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よちよち ちよが来た

もう一ヶ月経ったのか!

カレンダーを見て、びっくりした。
我が家に犬が来てから、もう一ヶ月が過ぎていたのだ。


***


話は半年前に遡る。

当時、我が家は人間2頭、猫3頭。にゃんにゃんにゃん天国だった。
しかし、幸せな時間は突然失われた。

我が家の大きな子猫、メインクーン種のハルマチくんが、病気で死んでしまったのだ。

ハルマチくんは、我が家のムードメーカー。毎日お腹が痛くなるほどの笑いを提供してくれていた。今でも、我が家で彼の話題がのぼらない日はない。

そして大きな子猫だった。メインクーン種の成長期は、普通の猫の3倍の、三年間。成長すると、人間の大人が腕を広げたくらいに長く大きくなるのだ。
ハルマチくんの腕は、他の猫の1.5倍。骨もがっしり太かった。これはさぞかし、大きな大きな猫になるのだろう。毎日その日が楽しみだった。

それが、病気で死んでしまった。闘病期間、わずか2ヶ月。冬の晴れた夜に、彼は身体を抜け出した。

まぶたが溶けてしまうんじゃないかと思うほど、泣いた。庭の隅に、ハルマチがいないのが寂しかった。他の猫と寄り添うように眠る姿が見られなくなって、苦しかった。

けれど、彼の残してくれたものは、悲しみばかりではなかった。

彼を偲び、語り、笑い合って、わたしたちは少しずつ元気になっていった。

そして春になって、わたしたち人間は、新しい家族を探すことにした。


***


なぜ、犬なのか。
一番大きな理由は、「散歩がしたいから」だ。

わたしは在宅で仕事をしている。家で仕事をする、つまり、通勤が無いことと、ご飯が美味しいことは良し悪しだ。

要するに、運動不足で太ったのだ。

また、この街に越してきて一年。車で移動する生活となり、以前ほど街を歩くことがなくなった。東京にいた頃、通勤中に感じていた季節の移ろいが、田舎に来て遠のいてしまったのだ。これはちょっと寂しいよね。

そこで、犬の出番。犬と言えば散歩でしょう。

それに、猫2頭との落ち着いた生活もいいけれど、新しい家族と一緒に、やっぱりワイワイ騒ぎたい。


心が決まってから、さっそく犬を探しに行った。

ペットショップにも犬はいるけれど、生き物を買うのは、ハルマチのことも思い出されて抵抗があったので、里親募集の掲示板や譲渡会をまわることにした。

意外というか、当たり前というか、犬の里親募集は、猫のそれと比べて少ない。それはそうだ。街に野犬はなかなか居ないからね。

いくつかの団体と交渉し、紆余曲折があって、2019/5/19に、我が家に犬がやって来たのだ。


***


インターネットの里親募集サイトで、わたしはその子を見つけた。

「ブリンドル柄の茶々ちゃん」

それが、その子の名前だった。

山口県の野犬の子犬で、約1ヶ月。大きさは中型犬になると思われる。

ブリンドル柄とは、黒茶白まだらのような柄。ある団体でわたしが一目惚れした犬と、同じ柄だった。

いちばん大事なのは、猫との相性。我が家には先住猫がいるので、彼女たちとうまくやっていけなくてはならない。
猫と犬と一緒に住んでいる(保護している)人は少ないので、どの団体に行っても、
「猫との相性は、よく分からないですね」
という回答ばかり。

それが、茶々ちゃんを保護している家は、犬も猫も保護しているそうで、
「この子は、猫と一緒にいても大丈夫」
と太鼓判を押してもらった。


決まらないときは全然だけれど、うまくいくときには物事はスルスルっと進んでいく。

「明日、譲渡会が中止になりそうなので、そちらのお宅に茶々ちゃんを連れて行っていいですか」

金曜日に電話を受けて、土曜の昼には、茶々ちゃんがやって来た。


山口県から福岡県の長旅で、その日はぐっすり眠ってしまった茶々ちゃん。

今度は長生きしてほしい、そう願いをこめて、名前は『ちよまち』とした。
我が家の子は、名前に『まち』をつけると決めている。たまたま、博多に『千代町』という地名もあって、ぴったりな名前だと思っている。


いまは犬も室内飼いが基本だという。ちよちゃんも当然室内飼い。トイレを成功したり、失敗したり、猫を追いかけたり、猫に怒られたりしながら、ぐんぐん成長中。

家に来たときには、2.4kgだった体重も、今や3.8kgに増えて、猫の大きさも越えてくるようになった。

ワクチンをあと1回、狂犬病の予防接種を1回受けなければいけなくて、まだ外を散歩できる日は遠い。

けれど、今日はお庭をプレ散歩してみた。いろんなにおいに、興味津々。

人間2頭、猫2頭、犬1頭。そしてハルマチ。

令和も騒がしいわたしたちを、どうぞよろしくお願いします。


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