、その後も問題が発生するたびに修繕が行われ、非常に管理が行き届いている。理事会も毎月開催されている。管理組合の意識は非常に高そうだ。管理費・修繕積立金も設備を考えれば決して割高では無いだろう。

3.他の別荘地と比較して

 私は以前、熱海の自然郷に別荘を所有していたこともあり、また、その別荘の購入前に伊豆半島、房総半島の主だったリゾート地は訪問している。その中で最も気に入った所が下田の碁石が浜だった。南箱根ダイヤランドも今では同じぐらい気に入っている。両所の雰囲気は全く異質である。南国と避寒地、海と森。しかし、どちらも華やいだ雰囲気があるところは共通している。毎日の様に別荘地内をウォーキングで回っているが、時々、海外の高級住宅街を歩いているように錯覚するほど瀟洒な建物に出会う事がある。他の別荘地内でよく見かける様な何年も放置され廃屋になった様な別荘を見る事はあまりない。急坂も多く決して歩きやすくはないが、他の別荘地に比較して平坦な庭のある住戸が多い。そして、よく手入れされていて雑草のない、広い芝生の庭。花壇、菜園。毎日の様に熱心に庭の手入れをされている住人を見かける。また、他の別荘地と比較して別荘地独特の寂しさを感じないのは生活感が溢れているからだろう。車が止まっている住戸が非常に多く、また、圧倒的に伊豆ナンバー多い。つまり、実際に人が住んでいる事がわかる。ウオーキングしている人、犬の散歩をしている人によく人に出会う。そして必ず知らない人でも挨拶を交わす習慣がある。

4.南箱根ダイヤランドの特徴

 ネットで調べてみるとダイヤランドには2017年の統計ではあるが、開発区域は4,150区画。その内2,654区画にの住戸が建てられている。定住率は40%近く、およそ約1,000戸に1,746人が定住している事がわかった。伊豆地方の別荘地では最も高い定住率だと思う。この定住率の高さがこの別荘地の際立った特徴だろう。戸数に対し、人口が少ないのは、定年後の高齢者が多い事と高齢の単身者が増える傾向にあるからだと思われる。ただし、高齢化率は53%と意外と少ない。バスで通学する中高校生をみる事もあるが、その数は少なく、若い世代でも通学の困難さより子供のいない夫婦の世帯が多いのかもしれない。熱海や三島近辺は車があれば30分の通勤圏であり、現役世代も居住してと思われる。函南町の人口は36千人程だが、その人口の5%弱が南箱根ダイヤランドの住人だ。町の人口の大部分は市街地に集中しており、市街地以外の地域では人口はまばらでこの別荘地は住宅地としては人口密度が比較的高い事がわかる。

 さて、南箱根ダイアランドの雰囲気はまさに私が求めていた非日常の世界だ。富士山、山の樹々、森の空気、遥か彼方に見える駿河湾。いずれも心を癒してくれる。しかし、実際に住んでみると何か違和感がある。なぜだろう?この別荘地には生活感が溢れていると述べた。しかし、普通に街で見かける、幼子を自転車で保育園に送って行くお母さんの姿、通学する子供たち、通勤のため駅に向かって歩く人の姿、バス停でバスを待つ人達の姿等々、社会生活で見かける光景が全く無い事だろう。だから、こちらで見る光景が何か想像上の別世界の様に感じてしまうのかも知れない。

 マンションのお隣さんや同じ階の住人とは親しく話する様にはなり、可愛い犬とも出会えた。しかし、まだこちらの社会に溶け込める程の知り合いはできていない。多くの人と知り合いたいと、7月下旬に予定されていたビアガーデン祭りの予約をしていたが残念ながら、コロナ急拡大で中止が決定された。夏祭りも中止となった。やはり、こちらでも我慢の自粛生活が当面続きそうだ。残念ながら南箱根ダイヤランドの本当の住人になるにはまだ時間がかかりそうだ。

以上

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