シン・エヴァンゲリオン見たから、ね
ほとんど満席の映画館。IMAX以外なら、わりと直前でもチケットは取れる。入ると、なにかポップコーン以外の食べ物の油のにおいが強い。アカデミー賞やゴジラ対キングコングの宣伝の最中に席に着くと、隣の人が、予告編終わって、座り直した。
やあやあわれこそは終わりを見届けにきたオタク、いざ決戦の時、という雰囲気がこちらにまで伝わって、なんかちょっと、緊張した。そうだエヴァってそうだった、なにひとつ見逃すまい聞き逃すまい、と気が引き締まった。
結局のところ、今回は、そんなものはなかったんだけど。
とても素朴で、うんうん、そういうことならわかるよ、というかんじ。ぐじゃぐじゃだったみんなが、それぞれに自分のことを自分で決めて行動するようになっていたので、安心して泣ける。「オタク、キモい」の落とし所としてはびっくりするほど普通だった。
この結論だったら、すぐにでもやってくれて構わなかったですけどって感じしかないけど、それがここまでかかったことに、なんか意味が生まれてしまう。長かったね。遠回りしたね。でもその旅程はちゃんと、尊いものだったんですよね?
語り方として面白かったとは思わない。戦闘シーンはなにが起こってるかようわからないし、絵やデザインに魅力がないし、コマ割りかっこいー音の使い方かっこいーもなかったし、槍の設定とかもうどーでもよくなってるんだろうし、せっかくでてきた市井の人々も価値観、なんか古くて息苦しそうだし。
なんにもないところをなにかあるように見せる衒学的な演出をやめて、細々と言葉で説明して、それで映像作品として面白くなったかというと、面白くはないけど。まったく面白くはない。見てる最中はいいなとも思ったけど、見終わって思い出すと、なんにもなかった。
エンドロールであれって感じだったけど、これさ、製作中にどんどんメンバー交代してったんだね。お金も足りてたように見えなかったな、いやはやね。
でも、なつかしかったし、終わったし、宇多田ヒカルのエンディングへのつながりは、いままででいちばんよかったです。YouTubeではどう聞いたらいいかわからん歌で戸惑ったけど、あの流れではちょうどよくて、とてもいい歌に聞こえた。
あとそうだ、最後シンちゃんが、胸がどうこうのいい女とかってマリちゃんの言葉を借りずに、自分の語彙で表現できたらよかったですね。
うん、なんかもっと、自分の表現とか自分の結論って感じが見えたらよかったな。せっかくだけども、これじゃあなんにもないな。ひとりで心に思う分には十分な落とし所だとしても、それを人に見せる意味っつーかさ。暗い中でみんなで見る意味っつーかさ。
その意味を持たせるために、各々が、各々のエヴァと自分についてを、時代と経験から語っていくしかない。エヴァだけについてなんか言っても、なんも意味がなくなっちゃった。
世話がやけるなあ。
わたしは、エヴァの客ではなかったのかな。流行りだから見てただけだったっけ。自他の区別なんてついていたほうがいいに決まっていることを、言葉で説明されてもなあ、となってしまう。
なんか、みんなの感想読んでたら悲しくなっちゃったので、自分でも書きました。
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