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41 神保町編3 かぶら屋の串トリオと魚粉症

 神保町……というか新御茶ノ水の駅に近いのだけれども、マニタ書房の営業を終えたあとよく帰りに寄った店がもう一軒ある。東京を中心に、埼玉、神奈川、静岡で55件もあるけっこうな規模のもつ焼きチェーン「かぶら屋」だ。
 ここもメインのつまみはもつ焼きなんだけど、それと並行して串揚げと串焼きもある。さらには静岡おでんもあるので、何屋だかよくわからない。
 串物はだいたいいつも注文するものが決まっていて、まずはガツを塩で2本、それとシロをタレで2本。軽く飲んでいきたいときはこれくらいでちょうどいい。これでチューハイを3杯くらい飲んだら帰る。かぶら屋にはホッピーがないけど、プレーンのチューハイがあるので問題ない。
 もう少し飲んで帰りたいときは、次に串焼きから赤ウインナー、あるいは鮭ハラスを焼いてもらう。これらは1本ずつ。そう、串焼きとか串かつの店は「最低2本ずつ」をルールにしていることが多いし、なかには「江戸っ子」みたいに「4本から」という店もある。ぼくは少食なので、同じ味のものを4本も食べたくないし、たとえ1本から注文できても秋津の「野島」みたいにネタが大ぶりなのはちょっと困る。
 その点、かぶら屋はどれでも1本から頼めて、しかもネタが小さいのがありがたい(これは褒めてるのだろうか?)。
 胃腸が弱いので揚げ物はあんまり食べないようにしているが、体調がいいときは串揚げに手を出すこともある。ここではいもフライかじゃがバターをセレクトする。似ているようだけどちょっと違っていて、いもフライはカットしたじゃがいもに衣をつけて揚げたのを串に刺し、ソースでいただく。じゃがバターはカットして串に刺したじゃがいもを素揚げにして、バターが添えてある。どちらも軽めにカラッと揚げてあり、プレーンのチューハイとよく合うのだ。
 ちなみに、ぼくの酒エッセイでは原則として「酎ハイ」表記を使うが、かぶら屋はメニューに「チューハイ」と表記してあるのでそれに準じている。どうでもいいことだが、そういうところはなるべく気をつけたい。

 さて、串物を7~8本ほど食べたところで、まだちょっと何かつまみたいというときに登場するのが、問題の「静岡おでん」である。問題なんかありましたっけ? あるのである。
 ご存知の方も多いと思うが、静岡おでんというのは、

 1、黒い出汁で煮てある
 2、タネが串に刺してある
 3、魚粉と青のりが振りかけてある

 といった特徴がある。
 色が黒いのはいい。見た目は黒くてもそんなに味が濃いわけではないし、むしろうまい。串が打ってあるのは駄菓子のようにして食べる文化から発祥しているらしいが、串に刺してる店と刺してない店があるし、店で座って食べる分にはどうでもいいことだ。
 問題なのは、3番目の「魚粉」である。
 これがぼくはどうにも苦手なのですよ。ラーメンでも、煮干し出汁を売りにしているラーメンには魚粉がわざとらしいほど振り掛けられているものがある。粉っぽいっつーの。歳をとって身体の免疫反応がニブくなってきたのか、花粉症の症状が若い頃に比べてずいぶんと軽減されてきたけど、いまだ魚粉症は治らず、なのである。ラーメンを食いながら、おでんを食いながら、ゲホゲホ咳き込んでいる老人なんて、笑い話にもなりゃしない。
 でも、ご安心ください。かぶら屋では、おでんの注文時に「魚粉はかけないで」と言えば、ちゃんとそのまま出してくれるのだ。だからぼくはいつもそうしている。ただ、今回トップの写真を撮るために訪問したときは、あえて魚粉NGのオーダーをせずにそのまま出してもらったよ。ゲホゲホ。

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