コミュニティ・ダイビング

以前登場していたのとはまた別の、知り合いの患者に言われた言葉。
「神無さんって、入院してコミュニティに入るのって苦手なタイプ?」
私は全力で即答した。
「苦手っすね!」

ここでのコミュニティとは起きてから寝るまでの時間を過ごす集団のことを指す。
彼女のように、人とのおしゃべりが好きだからしれっと既存の集団に混ざっていくような人もいれば、私のように新たな人間関係の構築が苦手で必要最低限の接触しかしないという人もいる。
どちらの性格も咎められることはないし、またどちらが正しいとか悪いだとかを言われることもない。それは性格だったりしょうがいだったりの特性だからだ。(障害の特性、という
単語は例えるなら発達障害をイメージしてもらうのが一番手っ取り早い気がする)

精神科の閉鎖病棟は、一種の社会の縮図だと思っている。
短期間、長くても3ヶ月の時間を送る場所で、入院という出会いから退院という別れまで、その間の様々な出来事がひたすらに凝縮される場所。
実は精神科の入院って普通に暮らす以上にハードな経験を求められる場所なのかもしれない。
別の病院で期間不定の任意入院となると、それは社会の縮図ではなくもはや社会だ。
私はまだその領域に足を踏み入れたことはない。踏み入れたいとも思わない。変な意味はない、単に新しいコミュニティが恐ろしいという理由だけだ。

しかしこのままで私は大丈夫なのだろうかと思ってしまうのも事実。
社会復帰のことを考えると、ここで他患者との接触を図って練習するのも必要なのではないだろうか。たとえ傷つくとしても。
主治医「変なことして今ダメージ受けると退院に影響しそうだから、本当におすすめしない
……あ、はい。無茶するのやめときます。