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■ 「経験しないと理解できない」という話

「マンガを描いたことがない人」「マンガを読まないけどアニメは見る人」に「マンガの描き方」を指導するのはとても困難です。

「知識」を伝えても「知識」でしかなく、その「知識が何の役に立つのか」「何のための知識なのか」の判断はできないようなのです。

例えば「コマのワク線の太さ」は「コマ内に描かれた主線よりも太めに描くと良い」という情報と理由を説明しても、実体験がない人にとって「その重要性」は理解できないため、頭からすぐに消えてしまいます。

マンガを数多く描いた経験者であれば、「ワク線を太めに描くことで画面がどう見やすくなるのか」理解できるし納得もできます。

マンガを描く上で、「知っておかねばならない基本」と「知っておいた方がよい基本」はたくさんあります。

「マンガを描く経験」を重ねていくと、「何が必要な事なのか」の判断ができるようになるため、自然と身についていきます。

しかし「経験が少ない人」は、「必要で重要な知識」でもすぐに頭から流れ落ちます。

「これ、重要な事なので必ず身に付けるように」と言っても、「何がどう重要なのか判断できるレベル」でない人には「ザルに入れた水」でしかなく、「漏れていくだけの知識」です。

それを理解した上で「繰り返し伝える」のが、マンガ講師の仕事なのだと学ぶようになりました。

マンガを描くことが大好きで「マンガを描けるようになりたい学生」の吸収力は積極的であるため、講師としても積極的に対応します。

最初に、「マンガを描いたことがない人」「マンガを読まないけどアニメは見る人」という人の存在を記しましたが、それプラス「マンガを描くことに興味がない人」に、「マンガの描き方」を指導するのは「虚しい」と思うようになりました。

「そんな人が専門学校に来るはずがない」と思われるかもしれませんが、世の中には「不思議な人」が存在するのです。


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