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白衣性恋愛症候群RE:Therapy(ゲーム)

いきなり語彙を失いますが、本当に面白かったです!(どーん
百合のゲームとしても見事ですし、百合のゲームなのに!?という点でもお見事!!と唸らされた作品でした。

まず、百合のゲームとして……という点では『病院・看護師』というみんなが思いつきそうで意外とない!ところをぶち抜いたとこではないかと。

私の中の百合の鉄則(?)として「閉ざされた空間である」ということがあるのですが、看護師という仕事はこんなにもお世話になっているにも関わらず、実は何をしているのかよくわからない。
あの、詰所という空間で……また、寮生活の中で……どんな風に働いているのか。そして、どういう人間関係を築いているのか。
言い方は変ですが、病院はまさにパブリックな密室ということで、社会人百合にはもってこいのシチュエーション!
たとえ恋愛に発展しなくたって、そこは百合の宝庫ではありませんか。

現役ナースさんが書かれたシナリオだということで(このゲームをやり終わった後このボリュームをあの激務の間に書かれたのかと唖然としました。でも、山之内さんも漫画描いてたしなあ……看護師さんてタフ!!)、本当にすごかった。
序盤なんて、ほぼほぼ看護師の研修時間で、まるで本当に受けている気分になってきます。患者さん方のために(また、患者さん方がだんだんと本当にいらっしゃるような気になってくるんですよね)時折出てくる用語集を読み込むほど、主任さんや山之内さんのお叱りが心に響きます。
社会人として働くとはどういうことかという初歩の初歩から叩きこんでもらいました。
しかも、ナース服かわいい。大切なことは二回言います。ナース服、かわいい。百合と制服の相性の良さときたら……!!

そして、百合ゲームなのに!?という点は、一般的な百合ゲームは、すでにカップルが決まっていて、その2人を見守る形で進むゲームが多いように思われるのですが、こちらは主役の沢井かおりちゃんが各女の子のルートへ進んで恋愛をするというギャルゲーによく見る形が採用されているところ。

私はこういう形の百合ゲームがやりたくてやりたくて……!
よくぞ作ってくださった!!とはしゃいでプレイをさせて頂きました。

百合を嗜む方々は「壁になりたい」という言葉があるくらい、参加するより推しの2人を見守りたいという方が多いと感じます。
なので、主体的に参加するゲームという形よりも、小説を音声と映像付きで読み進む紙芝居のようなタイプのゲームが多いのだと思うんです。

では、なぜこのゲームは百合ゲームとして多くの人に受け入れられたのか。
もちろん、どのルートも百合の甘酸っぱいところからシビアなところまで、魅力的なヒロインたちによって様々な角度から描かれていることがあると思います。
私なんざ、どのルートが好き?って話だけで半日盛り上がれる。

では、その各ルートで孤軍奮闘を果たし、魅力的なヒロインたちを私たちへ魅力的だと観せてくれたのは一体誰だったか。

そう、主役の沢井かおりちゃんです。

どのヒロインとも見事にマッチングしつつ素晴らしい百合を生み、かつプレイヤーの私たちとは同化させないことにより、私たちを壁でいさせてくれるという、おそるべき主役・沢井かおりちゃんの「主役力」ではないでしょうか。

では、その「主役力」とは何か。
私は、「愛される力」ではないかと考えました。

ヒロインたちに愛されるのはもちろん、プレイヤーの私たちを共感で同化させることで物語へ導くのではなく、自分を愛させて自分を見守るものとして(壁として)物語へ導くのです。

確かにこれならば、ギャルゲーの形態してても百合ゲームとしてプレイすることが可能です!!

しかし、言うのは易しですよ。
それをやってのけたクリエイターの皆様に、演者さんに、心からスタンディングオベーションです。百合界のミッ●ーマウス。すごいです、本当に。

いろんなこと、グダグダと書きましたが、
何はともあれ自分も本当に百合ヶ浜病院の空間に実在しているような、あの不思議な雰囲気はプレイしないとわからないと思います。

いろんなおふざけ(言葉は悪いけど、褒めてます!)も散りばめられており、クリエイターさんたち、楽しんで作ったんだろうなあというのが伝わってきます。

夏休み、看護に興味のある学生諸君はプレイされてみてはいかがでしょうか。とても充実した時間でした!


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(追記:7/25)
みやざーさんとのニコ生が終り、改めてゲームと百合ということを考えさせられました。

ゲームとは「動」ですね。
問題に対して自分が動く(動かす)ことにより打ち破る、もしくは解決する。未来を目指し繋げるという動きです。

対して百合は「静」です。行動ではなく、念ですね。
概念として動くことなく、動くとすればただただ深く沈降していくような感覚。今、そこにある現在という点のみのものです。

真反対なのです。

真反対の性質が、クリエイターさんたちの力によってこんなに楽しいエンターテイメントになるのです。

ゲームが好きだから。
百合が好きだから。
その強い気持ちがないと、とてもではないけどできないことだし、気持ちだけでもできないことです。

これまでお会いしたクリエイターみなさんが、新作に向けて各々の奮闘をしておられました。

本当に、本当に、かっけえなあ!!と。
居ても立ってもいられないような、たまらない気持ちになるのです。

たくさんの人に伝わってほしい。
自分に何ができるだろうと、ジタバタしています。もう少し、してみようと思います。

お気持ちだけありがたくいただきます。いいねを連打してやってください。そのお金で百合作品を買ってください^^