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月と六文銭・第十四章(12)<先行公開>

 田口たぐち静香しずかの話は続いていた。厚労省での新薬承認を巡る不思議な事件に武田は引き込まれ、その先の展開に興味を示していた。
 厚生労働省とパイザーの新薬承認を巡る交渉でパイザー側は担当の課長補佐・友田ともだ泰弘やすひろと事務官・服部はっとり昌子まさこを狙って行動を起こした。

~ファラデーの揺り籠~(12)

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 服部は立ち上がりにくいのか、少しためらってからファイルを腹の前に持ち直して、軽く会釈して左を向いた。そのまま事務室に繋がっている扉に向かって歩き出した。
 ウェインスタインが音は出さなかったものの左手の指をスナップさせた。オイダンと話していた友田は気が付かなかったが、その瞬間、服部は体をピクっと反応させて、膣から脳へ、そして、再び膣へと電気が走ったように感じて、一瞬バランスを崩したので、扉のドアノブを掴んで体のバランスを取った。
 事務室に戻った服部は額に汗をかき、顔を赤らめ、全身がだるいのか力が入らないようだった。
「服部さん、大丈夫ですか?少し横になった方が」
 机に戻った服部を隣席の事務官が気遣った。
 服部は分かっていた。この感覚は昨夜ボーイフレンドと久しぶりにエッチをした際に得た快感と似たものだった。あの外国人は自分を見つめ、立ち上がる際に、何らかの刺激を送ってきたのだ。自分の唇も胸の先も敏感な突起も直接触られたような感じがしたのだ。熱があるとか、体調が悪いとかではなく、いわば軽くイった感じがするのだ。
「ちょっと席を外します」
 服部は机の一番下の大きめな引出から小さなポーチを取り出して、トイレに向かった。
 隣の事務官は「急に女の子期間に突入したのか」と思い、逆にちょっと安心した様子だった。もっと大変なことになるようだったら、服部のことも心配だが、今のプロジェクトがどうなるのか、気懸りで仕方がなかったのだ。
 服部はフロアを変え、広めの個室のある女子化粧室に入り、ポーチからタンポンではなく、似た形のバイブレーターを取り出した。クリトリスに当て、スイッチを数回押して振動をMAXにした。外に音が聞こえる気もしたが、どうでもよくなっていた。とにかく早くいイってすっきりしたかったのだ。

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