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20年以上昔のインプラント【歯の話②】

20年以上昔の話です。
高校生だった私は、自転車事故で前歯を4本失い、インプラントをすることになりました。

自転車のハンドルの中心部分に口元を激しくぶつけ、顎のちょうつがいになっている所と、下顎を2ヶ所骨折しました。

ちょうつがいの部分は、手術も検討されましたが、関節の手術というのは難しいらしく、上下の歯(正確には歯と歯の間の部分)を針金でグルグル巻きにして固定させ、自然にくっつくのを待つ方法がとられました。
おそらく2ヶ月位口を開けられなかったと思います。

口が開かないので、栄養は鼻からチューブを入れて摂っていましたが、いかんせん高校生、旺盛な食欲は我慢できません。
幸い(?)前歯が4本折れていたので、そこからゼリーをすすったり、クッキーなどのお菓子は砕いて牛乳で水分を含ませ、歯が折れて開いているところから必死につめこんでいました(笑)。いま思うとすごい執念…。

インプラントに関しては、前歯の上の骨の部分もダメになっていたので、なんと自分の下顎の骨をブロック状に取り出して移植することになりました。
おそらくいまならば、良い人工骨があるので、自骨移植という手段はとらなくて良いのではないかな、と思います。
(実際、アラフォーになってからのインプラントでは人工骨を使いました)

骨の移植も、インプラントの杭打ちも、すべて全身麻酔でオペ室で行いました。
それほど当時は大手術だったのだと思われます。
(最近受けたインプラントは、個室ではありましたが、先生は前後で他の患者さんを見ながら行き来していて、「ちょっとややこしい歯科治療」という風に感じました。麻酔は、歯茎に打つ局所麻酔と、ブロック注射でした)

当時、執刀してくれたのは、地元の市民病院の口腔外科に週一で来ていた先生で、インプラントで有名な方だったそうです。
今では考えられない(?)ほど、太い杭で斜めに打たれていますが、術後何年も経って別の歯医者さんでレントゲンを撮ると、歯科医やらが数人集まってきて「うわー絶妙な角度だね」とか「すごいねー」なんて頭の上で言い合われたりしました。
口腔内が個性的なことは確かなようです(笑)。

骨移植→杭打ちの後、実際に歯が入ったのはずいぶん経ってからだったような気がします。
というのも、高校三年の年末の事故で、その後一浪して入った大学の新人歓迎合宿中に、泥酔して仮歯を紛失し、サークルの先輩達から後々まで「前歯のない一年女子」とネタにされ続けましたので。
大学一年の春頃はまだ歯が入っていなかったということです。
(つい最近手術したインプラントでは、骨の状態次第ですが、早ければ4ヶ月くらいで歯を入れることができるそうです)

また、ここからが重要な話ですが、費用の問題も当時はいまよりもはるかに大きかったと思います(いまも痛いですが…)。
私の場合は、骨折をしていたり、1ヶ月ほどの入院があったりしたので単純なインプラントと比べることはできませんが、一連の治療が終わった後に母親から「あんたのインプラントで200万以上かかった!」「今後、歯科にかかるときは自分で払って!」と言われました。
通学中の事故だったので、後に保険でいくらかは戻ってきたそうですが。

当時よりもかなりインプラントが身近になりましたが、いまでも費用や手技はかなりピンキリな気がします。インプラント治療をご検討の方は、いくつか歯医者さんを受診してから決めることをおすすめします。インプラント治療をうたっている歯医者さんでも、実際の手術実績は少なかったり、やり方によって費用が莫大に膨らむこともあります。

実家の家計的にも大出費となってしまいましたが、当時入れたインプラントは20年以上経ったいまでも問題なく使えています。
上唇を歯茎までグイッとあげると杭が見えますが、私は笑っても歯茎が見えるタイプではないので気になりません。

ただ…20年以上経った今、おそらく長くインプラントを入れていたことによる弊害も出てきました。
長くなってしまったので、この話はまた次回に。




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