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【追悼・第219話】3/6阪神11R・チューリップ賞(にゃむ師匠)

2/28、小生の大好きな馬・トリコロールブルーが、調教中の事故により、虹の橋を渡りました。このnote予想でも読者の皆様と歓喜のロォン!したこの馬。こういう形で別れがくるとは思っていませんでしたが、追悼と鎮魂の願い込めて、書かせていただきます。ごらんください。


四半世紀競馬をしてきたが、小生は「できるだけ馬券に対しては個人的情念を組み込みたくない」という理由から、極力「好きな馬」を作らないようにしてきた。

それもこれも、小生の小学生時代の担任(♀)が、受け持つ生徒について、自分のお気に入りの可愛いイエスマンには、ドえらいレベルの「えこひいき」と評定を高くつけ、

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一方で、自分が敵・反乱分子のクソガキと思った生徒には、どんなにテストの点数が良くてもその評定は高くなくと、天海祐希もビックリの完全独裁制度を敷いていた。この昭和の伝統芸能がトラウマとなり、小生はこれを反面教師にして「自分がもし先生になって生徒を評定するときは、絶対にえこひいきなくフラットでつけてやるぞこのヤロー!」と、幼心ながら誓った記憶があるからだ。

否、あれから30余年。自分は教員になっておらず、生徒を評定する立場ではないのだが、何の因果か毎週のように各馬の能力比較をして印を打つという「評定」をしていて、感覚的には同じ。ゆえに、この幼少の頃の誓いは脈々と生きながら、こんにちに至る。これがフラットの根幹なり。


しかし、人間だもの。
どうしても好き嫌いは出るものであり、抑えられない情念もある。これがなくなるともはや人間ではなく、能力評定をするすべての人が闇に抱えている「本質的なジレンマ」はここにあるのかもしれない。

小生も、その衝動が抑えられなくなり、箍(たが)が外れて「好きになった」馬はいままで2頭しかおらず、それが10年ほど前にスプリント路線を賑わせたドリームバレンチノ。そして、先のトリコロールブルー。後にも先にもこの2頭しかいない。

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皐月賞でも◎を打ち、引退レースの有馬記念では428万円を獲ったダイワメジャーもその域には達せず、堅い配当だった秋天やマイルではバッサリ無印だった。

そんな「大好きな馬」トリコロールブルーが、復帰に向けて7歳シーズンを駆け抜けようとしていた矢先に、まさに突然の出来事。 栗東販路を猛スピードで駆け抜けて挙句に、虹の橋も駆け抜けていった。

好きな馬との死別。いままで2頭しかいなかったゆえ、この歳で初体験。16年前、親が死んでも泣かなかった小生なのに、この訃報には涙した。想像したよりもしんどかったなあ。

昨年9月のケフェウスSでも勝った直後に「泣いてもいいですか?」

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と書き込みし、本当に嬉し泣きをしたのだが、それから半年も経たずしてこ
んな悲しい涙を流すことになろうとは。サラブレッドとは経済動物であり、常に命を懸けて、死と隣り合わせで走る。これが宿命ゆえ、あらゆるアクシデントも運命として捉えないといけないもの。

これに携わる者、管理する者とすれば、いちいち個人的情念など持っていてはやってられないだろうが、ただ、一番近くで日ごろ世話をしている厩務員の方々にとっては、こういう運命を辿ることに、相当やり切れない気持ちになるだろう。遠くで見ているいちファンがこれだけ悲しい気持ちになるのだから、間近で世話をしている身とすれば、その心の傷みは相当なのかもしれない。


2016年7月。
たまたまメイクデビューを、現地・中京競馬場の「旅打ち競馬」で観戦。そこからはすっと運命を共にした。人気に関係なく、全レース◎を打った。

この馬、スーパーホースではなく必ず「挫折」するところが何とも言えなかった。ほんとに人間臭いくらいにダメダメになるところがたまらなかった。

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メイクデビューこそ荒削りのまま勝ったが、超良血の最後方待機・ソシアルクラブを意識し過ぎて、結局逃げる人気薄を捕えられなれないオッペケペーを演じた黄菊賞。

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仕切り直しのフリージア賞はしっかりと勝利するも。。。

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大外枠のコーナー4回でチグハグ連発のスプリングSドボンで皐月賞断念。

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いざダービー!と気合が入りすぎて馬体がガレまくっていのたがパドックでも解りすぎるくらいに解って、結局いいとこなくドボンした青葉賞。

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夏、でっぷりと馬体を戻し、実況アナウンサーにゴールに飛び込む瞬間「増量成功!」と言わせた日高特別。

