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部下のキャリア形成のサポートがChatGPTを使ってできるのか試行錯誤してみる
今回はどのように部下のキャリア形成をサポートできるのか、実際に自分が行った具体的な話をしようと思う。
キャリア形成のひとつの手法として、スキルギャップ分析というものがある。詳細の説明はこちらで割愛するが、端的に言うと、チームメンバーの「あるべき姿」と「現状」のギャップを分析することである。また、アクションプランとしてこのギャップを埋める方法を検討するプロセスであり、以下のような手順を踏む。
1.チームメンバーに求められる、あるいは伸ばしたいスキルを定義する
まず上司と部下でブレインストーミングの機会を設け、業務上必要なスキルを5つほど書き出し、求められる理想のレベルを5段階で定義する。
2.チームメンバーの現在のスキルを把握する
リストアップされた各スキルについて、現在の自分のレベルを5段階で評価する。同じように、各スキルについて求められるレベルも5段階で評価する。
3,この2つの間にあるギャップを明確にする
5段階評価に基づき、伸ばすべきスキル、伸ばさなくても良いスキルを定義する。
4,具体的なアクションプランを考える
成長のための長期的な計画を検討する。トレーニングコースなどの学習機会の提供、チームメンバー間での知識共有の促進、挑戦することで成長できるプロジェクトを担当してもらうことなど。
これらのプロセスは、マネージャーとチームメンバーの間で対話を通じて進められることになるが、以前から私自身が感じている疑問点があった。
チームメンバーに求められるスキルは、マネージャーが的確に定義することができるのだろうか?マネージャーの主観的な意見や感覚が結果に大きく影響する可能性はないか?
チームメンバーの個人的なキャリア目標や希望が、マネージャーの考えるチーム目標と乖離する場合、どのようにディスカッションを進めていくべきか?
定義されたスキルについて、マネージャーの知識がない場合は、どのようにアクションプランを考えるべきか?
これらの課題に対しては、外部の専門家を招いてクロスギャップ分析のワークショップをひらくこと、他部署の経験豊かなメンバーの協力を依頼してクロスファンクショナルなミーティングを設けたりすること、それらによって、私自身やチームが持っていなかった視点や知識を取り入れることができる。しかしながら、多くの中間管理職の現場仕事では、そこまで有用なお金や時間的なリソースがない状況というケースも多いのではないだろうか。
わたしはChatGPTを活用し、スキルギャップ分析ができるのかどうか試してみた。ここで考えていたのはふたつあり、ひとつは主観を排除すること、もうひとつは自らの経験や知識に頼らないことである。
以下が実際のプロンプトになる。
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ここで挙げられた10の項目をもとに、私は対象のチームメンバーとブレインストーミングをはじめたが、素晴らしい経験だった。
各項目について、会社の現在の戦略や個人の意向を踏まえ、非常に建設的な会話ができたのである。また、ChatGPTが具体例を出してくれるため、たとえばデジタルマーケティングで言えばSEO、SEMといった細かい粒度に落とし込んだ状態でブレインストーミングをすることができたのだ。
ChatGPTで追加で会話をすることによって、その粒度はさらに細かくなる。例えば部下が「デジタルマーケティング」の領域で強い関心を持っているのであれば、以下のようなプロンプトを追加することにより、さらに視野を広げながらスキルギャップ分析をすることができるだろう。
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もうひとつ試行錯誤したことがある。それはチームメンバーに対して、「会社が求める貢献やマーケティングマネージャーとしてのスキルセットにこだわらず、あなたの個人的な希望で伸ばしたい領域はありますか?」と尋ねたことだ。チームメンバーは「マーケティングだけではなく、グラフィックなどのクリエイティブな仕事にも挑戦したい」という意見を出してくれた。
彼の意向を踏まえると、「グラフィックデザインもこなせるマーケティングマネージャー」という立場を目指すことになる。この課題についても、私はChatGPTを活用して解決できないか試みてみた。なお、プロンプトは前述のアウトプットに繋げて文脈を引き継ぐ形とした。
![](https://assets.st-note.com/img/1708745952243-tSZendyvX8.png?width=1200)
わたしはグラフィックデザインの専門家ではない。そもそもどのようにグラフィックデザインを学ぶことを奨励すればいいのか、どのような機会があるのかはわからない。しかしながら、ChatGPTの助けを借りることで、ある程度のガイドラインを提示することができた。
このアウトプットを下に、部下に何ができるかを自ら考えてもらうこととした。私はマネージャーとしてこれらのラーニングのための時間を就業時間中に確保できるように仕事の負荷を調整することと、必要であればトレーニング費用などの予算を工面すること、また部下のラーニングプロセスを見守り奨励することなどに徹することとした。部下の満足度は高いものだった。
この試行錯誤を通じて、マネージャーとして得た知見が3つある。
ChatGPT を活用することで、マネージャー個人のスキルや経験、あるいは過去の成功体験などによる、主観的なバイアスを排除したキャリアパスを提示することができる。
キャリアディベロップメントのためのスキルセットについてはChatGPTにアドバイスを任せることができる。複数の選択肢をChatGPTに提示させ(ここが"Probablity game" に通じる部分である)、最終的に当事者が意志決定をするプロセスがうまくいく。
マネージャーは、メンターシップに徹することがより重要になってくる。ChatGPTによって生まれた余力は、メンバーとの人間関係の構築に専念すること、チーム全体のプロジェクトアサインの最適化、あるいは予算の確保などの社内調整業務などに使うことができる。
ここまで述べてきたことは、ChatGPTを活用し、満足度の高い職場環境の構築に寄与できる一つの成功事例だ。
そして、人間のマネージャーにしかできないことが、まだまだあるはずだ。
少なくとも今のところは。
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