【書くラジオ】#14 信号を変える係

最近、夜に散歩をしている。

と言っても、コンビニで缶ビールを買ったりしないし、時計の針は0時を差していない。(『クロノスタシス』きのこ帝国)

運動不足を解消するため、夜に一人で歩いているだけだ。散歩だなんて言うのもおこがましい。そう、ただのウォーキング。

大体1時間ちょっとのルートなのだけれど、信号に引っかかるか引っかからないかで所要時間がだいぶ変わることに気が付いた。私は音楽を聴きながら歩くので、信号待ちの時間が全く苦じゃない。だから、「これは渡り始めたらすぐチカチカするやつだな〜」と思ったら、たとえ信号が青だったとしても、次の青まで待ったりする。そのせいもあって、結局1時間半くらいは掛かることになる。

そういえば、小さい頃、信号は人が手動で変えているのだと思っていた。どこかに小さい監視カメラのようなものが付いていて、その向こうには「信号を変える係」の人がいて、一定のタイミングでボタンを押して、信号の色を切り替えている。本気でそう思っていた。

割と大人になってこの話を人にすると、「そんなこと考える人いないよ〜」と言われてしまった。本当にそうなのだろうか?私は、信号機が自動で切り替わっていると知った時、人間ってそんなに従順に機械に従っているのかと、かなり大きなショックを受けた。この心許なさも私だけのものかと、子供ながらに切なかった。

「そんなこと考える人いないよ」
そういうことこそ、今は書いてみたいと思っている。切なさの再利用。

だから、小さい頃の私、「信号を変える係」なんてことを思いついてくれてありがとうね。



#書くラジオ

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