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1980-81年の思い出「アメリカで車の運転免許を取得し運転する」

久しぶりに40年前の米国コネチカット滞在を振り返ってみようという気になりました。

長女が5歳と3歳の子供たちを連れて、今週末に米国メリーランド州での駐妻生活に復帰することになったことも理由のひとつです。

今やほとんどの人たちが学生時代に自動車の運転免許を取得するようです。しかし、私が若い頃には、車はまだそこまで庶民の生活に必須とは考えられていませんでした。

したがって、長期の海外出張が決まった人たちは、慌てて日本で車の運転免許を取って国際免許証を取得するか、腹を括って現地で免許を取るか、このどちらかを選択したものです。

私の場合には、先輩の助言で現地取得を決心しました。理由は、アメリカでの免許取得は簡単で安上がりというわけです。確かにこれは本当でした。

1980年8月、現地に赴任後3週間ぐらいして中古車を入手しました。当時は日本車が絶大な人気を博しアメリカ車を駆逐し始めていた時代でした。私は、知り合いのアメリカ人が「日本車とぶつかり合いをしたら、絶対アメ車が勝つよ!」という助言に素直に従って、

シボレーの1974年型「ノヴァ•4ドアセダン」を選択しました。

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1.運転免許を取得する

まずは免許取得に至る思い出話です。

9月の初めごろから運転の練習を始めました。最初のころは、台湾人の友人に右側の助手席に同乗してもらいました。その後は、広大な駐車場と車の少ない田舎道でひとりで練習しました。当初は1時間も走って家に戻ると、ドッと疲れが出たものです。また実技と並行して、「Connecticut Driver's Manual for New Drivers」という60ページぐらいのテキストの勉強もしました。

10月の初旬ごろ、管轄の「Motor Vihcle Department」に電話して、受験の予約を取りました。最初は11月の下旬と指定されたのですが、それでは遅すぎるとクレームをつけ、結局11月の上旬に受験できることになりました。予約はもっと早く取るべきでした。

受験日の11月5日、Motor Vihcle Departmentへ出かけたのですが、午前8時30分開始には20分ほど時間があったので、近くの駐車スペースでパラレル•パーキング(縦列駐車)の練習を行うことにしました。この時まで、この駐車の精度が十分高くなかったためです。

時間になったので、Department Officeに向かい、最初にペーパーテストを受けることになりました。言語は英語か、もしくはスペイン語の選択でしたから、英語を選びました。3択問題で全20問、70%以上正解なら合格だったように記憶しています。
出された問題については、当時のメモが見つかりました。以下のようだったみたいです。

メモには、「TEST#6」を手渡されたと記述しています。

1.     What does flashing yellow light mean?
2.     What does this mean? [Uターン禁止のマーク]
3.     Drivers entering a traffic circle must yield to what?
4.     Which side should you pass, ① or ②? [真ん中のレーンを走っていて、左側から追い抜くか右側から追い抜くか]
5.     Why should you look a quarter of a mile on the highway?
6.     Where should you look when you are driving?
7.     When you change lanes, where should you check? [片側3車線の右端のレーンを走っている時、左レーンか、その左のレーンか、両方か]
8.     At night if a driver comes toward you with light beam on, when should you look?
9.     If you are planning to turn at an intersection, when should you signal?
10.  Where are you likely to find slippery spot?
11.  If it rains on a hot day, when can pavement be so slippery?
12.  What is a safe speed on the most road? ①going faster than, ②going slower than, ③keeping up with, other cars on the road
13.  What does this mean?  [⇅対面通行のマーク]
14.  In what situations, do you need an extra following distance? ①passenger car, ②wagon, ③motorcycle
15.  There is a parked car on your right and an on-coming car to the left. What should you do?
16.  How many gaps do you need to change lanes?
17.  How much distance do you need to cross traffic from a full stop in the city?
18.  What do you do if you start to skid?
19.  What do you do if the gas pedal sticks?
20.  Influence of Marijuana(詳細は無記述)


以上は40年前の試験の事後メモです。16と18については自信がないと記述していますが、おそらく90点以上は取れたと思います。3択ですので2つは誤りです。その誤りのレベルが極端で、問題を読みながら思わず吹き出してしまった記憶があります。例えば19番、アクセルが固まったらどうする?の選択肢の一つに、「手で引っ張り上げる!」というのがありました。

