某県某知事

昨日夕方に飛び込んだ一報は県内だけでなく日本全国を驚愕させたに違いない。巷を騒然とさせた失言の責任を取る形で、十何年間某県のトップを務めた某知事が辞職するというのだ。ここまで他県民に嫌われた地方政治家というのも珍しい。良い意味でも悪い意味でも、某県某知事は県内外に強い影響を与えた人だった。

そんな某氏のことで某県民以外がまず思い浮かべるのは例のリニア問題に違いない。某県の出っ張った角の部分を通過するリニア新幹線を巡り、某知事とJRは長らく激しい口論を交わてきた。先日2027年完成が公式に取り消されるに至るまで、某知事は某県内の区間への着工を許さなかった。

これについて、きっと他県民、特に沿線自治体の数千万人の人々には某知事が「よく分からない実在するかも分からない理由でリニアを止めてる狂人」に見えているだろう。某県民の私でさえ正直納得しかねる所もあった。

しかし、大井川の水域で暮らしている人々がいる限り、某知事はある程度多くの人を代弁していたということには変わりがない。大井川の水問題は確かに実在する。出っ張りの部分を貫通するトンネル工事でどれぐらいの水が流れ出るのか、それとも出ないのかは分からないが、大井川の水の増減に生活が左右される人々がいるのは間違いがない。
SNS上ではこんな意見が散見される。

「某知事はクソ!某知事を選ぶ某県民もバカだろ!」
「これ、もう某県を解体する時なのでは?」

某知事のやり方に対する批判はまあ必ずしも間違いではないのだが、一つ目の意見に関して言うなら、そもそも某知事のような人が4選されている理由を考慮していないように思う。二つ目に関しては小中の社会と道徳の授業で何を食ってきたのか、理解できない。この手の意見は米軍基地や自衛隊の増強に真っ向から対決姿勢を取っている別の某県に対して言われる事も多いような気がする。

やはり某知事は結果として間違った手段をとったのかも知れないが、一方でリニア問題から見えてくるのは某知事やばいとかそう言った事だけではなくて、一部の都会人の地方軽視的な態度なのではないか。はっきり言って某県民にとってリニア開通には何の恩恵もなく、むしろ大井川の水問題という自分達の生活に関わるかも知れない問題があり、強いていうなら害しかないのだ。リニア新幹線が国策であるのも当然分かるが、あくまで地方の事が軽んじられてはならないと思う。何となくリニア問題自体が某知事単独に要因があって引き起こされている様なイメージになっているかも知れないが、某知事がある程度代弁している人々がいるのも忘れないで欲しい所だ。

某県某知事は結局自分の口で自分を殺めてしまった。もうちょっとものの褒め方が上手で、もうちょっと外交力があれば、もう少し良い政治家として政治家人生を終えられたかも分からない。

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