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そして、せっかくの念願のクラシック挑戦も、台風のグチョリンコ馬場で何もできなかった菊花賞。

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古馬になってからも、準オープン・オープンと連勝するも、一連の降級制度で賞金が半額となり、賞金不足で出たいレースに出られないだけでなく、その次の世代から降級制度が廃止となり、賞金半額にならないことから、賞金獲得額にねじれが生じ、殊更に出走できない可哀そうな運命を辿る事に。

やっと出られたかと思ったら右回りのコーナー4つは絶対に好走しない頑固さ。かといって念願の東京2000mに出られたと思ったら、2回とも2着に終わるポカ。 このnote予想でも、そんな2019年オクトーバーSで初めて◎を打ち、この馬に対しての特別な想いをつづり当然ロシ村ロシ夫さんで勝負したが…2着。


6歳になって出られるレースもないと思っていたら、開催変更・番組変更によって降って沸いたような新潟芝1800mの関越Sが現れ、満を持して挑戦するも3着ドボン。

いよいよもうこの馬も終わりかと思ったところで、これまた開催変更によってポッと出てきた9月の中京・ケフェウスS。重賞でもないのにメイクデビューと同じ中京芝2000mという、まさにトリコロールブルーの為にあるレース。

そして、感動の復活劇。最高に輝いた瞬間。

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この日の勝利は…本当に格別だった。
結果、最後の勝利となったが、この瞬間を迎えられて良かった。
と、いま何度でも噛み締められる勝利。


しかし、彼は最後まで彼だった。続く東京・オクトーバーSもドボンし、ラストランとなる暮れの中日新聞杯も、ケフェウスSで一緒に勝った最愛のパ ートナー・武豊はディープモンスターを選び、伸び悩む若手ジョッキー・荻野キワムの起爆剤・実験台となってドボン。

そして…その生涯を閉じた。


JRAや陣営を含む、人間の事情・エゴに本当に振り回されたトリコロールブルー。そういう意味では経済動物としてはきわめて従順にその役割を全うできたのではないかと思っていて、殊更に小生は称えたいと思っている。出たいレースに出られない中コンディションを整えるって、相当に難しい事。一打席に賭ける「代打の切り札」だって毎日ゲームに出られないのにそのモチベーションの維持には相当に気を遣うのと同じ想いを、馬ながらトリコロールブルーは強いられたと思う。強いよ。

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と、思い出話は尽きないのだが、こうやってまた「好きな馬」にめぐり会えるのか、今は全くわからない。四半世紀競馬やってたったの2頭。牡馬三冠馬ですらこの間4頭誕生したのに、小生の好きな馬はその半分。こりゃあ三冠馬よりも出ないだろうということ。

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…できるかなぁ、好きなひと。好きな馬。

しかし、好きなものができる事は、とても素晴らしい事。
人生が一気に躍動し潤うのだ。 少なくとも小生はこのトリコロールブルーの事を考えている時は、思い通りにならず悩んでいる時も含めてそれはそれは幸せな時間だった。間違いなく「人生にハリ」のある時間だったと思う。


できるだけ無機質に、フラットに能力比較をして、予想して、印出して…そんなルーチンの中だと、たとえロォン!したとしても、その時は嬉しいけどそれで終わり、明日の敵に変わることもあるかもしれない。

しかし、「好きな馬」は違う。いつでも想い、いつでも◎。予想家としてこんなえこひいきで理不尽なことはないことから、この馬が走る記事は無料にしたという経緯も。

逆に、こういう「露骨に好きな馬」が一頭いるおかげで、その他のすべてのレースをフラットに、冷徹に見て居られたということもあり、いわば小生にとってのかけがえのない「精神的支柱」だった気がしている。

今は、それを失っていでぐらついている状態。
それゆえに、今後のレースの予想に変な気持ちが起こらないか少し心配でもある。ここはしっかりと律して、きちんと自問自答しながら向き合っていかないと...。そのくらい「好きな馬」というのは中毒性があり抑えが効かないもの。

2016年7月のメイクデビューから、4年7か月。
関係者でも一口馬主でもなんでもない第三者だけれど、ここまで小生を熱くさせてくれて、本当にありがとう。好きにさせてくれて、ありがとう。
今後、君より好きになれる馬は、きっと現れないかもしれないけど、もしそんな馬が現れたときには、ここで報告するからな。

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安らかにおやすみください。そして、向こうのターフでも存分に走り回ってください。 大丈夫、あっちのターフはみんな左回りの2000mだからさ!
また勝てるよ!


