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”TDL値上げ”の目安となってきたKPIとは(考察)

最近、NetflixやAmazonなど能動的な値上げを行う企業が注目されています。素晴らしいプロダクトを提供しているからこそできることだと思うものの、どういうFactをもって値上げに踏み切っているのかが気になっておりました。

今回はデフレ大国日本で値上げを続ける東京ディズニーランド(以下TDL)がどういうKPIを見ながら入園料の値上げを決定しているのだろうかということを勝手考察していこうと思います。

結論1: 2014年までは”1時間あたりチケット料金”が目安

勝手考察なのですが、2014年辺りまでは”1時間あたりチケット料金”が目安になっていたのではと考えられます。

チケット料金だけを見ているとどんどん上がっていくように見えるのですが、注目してもらいたいのが平均滞在時間の伸び率です。
開園当初の平均滞在時間が6.2時間だったところが、2014年にはなんと8.9時間まで伸びています。TDLで味わえる素敵な体験が増えていった結果として、滞在時間が20年で2.7時間も増えていることには驚きました。

”1時間あたりチケット料金” = ”チケット料金” / ”滞在時間”

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滞在時間の伸びを考慮した、"1時間あたりチケット料金”は開園から2014/3まで600円台を維持しているのがわかります。オリエンタルランドは、この指標を見ながら適切にチケット料金の改定を行っていたのかなぁと感じました。

ただ、この”1時間あたりチケット料金”は2019/3でドンと800円台まで上がっていること、2020/3以降平均滞在時間が開示されていないこと、から、今はもう重要指標とはなっていない気もします。

結論2: 2015年以降は入場者数に合わせた価格改定

2014年までは仮に”1時間あたりチケット料金”を目安に値上げを決めてきたとしても、上記でも記載した通りで今はもうこういった考え方はしていないのではと思います。

というのも、現在の平均滞在時間8.9時間というのが結構限界まできており、これ以上この指標を追いかけても売上拡大は望みにくいからです。

2015年以降はパークのキャパシティーの問題もあって来場者数は横ばいで推移しており、テーマパークのキャパシティーを大きくして入場者数を再成長させていくための準備期間となっています。
そのため、2015年以降は既存のキャパシティーに合わせた入場者数を集客できるチケット料金水準を見極めつつ、価格改定をしていそうです。

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まとめ

全て考察でしかないのですが、価格改定という重要な判断を行うにあたっては必ず何かしらの指標を目安としているのは確かだと思います。

そして、今後の状況変化によっても目安となる指標は日々日々変わっていくものでもあります。

経営企画のお仕事をしていることもあり、値上げという重要判断を各社がどのように行っているのかは非常に興味がある話です。今後も機会があったら、色々な会社の値上げ事情について妄想を膨らましていこうと思います。

なお、今回妄想するにあたっては、オリエンタルランドが開示していFACTBOOKを参考にさせてもらいました。今回の記事に載せた数値以外にも、性別、世代別、地域別、などさまざまな切り口で入場者数を開示していて面白かったのでリンクを載せておきます。

http://www.olc.co.jp/ja/ir/library/factbook/main/00/teaserItems1/00/file/factbook2021.pdf

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