見出し画像

第2回tam contest(AIイラストコンテスト)の審査を終えて

はじめまして。
昨年から画像生成AI(niji journey)を使ってAIイラストをつくっている、
まにまにと申します。
最近はAI絵本やAIイラスト集などをつくったりしています。


この度、tamさん主催のAIイラストコンテスト、
『tam contest play 2』に審査員として参加させていただきました!


他の審査員の方々は、画像生成AIが特に盛り上がった4、5月頃よりずっと前から活動されている方ばかりで、元々審査をやってみたい気持ちはあったのですが、少々浮き足立っている状態でコンテストは開始となりました。
実際、参加された方々の中には私の推し術師の方も多くいらっしゃって、私が審査する側でいいのだろうか…と何度も思いましたし、最終的な応募総数は94枚(うち選考対象外1枚)の中からたった2枚を選ぶのはものすごく大変でした。
でも今は関わらせてもらってよかったな〜と素直に思ってます!
コンテストに関わったみなさん、お疲れ様でした!
そしてtamさん、この度は素敵なコンテストの開催と、審査枠にご招待いただいてありがとうございました…!


今回のコンテストの結果は以下の通りとなりました。

今回私が選んだ2枚のイラストについてのコメントと、最後まで選ぶのを悩んだ作品に対するコメントと、審査を終えての感想を書き残しておきたいと思います。


今回私が選んだ2枚

まず、最終的に選んだ2枚のイラストのうち、
私の中での最優秀賞はゆき@AIイラストさんの
「永遠の約束」というイラストでした。

「永遠の約束」というタイトルとイラスト全体から、いろいろな想像を掻き立てられる1枚でした。
こちらをまっすぐ見つめる黄色い目をした少女と別の方向を向いている同じ色の目をした黒猫、下へぽたぽたと垂れている黒い液体のような何か、
記憶の渦を表現しているような背景。
シンプルな構図ではありますが、いろいろな解釈の仕方ができて、物語性を特に感じさせる作品でした。素晴らしいです!

次に、私の中での優秀賞が、
やん@AIartさんの「希求」というイラストでした。

画面全体に飛び交っている蝶々は「魂」や「死」を連想させる生き物であることや、「希求」というタイトルから、儚げな表情で横たわっている少女が何を望んでいるのかを深く考えさせられる1枚でした。
今回のコンテストのテーマが「黒」なので「死」を連想するイラストは多かったですが、イラストの中にあるピースを一つ一つ組み合わせることによって、直接的ではなく鑑賞側に想像の余地を与えているような作風に、不思議な魅力があると思いました。光と影のコントラストも美しいです!

以上の2枚が、私が今回選ばせていただいたイラストです。
本コンテストの審査基準は完全に審査員に委ねられていることもあり、
私は物語性の感じられるイラストが好みなため、作り手がどのような意図でつくったのかに重きを置いて審査をしました。
そのため、若干作画が崩れていたりしても作り手の意図が感じられれば、
加点を大きくしました

また、参加者の方のフォロワー数や日頃どのような作風でイラストを制作しているか等は加味せず、投稿されたイラストのみの印象で決めました。

他にも、最後まで悩んだ作品が3作品ほどありましたので、そちらのコメントも残しておきたいと思います。私なりの解釈を存分に含んでおりますので、その点はご了承ください。

私が最後まで悩んだ作品



れもんすいさん

独創性が特に感じられるイラストでした。
水槽の中にいる魚たちの表情が恐怖感を引き出しており、
中央の人物はなぜ水族館に恐怖しているのだろう?
何か過去にトラウマがあったのだろうか?等、
いろんなストーリーが頭に浮かんでくる1枚だと思いました。
イラスト全体のおどろおどろしさや色味がテーマにきちんと沿っており、
とても好きなイラストです!

かいでぃーんさん

私自身がこういったテイストの絵が大好きで、選ぶかどうか最後までとても悩みました。
夏独特の儚さと少し昔の日本の風景をモノクロの色彩で表現されていて、
花火の鮮やかさが際立っています。「夏ノ思影」というタイトルも、
「面影」ではないというところがよく考えられているなと思いました。
第一印象とイラスト全体の雰囲気の良さでいうと私の中では一番でした!

