あなたの目になりたい

もう寝ようと思っていたのですが

最近節約をしていて本もその対象として

今ある本を読み終わってから本屋に行こうと思ってのですが、

用事があって言ったら最後

4冊買ってしまいました

そんな中ふと見た本棚に惹かれ手に取ると

電気が走ったような感覚に陥り

即座に購入しました

最果タヒ著

「夜景座生まれ」

詩集です。

大学生の頃、いつも一人行動

授業を受けていても、世界に私一人なんじゃないかって思う時期がありました

そんな時私を救ってくれたのは、本とそこに紡がれている言葉だった

大学の図書館の詩集コーナーはとても暗くて、奥まっていて、いつも人がいないような空間にあった

導かれるように足を運ぶその先にあったのは

あの有名な谷川俊太郎の詩集だった

名前は聞いたことある程度で、ちゃんと読んだことがなかったのですが

衝撃を受けた

私の心の中をぐいっとスコップでえぐるような

この人の詩の世界

この人の言葉の世界は

私の居場所なのだと思った

やっと見つけた

安心できる場所

あの時期、絶望的だった私にとって

一筋の光のようだった

最果タヒさんの言葉からもそんな衝撃が蘇った

最初の何編か読んで息切れを起こして

一度本を閉じた

ため息さえでるほどに

美しい言葉たち、それでいて鋭くて、私の心をスッと切りつけてくる。

息切れを繰り返し、何度も本を閉じたのだけれど、読まずにはいられない衝動。

深呼吸をしながらじゃないと読めないほどに。

小学生のころに好きな人を見て思った

あの人の目になりたい。あの人になりたい。あの人が着る服になりたい。

それほどまでに、相手のことが好きだった。

むしろその感覚が好きかどうかの尺度だったのだ。

でも、好きな人と幸せな時間を過ごすことが少なかった私は

いつしか、そこまでに誰かを思う先には苦しみが待っていると思い

この感覚に蓋をした。

そんな幼き思いを思い出させるような

興奮がとまらない時間となった。

愛と詩と生と血と海と。

「きもよりきみの肌についた、雨粒に愛されたい。」

「きみの手はあたたかいと、ぼくは早くきみに言いたい」


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