見出し画像

新型コロナウイルス変異株オミクロンによる新規感染者数の推移シミュレーション: (続報) ピークアウト後の動向について

オミクロン変異株による日々の新規感染者数の急増も2月5日ごろをもってピークに達し、今後少しずつではあるが減少傾向に転じるものと思われる。

今回は東京都の場合を例にとって、2月11日までの推移シミュレーションを行うとともにピークアウト後の挙動について考察してみることにした。

現在使用中の単純SIR式においては、人と人との接触削減率εが最も重要なパラメーターである。このεを日々の新規感染者数の報告値より算出し、その経日変化をべき数式などの外挿可能な近似式で表し、それまでの新規感染者数の推移シミュレーションとその後の予測計算を行った。

東京都の新規感染者数の報告データから算出した接触削減率の変化を次図に示す。

2月8日までの東京都における接触削減率εの変化:εは2月5日に閾値65.5%に達したとみなされる。これを境にそれまでの実効再生産数Re > 1から、以降Re < 1となる。

上図の削減率の経日変化を二つのべき数式からなる近似式で表し、2月8日までの新規感染者数の推移に関するシミュレーションとその後のピークアウトの動向について検討した。結果を次図に示す。

東京都における2月8日までの新規感染者数の推移シミュレーションとその後のピークアウト挙動:
グレイの棒は新規感染者数の報告値、赤丸はその7日平均値
紫の実線は削減率が65.5%まで増加しその後一定となるとした場合
オレンジの実線は削減率66.5%まで増加しその後一定となるとした場合
青の実線は削減率が67.5%まで増加しその後一定となるとした場合
グレイの実線は削減率が68.5%まで増加しその後一定となるとした場合
緑の実線は削減率が70%まで増加しその後一定となるとした場合

上図からわかるように、2月5日に接触削減率はその閾値65.5%に達し、ここで実効再生産数は1となり新規感染者数はピークに達する。それ以降は新規感染者数は減少するが、その減少速度は削減率がどこまで上昇するかに依存する。

削減率が65.5%までしか上昇しなければ実効再生産数は1のままで、新規感染者数の推移は高止まりとなるはずである。しかし、2月以降ワクチンの有効接種率が0.3%/dayで上昇すると仮定しているので、実効再生産数はその効果によって少しずつ減少し日々の新規感染者数も減少する(上図中、紫の実線)。

図中には削減率が66.5%(オレンジの実線)、67.5%(青の実線)、68.5%(グレイの実線)、70%(緑の実線)まで上昇しそれ以降一定となる場合の新規感染者数の計算線を示す。ちなみに2月8日の時点で削減率は66.5%まで上昇している。

オミクロン変異株による第6波は、沖縄県では1月13日ごろ、広島県では1月25日ごろ、熊本県では1月31日ごろそれぞれピークに達し、新規感染者数は現在のところ減少傾向にある。これらの県のピークアウトの接触削減率を計算すると沖縄県で約69%、広島県と熊本県で約68%となる。つまり、削減率の上限は68~69%と考えられる。そうすると今後の新規感染者数の減少パターンとしては、上図中ではグレイの実線で表した削減率68.5%の計算線が最も可能性が高いことになる。

ピーク時における2月5日の東京都における新規感染者数は7日平均で18,357人である。削減率68.5%が維持されれば2月21日には9,169人となり、新規感染者数は半減することになるのだが。。。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?