夕焼ましろさん

今回のコンテストの中で、発想が一番素敵だなと思いました!
灯籠流しをイラストのモチーフにしていることと、題が「さよなら、わたし。」であることから、死者を弔っている様子を人物に見立てているのだと思われます。
中央の2人の人物は双方共に、またはどちらかがすでに死者であり、霊体となっている可能性も考えられます。
そう考えると、例えば着物が死装飾などであればその考えはおそらく正しいのですが、2人ともまだ顔に赤みがあり、着物も右前で着着していることから、まだ2人とも生きている可能性も考えられます。
2人とも生きているとすれば、「さよなら、わたし。」とはどういう意味になのだろうか?と思わず深読みさせられる1枚だなと思いました。
これは完全に私の好みになるのですが、たとえば全体の色彩のトーンが少し抑えめで、衣装が死者を彷彿とさせるようなものになっていれば、間違いなく選んでいた1枚です。(批評家みたいなコメントになってすみません)

作品のコメントは以上となります。
おそらく、AIイラストをこんなにもじっくりと眺めたのは始めてだろうな思えるぐらいどの作品もキャプションを含めてじっくりと見させていただきました。
他にも素敵な作品が本当にたくさんあったのですが、
全部書くと大変なので以上とさせていただきます。
最後に、今回の審査を終えての感想を述べて締めにしたいと思います。

コンテストの審査を終えて

今回のコンテストのテーマである「黒」はシンプルがゆえに人によってさまざまな解釈が見られ、大変勉強になりました。
全体の色味、感情、何かのアイテムやモチーフとして、背景などに一部分取り入れたり等、人によって全く異なる「黒」の解釈が1枚のイラストとして表現されており、審査するのはとても難しいものでした。上記に挙げた作品以外にも最後まで悩んだ作品はたくさんあるので、月並みな表現ですが、どの作品が受賞しても全然不思議ではないと思いました。

また同時に、AIイラスト1枚から作り手の意図を読み取る難しさを思い知りました。AIイラストを使用した経験のある方ならご存知の通り、作り手の意図しない、偶然性を伴って表現されたものをAIが画像として出力することはよくあることです。それが今回のようなコンテストなどに投稿されたものに含まれている場合「作り手が意図して残しているのか、偶然の産物なのか」を審査する側が見極めるのは相当難しいです。

100%人の手によって描かれたイラストであれば、線や色使いに多少の偶然性は含まれると思いますが(この色を使う予定じゃなかったけど綺麗だから残しておこう等)、ほぼ全て作り手が意図して描いたものが最終的なイラストとして完成するでしょう。
しかし、AIイラストから作り手の意図を読み取ろうとするならば、使用されたプロンプトを想像したりする必要も出てくるため、通常のイラストの鑑賞とはまた違った見方になります。

とはいえ、プロンプトが想像できないような表現もまた、AIイラストしては魅力的であると思いますし、プロンプトを全く無視して出来上がったAIイラストであっても、鑑賞する側がそれを良いと思えば、その人にとっては良い作品であることは間違いないと思います。結局のところ、最終的に鑑賞する側の解釈に委ねられる点は、手描きのイラストもAIイラストも同じなのだと思います。

また、AIイラストを審査・評価する場合において、本来の「アート」の解釈を含めた批評をするべきなのか、「AIの作品」として評価するべきなのか、それとも両方なのか、などなど考え出すとキリがなく、ツイッターでいいねをするのとは訳が違うなぁと思いました(それはそう)。

長々と書きましたが、最後に言いたいのは、今回のコンテストの目的にもある通り、AIイラストがこれからも盛り上がってほしいなということです。AI技術は人間の可能性を広げてくれる新しいツールです。Midjourneyが世に公開されてからわずか1年で、とてつもない進化を遂げていますが、きっと数ヶ月後にはまたさらに進化しているのでしょう。そんな常に驚きを見せてくれるツールを使って、みんなでわいわい盛り上がっている光景を、これからも見たいなぁと思っています。最後までお読みいただき、ありがとうございました!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?