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ボクを包む月の光 読後レビュー

ジャンル:SF
評価(5段階評価):2
状態:完結(15巻)

※以下大いにネタバレなどを含む時があります。

▽内容
僕の地球を守っての数年後という続編。前作主人公の子供視点(蓮)で描かられる。学校生活や子供から見る前作主人公、新しいキャラクターの事件などがライト目に描かれる。
内容としては「学校編」「アメリカ編」「蓮暴走編」「輪編」という構成に分かれておりで、それぞれ何かあると月世界のシオン、モクレンが力を貸して解決してくれると言う内容(輪編だけは厳密には異なるが)。

▽感想
作品の性質上、二つの観点の感想を行いたい。

一つは前作を知らない人としての感想。
前作のファンサービスで作られた以上のものではない。前作の緊張感を今作品に持ってくることは比率として少ない。平和な未来なのでそもそもその世界観を持ってくること自体はナンセンスであるのだが、だんだん前作品の比率後高くなり、いつのまにか父親が主軸になっているのはいかがなものか?平和になったよくある「その後の話」を少し広げた内容にとどめておくべきではなかったか?子供主人公で始まってるのに最後の方で主人公が乗っ取られ、前回作品の延長。というわけで新規ユーザーには少し微妙な内容。

次に前作ファンとしての感想。
キャラクターから圧倒的に厚みが減っている。年数が経っているのだから当たり前ではあるもののキャラクターが前作を引き継げているかと言われると何から何まで微妙。シオンも輪もペラッペラである。輪編からはもう2人目の子供という要素だけのベースで全編これ書いときゃよかったんじゃないの?にしてもキャラクターペラッペラやけどな。
作家側が輪とありす、そして紫苑と木蓮に愛着がありすぎて二次創作にみえてくる。紫苑と木蓮を幸せにしたいだけのなぜか最初は息子目線の作品。ラズロやキャー、レーンと木蓮の親が出てきたあたりはファン作品として唯一の高評価。輪が泣きすぎなのは作者が描きたかったんだろうけどなんか冷める。

とはいえ前作ファンなので最後まで一通りそこそこ読めてしまう。前作品の各キャラの幸せなその後を描きたかったのでしょう。とはいえ構成が雑で、月メンバーのその後各自幸せな姿、子供目線の多少のドタバタ、紫苑木蓮の成仏、紫苑木蓮の月家族について、と言った構成でしっかりと分かれていればファンサービス作品としてもっとまとまった内容になったと思う。散々同人誌とかで書いている人がいる作品を「公式が書いたら楽しいよね」というのがこの作品のほぼ本質ではなかろうか。

さて、ここまでの評価が非常に辛辣ではあるが、読み終わるにあたり苦痛ということもなく、そこそこ楽しんで読んだことは付け加えておく。
本来評価2は「読むことが苦痛だった」時につけるつもりだったが、本作品をあえて2にした理由は、作者の想定した客層が「前作品に思い入れがありすぎて脳内の別作品を愛してしまってる人」という点に尽きる。
この作品好きな人から見たらこのレビューがまんま私に返ってくるんだろうけどね。

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