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子育ての歴史を調べてみた(その1)

今、自分のブログで「育児漫画の歴史」について、長文をしたためています。全5回の予定。

最初はもっと軽くまとめる予定でしたが、書いているうちに「あれ?」「ん?」と疑問に感じる部分があり。深く調べていったら非常に長いものになってまいりました。

「漫画の歴史」と「子育ての歴史」

私が書きたかったのは「育児漫画の歴史」ですが、育児漫画の成立には大きく次の3つの要素が絡みます。

・漫画の成り立ち

・随筆(エッセイ)の成り立ち

・子育ての歴史

「漫画の歴史」については、マンガ研究家による書籍が色々とあります。

「随筆(エッセイ)」の歴史は、ググってヒット作を並べればなんとなく把握できますし、「随筆全集」を当たるという方法もあります。

でも、「子育ての歴史」であったり、その時その時の「社会の動き」「時代背景」については、我ながら調査が浅いと感じました。

そして、ネットで調べても、本を探しても、「戦後の子育ての歴史」をまとめたものは少なく感じました。

「子育て」と「教育」と「社会」

改めて考えると、「子育て」を語る時には子どもを預ける施設である保育所・幼稚園・学校といった「教育の歴史」が絡みます。

また、子育ての様子は社会情勢の影響を受けますし、社会問題にも繋がります。

「子育て」と「教育」と「社会(文化・歴史的な要素含む)」。三者は密接に関係しています。

神話の時代から平安期の「子育て」

ネットにあるものだと、大塚ひかりさんのインタビュー記事が面白かったです。儒教の影響が浅い古代、平安時代の子育ては自由なものだった、という論。

江戸時代までの「子育て」

そもそも、江戸時代までの日本では、大人が子どもを可愛がる文化であり、男性が子育てをするのも普通だったようです。

また、特に武家においては、子どもの教育は父親が担うものとされていました。江戸時代にも育児書はありますが、『父兄訓』等、父親が読むものとして書かれています。

この時期の育児観は儒教の影響が大きいと思います。

以下は古いですが、池田香代子さんのツイート。全文は「池田香代子さん江戸時代の子育ての話」にまとめてあります。

幕末~明治期に日本に来た探検家・イザベラ・バードや、安土桃山時代に来た宣教師・ルイス・フロイトは、記録の中で、日本の子育ての大らかさを好意的に評価しています。(フロイトは堕胎や子殺しについても書いてますので、全てを好意的に捉えている訳ではありません。)

西洋の子育ての歴史

西洋、特にヨーロッパの「子育ての歴史」には詳しくないのですが、過去に本で読んだり、聞いたことがある話としてはこういったことがあります。

・子どもは”小さな大人”として扱われていた

・子どもは”体罰を加えて躾けるもの”とされていた

西洋での古い(中世的な)育児観は、18世紀のフランスで哲学者・ルソーが発表した『エミール』にも描かれています。西洋では『エミール』の登場によって、子どもを子どもと扱うようになったとか。

私も読みましたが、『エミール』は近代的な教育に大きな影響を与えているとも感じます。

戦後の高度成長期の日本では、「スパルタ教育」が良いとされ流行、一般化しましたが、「スパルタ教育」は軍隊式な方法論だけでなく、西洋の古い教育観、価値観も感じます。

なお、スパルタ教育といえば「体罰」を想像する方も多いかと思いますが、現在は脳科学者によって、体罰は子どもの脳を委縮させたり、不活性化する「マルトリートメント(maltreatment)(不適切なかかわり、虐待)」とされています。

明治期の日本の子育て

明治になり、西洋の教育を取り入れてから、日本の子育ての風景は変わったと考えています。

女性解放運動等、婦人運動も盛んでした。この時期に「主婦」という言葉が生まれ、「理想の主婦像」が形作られたと思います。

この辺は調査不足なので調べたい。

戦後の日本の子育て

迷走してるな~というのが正直な感想です。育児雑誌や婦人雑誌を調べて、コツコツと細かく調べ上げよう、と思っています。

子育ての戦後史

※主張にエビデンス(科学的、数値的根拠)がないものも多い

1960年代 三歳児神話
1970年代 ※この頃生じた「育児ノイローゼ」は母親自身の責任とされる1979年 『母原病』発売、ベストセラーに
1980年代 妊娠・育児系雑誌が多数出版される

1985年 松田聖子さん結婚→「ママドル」の誕生

1988年 「アグネス論争」→子連れ出勤したアグネス・チャンさんをめぐる論争

1999年 音羽事件
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2010年代 流行語「日本死ね」「ワンオペ育児」

「ママ友」をめぐる事件

1999年に発生した「音羽事件」は、ママ友の娘を殺人した事件です。

これをきっかけに、近所のママ友ネットワークの解体が生じたように思います。「公園デビュー」等の面倒くさい現象が生じていたこともありますが、育児雑誌もママ友作りを勧めなくなったように思います。(私が読んでいた2012年~2014年頃はママ友作りに触れている雑誌はほぼなかったように記憶しています。

2015年にも、栃木県佐野市で、ママ友のいじめを苦にした自殺が2件生じています。

「ママ友」という言葉は、多分、もともと使われていた言葉が、1980年代に多数発売された育児雑誌によって一般化・周知化したように考えています。

この辺は実際に育児雑誌をあたって調べたいとも考えています。

育児雑誌に見る「日本の子育て」

1980年代に創刊された育児雑誌には当時の子育ての様子や悩みが反映していると思います。

それ以前は、婦人雑誌に子育てについて書かれていると予測しています。

私は、日本の子育ての歴史を調べること、知ることで、何か変化が起きないか?と考えます。

「育児ノイローゼ」が蔓延していた1980年代から40年近くが経ちますが、状況はあまり変わってない。

例えば選挙で子育て支援に熱心な議員に投票するのも大切なことですが、選挙に投票するだけでは日本社会は変わらないとも言えるでしょう。

長くなったので一旦これで。続きはまた。

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