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『仕事美辞』AYANA

残念ながら、なのか幸いなことに、なのかわからないですが、私は気楽なパートタイマーなので、現在の仕事に対してなにか不満があるとかはまったくない。

不登校の中学年の息子がいる家庭で、夫と交代で出勤する(なので夫の仕事次第で私の出勤日や時間が変わる)という我儘を受け入れてくれる職場なので、文句は何一つない。

それでも。

数年前、適応障害になってからというもの、私のなかの人生の最優先事項は「2度と適応障害にならないこと」。息子を除く。体力的に、そしてそれ以上に精神的に負担をかけずに生きていくこと。希死念慮は生まれるし、家族に迷惑かけまくるし、回復に時間はかかるし、最悪どうなるかわからないしで、いいことなんてひとつもないのである。正社員として安定した収入を得ることができると、今後の教育費の懸念も減るので企業の正社員とかになれればいいななんて思うのだけれど、また適応障害になってしまったらどうしようという不安がどうしても頭の中で大きく鎮座しており、一歩を踏み出せない。やりがいと使命感を持って仕事をしたいなという思いはあるのに。

と自分語りをしてしまいましたが、仕事観に対するモヤモヤを抱えていたので、大好きなビューティーライターAYANAさんが仕事についての新著を出されると聞いた時は速攻で予約しました。その『仕事美辞』についてのレビューですこれは。前置きが長すぎた。

言うまでもないことですが、多くの人が働くことについて悩んでおり、その内容は多種多様。漠然としたものもあれば具体的なものもある。そういうことで悩む人いるのかとハッとすることもあれば、悩む対象やメンタリティが似ていて共感することも。悩みの種類が多岐に渡っているので読んでいて興味深いのはもちろんですが、1番読み応えがあるのがAYANAさんの回答の分析力の高さと質問者への背景に馳せる想像力の高さです。

相手を無碍に否定しないことは当然として、質問文から推測される質問者の性格や状況に思いを巡らせ、感情や事態を分解して紐解いていく様に唸ってしまいます。そしてそれって優しさや思いやりがないとできないよな、って。

AYANAさんの文章の何が好きって、この解像度の高さというか、深度の深さというか、私にはボヤッと、モヤっとしか知覚できていないことをとてもはっきりと文章にされているところなんです。あぁ、私がボヤッと思っていたのはこれだったのか!と答えを見せてもらえたような爽快さがある。かといって、この『仕事美辞』の相談はズバッと解決!!!みたいな様子ではなく、あくまでも寄り添うような、コーチングのような、頼りになるお姉ちゃんのような優しさで半階上から手を取りながら先を指さしてくれているような柔らかい回答なのです。

あぁ、やっぱりAYANAさん好き!と読み終えて思いました。きもい。

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