截金(きりかね)をやってみる?

仏像彫刻の修行時代に、截金という技術を教えてもらい、手伝っていた時期がある。

金箔を竹のナイフで0.数ミリの幅に細切りにして、のりで仏像の表面などに貼り付けて縁取りしたり模様を描いたりして装飾するというもの。

自分は主に金箔を一定の幅に切る担当。たいてい0.3〜0.5mm、細いものでは0.2mm以下の幅に金箔を切っていた。

金箔を貼り付けるときは、両手に一本ずつ筆を持ち、片方の筆に細切りの金箔を巻き付けて、もう一方の筆にのりをつけ、のりで仏像の表面にラインを描き、その上を金箔の線をのせていく、とても慎重さがいる作業。金箔は息や空気の流れでそよぐ。窓も開けられず空調の空気の流れも妨げになる。鼻息の荒い人は不向き。
Facebookで截金をやってみたい人いるかなぁと尋ねる投稿をしたら、予想以上にやってみたいという声が集まったので、彫刻教室の折にか、別の日にでもやってみようかと思うけど、はたしてあんなの一般の方が投げ出さずにできるのかなぁ。
まずは自分が金箔を切れるのか、貼れるのか、10年以上ぶりに試してみないと。

私のお師匠さんのさらにお師匠さんの奥さんは人間国宝にもなった截金の先生で
いちど展示を拝見しているが繊細でスキのないセンスでもうさすがである。若くして亡くなられてしまった。
ところで仏像を彫るほうで人間国宝になる方はおそらくこの先もいないと思う。
人間国宝とは通称で、重要無形文化財保持者、なので過去から未来へと受け継いでいくべき貴重な、そしておそらく希少な、技能を保護するための絶滅危惧種、的な位置づけと思われるので、担い手がそれなりに多くて技術が途絶えそうにない仏像彫刻は対象にはならなさそうだ。
彫ったお仏像が国宝や重要文化財になるのもなかなかむつかしい。国宝の仏像はすべて鎌倉時代かもっと古い。重要文化財のお仏像が2000件以上あるなか、江戸時代の像は30件足らずで、あとはもっと古い像。
何百年か後まで彫ったお仏像が大事にされれていて、人類や国が滅んでいなければあるいはチャンスが?

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