さて、試験官による採点後、すぐに実地テストが始まります。試験官のおっちゃんが右の助手席に座り、「出ろ!」、「まっすぐ行って、次の信号で左に曲がれ!」、「あの大きな木のあたりでUターンしろ」などと指示します。言われた通りに10分ほど運転して、ほとんどOfficeに戻ってきたところで、「最後に、ここでパラレル・パーキングしろ!」との指示を受けました。

私は、「えっ、ここで、ここで本当にいいの!」と心の中で叫びました。何とここは、1時間ほど前に練習したところではありませんか。しかも、練習台にした同じ車2台がまだ止まっていました。私は、平静を装いながらも、自信を持って100%成功したのでした。当たり前ですよね!同じシチュエーションで2、3回も直前に練習していたのですから。

以上で晴れて運転免許証を取得したのでした。

アメリカの運転ルールや習慣で面白いと思ったのは、1)赤信号での右折可、2)駐車はバックより前からの方が圧倒的に多い、ということでした。これらは、交通量が多く、スペースの狭い日本では難しいのかな?

引き続いて、このアメ車に纏わる苦労話を書きたく思います。

2.車を運転する

この車、シボレーの1974年型「ノヴァ•4ドアセダン」を選択した理由のひとつは、当時知り合いになったばかりのアメリカ人の一言、「この車だったら、日本車とケンカしても勝てるよ!」でした。

しかし、何といっても車体が重かった。結果、燃費が悪かった。遠出したときにはいつもガス欠を気にしながら走っていたものです。

免許を取得した直後の1980年11月中旬には降雪があり、妻と生後半年の長女が合流したクリスマスごろから翌年正月にかけては積雪が続きました。

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当時はまだまだ若葉マークなのに、不慣れな雪上の運転を強いられたわけです。スノータイヤはつけたものの、雪が積り初めた路面は滑りやすく、案の定、交差点を左折したところで路肩のスノーバンクに突っ込んでしまいました。この車の問題は、このような場合、車体が重たいために簡単に自力では脱出できないことでした。その結果私はショベルを取り出して、正月早々、車の背後の雪かきをせねばなりませんでした。

同じような状況は雨でひどくぬかるんだ泥道でも起こりました。そのような時には、通りかかった車の人に頼んでロープで引っ張り出してもらうしかありませんでした。

寒い時には、すぐにバッテリーが上がってしまう傾向がありました。スーパーマーケットの駐車場でエンジンがかからず、見知らぬ人にジャンクしてもらったことが何度かありました。バッテリーチャージャーとケーブルは常備品でした。

原因不明のエンスト、ワイパーやウインカーの故障も経験しました。エンジントラブルに際しては、空港まで送っていただいた隣人の故Jerry Rowe氏、遠方から家まで送っていただいた、見知らぬ人々に改めてお礼を述べたい気持ちになります。

飲酒運転もしました。ごめんなさい!駐車違反も何回か犯しました。その度にマンスフィールドの役場に行って少額の罰金を払いました。スピード違反もしました。高速道路を走ったあと車の少ない田舎道に入ると、どうしてもその道の制限速度を上回って走りがちになります。一度こんなことがありました。

前方の信号が青だったこともあり、明らかに制限速度オーバーで交差点を走り抜けました。その時、左手の道路に信号待ちのパトカーが目に入ったのです。「しまった!」と思いました。バックミラーを見ると、信号が変わってパトカーが左折し、私の車の後方に近づいてくるのが見えました。私は車のスピードを落とし、後部座席の妻に、にこやかに笑いかけるよう指示しました。パトカーが追いついて追い抜く時、私は「ヘロー」と窓越しに挨拶しました。そうすると、ポリスの一人は、自分の親指と人差し指を立てて私に向け、あたかも銃を発射するような仕草をして前方に走り去って行きました。

私は「何という粋な計らい!」と感動さえおぼえました。

ところで、下の写真は車の前と後ろです。

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後ろにはライセンスプレートが付いていますが、前には付いていません。コネチカット州では前にナンバープレートをつける必要はなかったのです。しかし何もないとちょっと格好が悪いので、飾りのプレートを付けている人もいました。私も一応買ったのですが、車ではなく部屋の装飾に用いました。

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この車、米国を離れるとき一度はタッグセールに出したのですが、購入希望者とは折り合いがつきませんでした。その結果、お世話になったRWCの娘さんでアンという若い女性に安く売りました。毎年届くクリスマスカードには、その後10年以上は現役として元気に走ったと記されていました。

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