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ミーと!ソース!スパゲッティ!



このビルの9階は相変わらず景色がいい。

今日は曇りなき青空で、マルイの「OIOl」という字もよく見える。田舎から初めて都会に遊びに来た時、駅を結ぶ歩道橋から「OIOI」と書かれた建物を見つけた。私が「...おいおい?」と読むと友達が笑って「あれでマルイって読むんだよ」と言っていたのを頻繁に思い出す。この休憩室からマルイが見える度にあの日の事を思い出しては羞恥心がぶり返す。

さっきコンビニで買ったスパゲッティを食べようと袋の中を覗くと、スプーンが入っていないことに気付く。...すっかり忘れていた。私は柄にもなく(私の柄なんて誰も知らんだろう)スパゲッティを食べる際は、フォークとスプーンでクルクルする派なのである。たかがコンビニのスパゲッティであろうとそれは関係ないのである。いや、寧ろコンビニのスパゲッティだからこそ余計にフォークとスプーンでクルクルスパゲッティをしたい。フォークとスプーンでスパゲッティをクルクルすることの何が良いかというと、まず、無闇に大きなクルクルを作らなくて済む。適量の塊を作れるので口に運ぶ大きさが小さく丁寧で品があって良い。そして、具材と麺を絡める時にフォークだけで巻くよりもスプーンがあると麺と具が絡みやすくて大変よい。まあ別に、スプーンがなくても私はスパゲッティを食べるけど。...食べるけど。...食べるけどさーーー。
両手で何かをしていないと落ち着かないというのもまた一つの理由であったりする。お箸で食べるスパゲッティのお店がありますが、あれに対し「えっ!?どうして!?かれらはクルクルして初めてスパゲッティになれるというのに!?!どうして!?なぜ!?!スパゲッティからクルクルを除外した!?!」という気分になるのであまり好まない。(まあ食べるけど)結局残るんだ最後に。ミートソースのミートとソースが。これをキレイに食べたいからスプーンがほしいんだ。そして私の白いワイシャツにミートソースのシミが鮮明に映えている。これは小さなブローチだろうか。あゝ。

このビルの7階にある中庭で、何やらイケイケ女子、推定16歳くらいの女子3人がカラフルな敷物を敷いておしゃれなピクニックをしている。略してオシャピクだ。このグループの中心であろう女子がこれまた中心になってスマートフォンで多分写真を撮っている。こんな時代が、私にもあっただろうか、あったかもしれない。あったかもしれないし、なかったかもしれない。まあどうでもいい。どうでもいいけどスパゲッティにはフォークとスプーンがどうしても必要だし、マルイは初見でマルイとは呼べない。


#創作大賞2024
#エッセイ部門

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