文字認識

話はタイトルとは異なるとんでもないところに行きますので、長文がいやなかたは早々に退散してください。
乾さんから教えていただいた、「撮るだけ文字認識」アプリ。むっちゃ便利で重宝しております。

3ページの本の引用がちょっとした改行の修正と括弧の補正とかでできる。確か、池谷さんもこれではないだろうが、文字認識を使って本の検索ができるようにされておられるのだね。


認識のサンプルにしたのは、たまたまかばんに入っていた「トランスパーソナル心理学」岡野守也著

「トランスパーソナル心理学」岡野守也著

岡野守也さんは、吉福伸逸さんとトランスパーソナルに関する大量の本を翻訳するチームで翻訳されていた。たまたま、社内の要請によりサンプルでこんなふうにできるよって伝えようとしてスキャンした内容。

上記の本のP108ページから3ページ。偶然サンプルでスキャンしたところが、とても興味深いところだった。

ロベルト・アサジョーリ。ほとんど日本人は知らない。なぜなら翻訳されている和書は、一冊だけ。(なんとこの本、むっちゃ高いやんか。2005年に購入している。よかった)岡野さんの本に書かれているアサジョーリに関することは、実は知らなかった。(読んでないのかい。いやたぶん忘れているのだと思う)でも、アサジョーリさんはたくさんの本を書いていらっしゃる。残念ながら翻訳されていない。

「サイコシンセシスー統合的な人間観と実践のマニュアル (サイコシンセシス叢書) 」Roberto Assagioli著  国谷 誠朗, 平松 園枝 訳

翻訳って仕事は本当に大変だけど大事なんだね。お経もまさにそうだから。サンスクリッド・パーリ語から中国で翻訳されて日本に入ってきた。それを読み解いて今の仏道があるのだから。中国で命がけでお経を持って帰ってきて、人生をかけて翻訳された方々に本当に感謝です。

アサジョーリってすごい才能の方だったんだ。岡村先生、今日は毎日文化センターでユージン・ジェンドリンの講義だけど、今度トランスパーソナル心理学の講座をやって、ロベルト・アサジョーリを扱ってください。なんならSAMGHAでやってもらってもいいですよ。(聴きに来る人いるのかわからないけど)

で、引用文に書いてあるように、アサジョーリはブロイラー(オイゲン・ブロイラー。心理学の中では超有名です。食の話ではないです)の元で精神分析を学んだのですね。ブロイラーは、異端であったジークムント・フロイトの精神分析を世に知らしめた方であり、カール・グスタフ・ユングをフロイトの元に送った方でもあるそうです。

そんでアサジョーリの話題に戻って、この人のお母さんが「神智学協会」に入ってたんだね。しかし、「神智学協会」というのは、心理学や仏教に多大な影響を与えているんだ。もっとつっこんで研究しよう。

ということで、文字認識のお話でした。

以下「トランスパーソナル心理学」岡野守也著 P108から引用
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アサジョーリとサイコシンセシス

精神分析→実存人間性心理学→トランスパーソナル心理学という流れの線は、心理療法の目標が自己治癒から自己実現、さらに自己超越へと広がるプロセスと見ることもできる。 マズローは自己実現の極限に自己超越の面を見いだし、フランクルは意味志向の極限に自己超越の面を見たのだった。だが両者の理論は、ほぼそこでとどまっている。そういう意味では、トランスパーソナル心理学者としては先駆的存在である。

それに対して、最初のトランスパーソナル心理学者というにふさわしいのは、<サイコシンセシス>の創始者ロベルト・アサジョーリであろう。日本では、残念なことにこれまでほとんど紹介されなかった。ここで、おおまかに紹介しておきたい。

アサジョーリは、一八八八年、イタリアのヴェニスに生まれ、一九七四年に死亡した、ユダヤ系の心理学者・精神科医である。 八六年の生涯で、青年時代には、二〇世紀初め、創成期の精神分析運動に関わり、晩年には、六〇年代、トランスパーソナル心理学の創成に重要な役割を果たした。 二〇世紀心理学の根本的なターニング・ポイントに二度も立ち会うという希有の体験をした心理学者は、先のフランクルとこのアサジョーリくらいのものだろう。

アサジョーリは、日常的に流暢なイタリア語、フランス語、英語が使われる教養豊かな家庭に育ち、幼児期にすでにバイリンガルどころか三カ国語を自由に話し、学校でギリシャ語、ラテン語を学び、さらにドイツ語をマスターし、大学ではロシア語とサンスクリットをマスターしたという。こうした並はずれた語学力に加え、両親の勧めで早くからヨーロッパ諸国を旅行し見聞を広め、きわめて広い視野と国際的交友関係を作ったのである。

また、早くからダンテの『神曲』やプラトンの著作を愛読し、さらに、西洋に東洋宗教を理解させる上で大きな役割を果たした「神智学協会(Theosophical society)」 の会員であった母の影響を受け、 神智学やマックス・ミュラー訳の東洋神秘主義の文献に親しむなど、宗教的でありながら特定の宗教だけを信じ込むことのない開かれた雰囲気のなかで育った。後に形成された彼の<サイコシンセシス=精神統合>は、ある意味で、そういうものから受けた多種多様な影響を自分自身のなかで統合する作業でもあったといえよう。

アサジョーリは、早くから神秘主義に心惹かれていたが、しかし科学的でもありたいと願った-これはトランスパーソナリストに共通した傾向である -ので、その双方への関心を満たすために大学では精神医学を専攻した。 しかし、当時も今も医学的精神医学は、心を脳や脳の神経組織の機能に還元し、その機能障害の解明と薬物や手術による治療に向かう傾向が強い。かんじんの〈心〉はほとんど問題にされないから、彼の期待はまったく満たされず、強い不満を感じていた。そういうとき、創成期にある精神分析を知ったのである。おそらく踊り上がるような気分だっただろう。 青春の模索の時期に求めていたようなすぐれた思想に出会うのは、体験した者にしかわからない大変な喜びである。

アサジョーリは、これなら二つの関心領域を統合できるのではないかとひじょうに期待した。修士論文でフロイトを論じ、フロイト直接の教育分析こそ受けなかったが、スイスに留学し、チューリッヒ大学のオイゲン・ブロイラーの下で精神分析を学んだ。

ブロイラーは、アカデミックな精神医学の世界ではもっとも早くフロイト理論を採り入れた精神医者である。同じ頃、彼の下にはユングもいて、若きアサジョーリの才能を高く評価し、以来生涯親しく交流することになった。






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