・・・なんか流れるものが止まらないけど、さあ、切り替えるぞ!
いつもより数倍面白いチューリップ賞だしね。


いわゆる「いつものチューリップ賞」とはお世辞にも言えない今年のメンツ。いつもであれば、2勝馬や重賞ウィナー、暮れのG1・阪神JFの上位馬たちが、いざ桜花賞へと文字通りのトライアルレースとして名を連ねるのが例年なのだが、今年は皆さんどこに行ったのでしょう?という感じ。誰もいない。

これがいつものように名だたる馬がこぞって出てくると配当もガチガチで、古くはエアグルーヴやビワハイジの頃から荒れないレースと相場が決まっているのだが、今年は重賞ウィナーでは断然の人気が考えられるメイケイエールただ一頭であり、あとは皆1勝馬。

…って1勝馬ですよ? 今年は1勝馬でもみんな出れちゃうんですって!
ホント大安売りのチューリップ。

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きっと、「うわっこんなメンバーなら出しとくんだったわぁ…」と思っている陣営も東西にそれぞれいることであろう。

1勝馬クラスを勝ち上がってオープン入りした馬すらおらず、メイケイエール以外はみな格上挑戦という、見方を変えればたいへん「面白い」メンバーとなった。だったらこういう馬を狙ってもいいのでは?というスタンスで予想を組み立てた。

◎⑦タイニーロマンス
○①メイケイエール
▲②ストゥーティ

出走メンバー中ただ1頭の関東馬ながら、長距離移動をかけて関西へ殴り込みをかける◎タイニーロマンス。やはりダイワキャグニーの妹であり、500キロを超える雄大な馬体ゆえ、小回りの中山は兄もそうだったように全く合わないのだろう。ゆえに、この春は中山開催が続く関東エリアではなく、広いコースの長い直線で、スケールの大きい走りができる阪神外回りへ照準を合わせてきた。今の阪神は超高速馬場だが、この馬場への適応は東京でも実証済みゆえ心配ない。

ただでさえ関東馬。
関東馬が関西に遠征して結果が出ないのは去年散々懲りて、予想記事でも随所に列挙しているが、それはあくまで同クラスの中で実力差がハッキリと違う場合が多いが、まだこの3歳の春の時点で、メイケイエールは置いといて、その他の10頭の1勝関西馬よりも◎タイニーロマンスが実力が劣っていると決めつけるのは尚早であり、「関東馬だから」という着ている衣装だけ見て、中身・本質を見ずに嫌われるという事態には「ムムッ!?」と来ている。クラヴィスオレアとかレノーアなら「敵わない関東馬」というのは納得がいく、しかし、◎タイニーロマンスにその烙印はまだ早いのではないか?

これを考える上で、一頭物差しとしたい馬がいる。
それは、2/6の東京・春菜賞を勝ったアヴェラーレ。

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なんかこの馬体、まるでアーモンドアイのような錯覚にとらわれてしまいますよね?勝負服のせいかな?

普段からジョッキーコメントには敏感になっている小生だが、特にルメールはこのジョッキーコメントの質が格段に高いと日頃から感じている。

距離適性についても具体的であり、ほぼ正確に伝え、そこに感情論はなく的確。勝因・敗因についてもシッカリと具体例を交えてコメントしてくれて、時には次走人気でもバッサリ消せる事も。これが次走の取捨の大きな参考にもなっている。

そんな「頼れる羅針盤」のルメールだが、この春菜賞を勝ったアヴェラーレについて、「すごくいい脚を使ってくれました。かなりの能力がありますし、マイルも大丈夫です。絶対に上(のクラス)に行ける馬ですね。重賞級ですよ。」と、ルメールにしてはなかなか出ないべた褒めコメントの連発であった。

当然、感情論で話しているのではなく、沢山の一流馬と比較した上でのコメントであり、的を射ているだろう。決して勢いでオーバートークしたものとは思えない。見た目のタイムは平凡なのだが、それ以上に感じるものが強かったのだろう。でないとこんなコメントはしない。

同じシルクレーシングの勝負服ということもあり、引退したアーモンドアイと、マイルまでだったら近いものがあるのかも??という手応えも実は感じ取っているも、あまりここで大物を引き合いに出すのはどうかな?と感じ、謙虚に素直な気持ちでこのコメントを纏めた、そんな感じとも受け取れたアヴェラーレに対するルメールの称賛であった。

そんな「隠れアーモンドアイ」の可能性があるアヴェラーレに、外枠で外々を回ったロスが堪えて1馬身1/4差の2着に敗れたのが今回の◎タイニーロマンス。(上記写真の⑯番)

