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娯楽にみる教養とマナビ

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教養のマナビは人生を豊かにする。味気ない物語も背景を知ると輝きだす。娯楽作品の中にあるマナビについて、他のクリエイターの皆さんの記事も含めてまとめています。今日から使えるちょっと…
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#生物

ゴリラの頭のコブは筋肉です:ゴリラとヒトの違い

ゴリラの頭はコブのように盛り上がっています。あのコブは非常に発達した側頭筋です。またゴリラは立派な牙をもち、赤い唇をもちません。ゴリラとヒトの側頭筋、犬歯、唇の違い。(吉野賢一) 側頭筋:口を閉じたり噛みしめたりするときに働く筋の一つが側頭筋です。側頭筋の一端は頭蓋骨に、他端は下顎に付着しています。目と耳の間あたりにコメカミと呼ばれる部位があります。コメカミの語源は「米噛み」です。口を動かしたり噛みしめるとき、この部位を指で触れると側頭筋の動きを感じることができます。 ゴ

ヒトは皮膚呼吸をするのか:007からの都市伝説

九州歯科大学で「呼吸」について講義をしているとき「ヒトが皮膚呼吸していると思う人?」と尋ねると何人か手を挙げる。「おいおい、ないだろ~」って言う話(吉野賢一) 呼吸:生物が生存するために必要な物質を外界から取り入れ、不必要な物質を外界へ放出することが必要。この生体と外界とのガスのやり取りを呼吸という。呼吸には内呼吸と外呼吸がある。内呼吸(細胞呼吸)は、エネルギー産生のために細胞と体液(血液)の間で起こるガス交換のことをいう。普通は呼吸というと外呼吸を意味する。脊椎動物の(外

カタツムリは右巻き?左巻き?: カタツムリの苦悩

カタツムリの殻の巻き方はその種で概ね決まっていることをご存じでしょうか?多くのカタツムリは右巻きです。カタツムリの殻の巻き方には深い意味があったことを解説します。(吉野賢一) カタツムリ:陸生の貝の仲間で殻を持つものをカタツムリ(蝸牛)、持たないものをナメクジと呼びますが分類学的な定義はとくにありません。基本的に貝の仲間(軟体動物)はエラ呼吸ですが、カタツムリ(ナメクジも)は肺呼吸なので大雨だと溺れます。雨のカタツムリを見て「喜んで動き回っている~」とはしゃぐ子どもには「安

新種メダマムシと珍獣げっぱめ:妻に笑いの神降臨

妻はタマムシを知らなかった。まあ昆虫に興味が無ければ知らないのは仕方がない。ファッションに興味ない私は「フェラガモってどんなカモだろう」って思ってた。(吉野賢一) タマムシ:昆虫図鑑のみならず国語辞典にも載っているコウチュウ目タマムシ科に属する昆虫。その体は緑をベースに深紅のツーラインが走り、全体的に金属光沢を有するとても美しい虫。 国会と法隆寺がお勧め:タマムシは議員さんの答弁や判断が好物らしく、国会開催中には飛び回るタマムシを観察することができる(玉虫色)。ゆっくりと

ハエが手を擦る理由はセンサーの掃除:俳人小林一茶からの学び

ハエがなぜ手をするのかはハエに尋ねるしかない。正解です。でもそんな身も蓋もない正解は横に置き、生理学的に解釈しましょう。(吉野賢一) 小林一茶:チョウ(約300句)やホタル(約250句)をはじめ、やたらと虫の句が多い俳人。ハエの句も約100句あります。なかでも「やれ打つな ハエが手をすり 足をする」が有名ですね。ちなみにハエの季語は夏です。 ハエがするのは手?:そもそもハエに「手」があるのか?昆虫の足は歩脚と呼ばれます。なので節足動物の昆虫の歩脚だから足や脚は良いけど「手

ガルバニの大発見はモズのおかげ:電池物語①

モズがいたからこそ電池ができたのかも知れない、というお話。私は、モズをみたら「ありがとう」って心の中で手を合わせてます。(吉野賢一) 奇妙な光景:イタリアにガルバニ(Galvani、1737-1798)という医師・解剖学者がいた。ある日、彼は奇妙な光景を見た。鉄柵から出た真鍮(銅と亜鉛の合金)の針にぶら下がって死んでいるカエルが、風に吹かれてブラブラしている。しかも、揺れるカエルはその体の一部が鉄柵に触れるたびに、脚をピクピクと痙攣させていたである。 カルバニの大発見とボ