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インタビュー記事_不登校体験談(本人編・冊子向け取材)

稲城市の不登校支援冊子作成に向けて、地域でのインタビューや取材を進めています。20223年10月22日に稲城市にて下記の方にインタビュー取材をさせて頂きました。

・稲城市(若葉台エリア)
・若葉台小学校、六中 卒業生
・中学校卒業後にN高に進学(取材時点で高校1年生)
・中学3年の夏~、不登校

取材にご協力いただいた方の情報(保護者様の同意を得て掲載しています)

「不登校」の理由・気持ち

Q こんにちは。Aさんは中学3年生の夏ころから「不登校」になったと聞いています。どのようなことが理由だったのでしょうか?

Aさん 
「今振り返ってみると、学校に行けなくなるにはひとつの原因ではなく、さまざまな原因がありました。ひとつは、部活動の顧問の先生との関係です。私は部活動の副部長をやっていたこともあり、先生と部員たちをつなぐ役割を担っていました。ただ、その顧問の先生が厳しい人で、激しい口調で叱責をされることがありました。そのような経験を繰り返していくなかで、部活に行きたくない、学校に行きたくないという気持ちが募っていきました。  
 もうひとつは、学校の学習方法への違和感です。学校の授業の進め方や勉強の仕方に対して、本当にこんなことをして意味があるのかと疑問に感じていました。例えば、ノートに英単語を書いて覚えることなど、私には意味があると思えませんでした。また、授業も『自分の興味・関心』とは関係なく教科書に沿って進んでいくので、それも違和感でした。今振り返ると、思春期の影響で『人に合わせたくない』という気持ちが強くなっていたのかもしれません。」

Q そうなんですね、たしかに学校から遠ざかってしまうのは「ひとつの理由」ではないですよね。そんな中でも、葛藤がありながら学校には行っていたと思うのですが、行けなくなるには何かきっかけがあったのですか?

Aさん
「直接的な理由は『朝、起きれなくなってしまったこと』です。気持ちというよりは、身体が拒否反応をおこしてしまったのだと思います。」

Q そのときは、どんな気持ちでしたか?

Aさん
「そうですね、正直いえば、少し安心をしました。それまでは、行きたくない気持ちもありながら、行こうと思えば行ける状況でした。気持ち的には活きたくないけれど、なんとか行っている状況でした。だけど、朝起きれなくなり、そのことをきっかけに『学校に行かない』選択ができるようになりました。焦りもありましたが、安心する気持ちのほうが強かったです。」


「不登校のとき」に利用した支援

Q いろいろ聞かせて頂き、ありがとうございます。Aさんは中3の夏ころから学校に行かなくなったと思いますが、何か利用した支援はありますか?

Aさん
「中3の冬くらいから、週1回程度登校をしていました。スクールカウンセラーさんと面談し、給食を食べて帰る、というような期間がありました。私の場合、スクールカウンセラーさんとはあまり合わなかったのか、カウンセリングは継続しませんでしたが、学校と接点を持てるようになったのはよかったです。適応指導教室などは利用しませんでしたし、そもそも、そのような支援があることを知りませんでした。もし知っていたら、利用したかもしれません」


「高校受験」で悩んだこと

Q Aさんは、学校に行かない状態で「高校受験」の時期に入っていったと思いますが、進路に関してはどのようにして決めていったのでしょうか?

Aさん
「私が学校に行けなくなったのは中3の夏だったこともあり、高校受験に向けては焦りもありました。夏までは塾にも通っていましたが、不登校をきっかけに塾も辞めてしまいました。なので、高校受験に向けては家庭で相談をしながら決めていくことになりました。」

Q 出願校はどうやって決めましたか?

Aさん
「元々、行きたかった高校があり、そこを受ける意思は変わりませんでした。もうひとつ、通信制の高校(N高)を受けることにしました。N高のコンセプトや仕組みなどにはすごく興味を惹かれていました。最終的には、その2校に出願することを決めました。」


現在の「高校生活」

Q 現在はどのような高校生活でしょうか?

Aさん
「現在はN高等学校の代々木キャンパスに通っています。代々木キャンパスには400名程度の生徒が在籍しています。私は週3日通学コースを選択しています。毎週、月曜日、水曜日、金曜日に通っています。それ以外の日は自宅でオンラインで学習を進めています。」

Q 学校に行ったときはどんな風に過ごすのですか?

Aさん
「朝は9時30分までに登校します。1、2時間目は『プロジェクト学習』というのものがあります。これはN高独自の授業で、決められたテーマに向けてグループワークを中心に進めていきます。現在は『廃校をリノベーションする』というテーマに対して、各グループで取り組んでいます。グループ分けは学校側がします。N高は全国にあるので、最終的には全国での発表会があります。その後、3時間目以降は『教科授業』などがメインです。だいたい、15時50分ころに授業が終了します」

Q 担任の先生はいるのですか?

Aさん
「担任の先生はいませんが、メンターの先生がいて、2~3か月に1回面談をします。」

Q 部活などもあるのですか?

Aさん
「はい、あります。部活には『選考型の部活』と『誰でも入れる部活』の2種類があります。起業部など、活動資金が提供される部活があるのですが、そのような部活は選考型で、入る際に入部審査があります。あとは、同好会があり、これは生徒が自由につくることができます。私も哲学系の同好会を立ち上げ、活動しています。」

Q どのようなコミュニケーションツールを使っているのですか?

Aさん
「オンラインの場合は『スラック』をメインで使っています。例えば、同好会の活動などはスラックを中心に行っています。」

Q N高に入ってみて、率直な感想はどうでしょうか?

Aさん
「まず、同じ趣味を持つ友人ができたことが良かったです。ただ、いろいろな背景を持つ子がいる子も事実なので、コミュニケーションに気を遣う部分もあります。あとは、通信制ではあるので、いわゆる『ザ青春』的な部分は薄いかもしれません。ただ、自分には合っているかなと思います。」


不登校になって「不安」だったこと

Q Aさんが学校に行けなくなり、最も不安だったことは何ですか?

Aさん
「私の場合、受験期直前だったので、高校受験に対する不安が強かったです。周りの友達が受験に向けて勉強をしていることも知っていたので、それに対する焦りもありました。」

Q そのようなとき、どんな支援があるとよかったですか?

Aさん
「不安を話せる相手がいるとよいなと思います。いろいろな相談機関はあると思うのですが、自分より不安な人がいるかもしれない、など気を使ってしまう部分もありました。また、本当に自分の話を聞いてくれるのか、なども気になりました。本当にひとりひとりの立場に立ってくれるという安心を持てる相談場所が欲しかったです。」


これからの「目標」

Q 最後になりますが、Aさんの今後の目標などはありますか?

Aさん
「はい、高校卒業後は大学に行きたいと思っています。行きたい大学も決まっているので、そこに向けての学習も少しずつ進めています。英語力が求められる大学なので、英語検定の受験をしています。あとは、小説家になりたいという夢もあります。N高に入ってから、街づくりにも興味が出てきました。」

Q ありがとうございます!長々とお話を聞かせて頂き、ありがとうございました!これからも目標に向かって頑張ってください!

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