内田兄さんは「自分の馬も追い出しを待つくらいの余裕があり最後までよく伸びているのですが、相手に一瞬で交わされてしまいました。時計の速い決着にも対応できたことは次につながると思います」と、◎タイニーロマンスに対しては一切の反省点を挙げず、ただただ勝ったアヴェラーレを褒め称えるしかない、お手上げのコメント。

では、アヴェラーレがそんなまだベールに包まれたアーモンドアイ級であり、その馬に1馬身1/4差で敗れた◎タイニーロマンスは、十分に1勝馬クラスでも、メンバー次第によっては重賞でもやれるところは実は示せていたのではないか?とも感じている。

そうであれば、このメンバーであれば。。。

相手が強すぎただけの話。
では今回、その強い相手はいないのだよ、ワトソン君。

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つまり、アヴェラーレがS級であり、◎タイニーロマンスは「S級馬に負けて、1勝馬クラスで2着の烙印を押された実はA級馬」であり、○メイケイエールは「短距離路線ではA級も、気性難からマイルでは疑問のB級馬」であり、後の10頭は普通の1勝馬Cクラスレベルの馬。

という能力の見立てが見事に本当だったとしたら、今回の◎タイニーロマンスは、関東馬という「外面」だけで人気を落としていてA級であることはそれほど知られていなく人気薄。実が一番の買い時という事となる。

ではフェアリーSの6着ドボンはどう抗弁する?
レース映像を見りゃわかるでしょ?とにかく内がごちゃごちゃして、絡む馬に絡まれ、位置は動きっぱなし。常に右カーブでまっすぐ走れない巨漢ゆえ、どっしり構えられずリズムの悪いチグハグレース。これはいかにもダイワキャグニーの妹でありノーカウント。このノーカウントドボンもえらく人気を下げる要因にもなっている。この「中山でドボンした関東馬」という事実で人気の無さが「階乗」状態となっている。

しかし、この追い切りをみてみんしゃい。

タイトルなし

ラスト1Fを11秒台ならまだ解るが、12秒台-11秒台-12秒台。
これを3歳牝馬が美浦坂路でやっちまうんだから、◎タイニーロマンスは、S級馬アヴェラーレに次ぐA級馬かもしれないという可能性を立証するには、お釣りがくるくらいのエビデンスがここにある。

鞍上の内田兄さんは、バビットと違ってデビューから一貫して乗っている「お手馬」。この馬のためなら他に騎乗馬がいなくたって阪神で乗ってやるよ!と開き直っての遠征。この飄々さこそ昨年重賞4勝の兄さん。やるときはやる男、ゆえに、この年まで現役を続けていられるある意味レジェンド。

一方、○メイケイエールはマイルでの実績はなく、前走の阪神JFでも真面目過ぎる気性でガツンと掛かってしまい、それがラスト50での失速となっての4着。本質はスプリンターであって、マイラーではないのかもしれないところを露呈しつつ、他に実績馬がいないゆえの押し出されたような断然の一番人気。普段のチューリップ賞なら伏兵20倍前後。

まあ、他の相手がいつになくしょっぱいので、その素質で馬券圏内には入ってくるだろうが、そんな○メイケイエールが負けるとしたらこの「隠れA級馬」の◎タイニーロマンスしかないと思っている。

▲にはストゥーティ。母リラヴァティで松山弘平といえば、2015年マーメイドSに思いの丈ブッこんでドボンし、次の年に無印バッサリにしたら勝ちやがった因縁の馬。
という個人的怨念は置いといて、近2走の3着は、スローペースを後方追走して前を捕らえられなかったオッペケペー感漂うレースであり、真の実力ではない3着。最後まで伸びる末脚は決して大崩れ崩れない着順を呼び込む。よって軽視は危険。

ここで◎タイニーロマンスが、その雄大な馬体を小細工なしの阪神外回りで、水を得た魚のように駆け抜けて勝つようなことがあれば、やはりアヴェラーレはマイルまではアーモンドアイ級かもしれないという見立てが、より真実味を帯びてくる。

と、今回はアヴェラーレを物差しにして◎タイニーロマンスとしたが、そのタイニーロマンスの走りによっては、今度は、◎タイニーロマンスが、アヴェラーレのレース前、真の能力を明らかにする「物差し」となり得ることを望んでいる。

これまさに「逆も真なり」。

単勝・複勝  ⑦
馬単     ⑦→①②
馬連・ワイド ⑦-①②
3連複    ①-②-⑦



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