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PMSと、彼女と私。

湯船に溜めたお湯の中に、浴室横の棚にストックしているお気に入りの入浴剤を、封を開けて落とす。無色透明だったお湯にゆっくりと溶け出す赤紫と仄かに香るベリーといちじくの匂いを感じながら、足先から湯船に体を沈めた。

昨夜は、いや、それよりも少し前からずっと心身の不調に苦しめられていた。
人に勧められ、自分でも飲んでみようと決めた低容量ピルを服用し始めたのは、今月の中頃のこと。飲み始めから妊娠初期のような症状が全身を襲い、それでも体が慣れる前だからと飲み続けた結果、日常生活(特にパートナーシップ)に支障をきたし始め、10日経ったところで服用を断念した。

それから数日、ただでさえ不調なところに、再開した自然生理によるPMS症状が猛威を奮い、昨夜がそのピークだった。我が家に滞在している彼が隣で穏やかに眠っている気配すらしんどく(彼は何も悪くないのに)、ベッドを抜け出してリビングのソファに、頭から被ったブランケットと一緒に丸まった。全身を世界から見つからなくすることで、何かから自分を守りたかった。独りには決してなりたくなくて、1人にはとてもなりたかった。

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