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現時点で人間がAIよりもはるかに得意としている数少ない能力を考えた

ChatGPTのサブスクリプションを開始し、GPT-4を実務的に使い始めて気づいたことがいくつかあるので、私は記憶が新鮮なうちに書き留めた。

まずはメールの返信の作成だ。自分で丁寧な文章を書くのが億劫になるようなケース、例えばミーティング時間の調整といったタスクがある。端的に以下のような指示を出すと、数秒でドラフトのたたきをを仕上げてくれた。

プロジェクト名や目的と行った、補足すべき情報を列挙してくれている。ミーティング形式の希望を伺うなど、相手に聞くべき項目の補足もしてくれる。

次に、自分が業務で物事を考える際のブレスト相手として試行してみた。

このアウトプットにも驚きを覚えた。LinkedInが日本でどの程度通用するのかは気になるが、それ以外については体系的な回答であり、これらを抑えておけば十分な成果が得られると言う感想だ。もちろん社内事情や競合環境など、ここにインプットしていない情報を踏まえて検討を重ねる余地は在るが、「ブレスト相手」という期待値は軽く突破している内容である。

ここまでの試行で、私が人間として直感的に抱いた感想がふたつある。ひとつは、これによって自分の業務効率は圧倒的に上がるという確信だ。自分が手を動かしてこなすタスク、例えばメールの管理と対応、ドキュメント作成と編集、データ分析、ちょっとしたリサーチ、また会議録の作成などは、AIがサポートしてくれるようになるということだ。

もうひとつは、これによって自分のマネージャーとしての仕事は代替されるだろうという危機感だ。

その業界でこれまで得た知識と経験は、多くのマネージャーがチームメンバーを成功を導くために重要なものだった。過去の成功体験を共有すること。専門的な業界知識を教育すること。ときには部下の見本となるために、自らが手を動かして実演してみせること。職場で経験値がある人間が管理職に就く理由の一つが、かつては知識と経験の豊富さだった。

少なくとも私が大学卒業時に戻り、社会人生活を今からやり直すことができるならば、過去の気難しいマネージャーと会話を重ねるよりも、AIとの対談を選ぶだろう。AIはその日の機嫌によってアドバイスの内容を変えたりはしない。バイアスのかかった10年前の成功体験を押し付けることもない。仕事の進め方について型に当てはめることもない。

だから、中間管理職は、今後2−3年で不要になる可能性がある。いや、もしかしたらもうすでに不要なのかもしれない。ChatGPTがオフィスワーカーをサポートする時代に、中間管理職の私は、部下になにか与えられるものが残るのだろうか。

このnoteでは、以下のような考え方で、これから様々な私の試行錯誤をケーススタディとして提示し、考察を深めていくつもりだ。

  • 今後数年で、マネージャーのどのような業務がAI代替されるのか。

  • どのような業務で、AIとマネージャーは協業すべきなのか。

  • AIに全く頼れない業務は在るのだろうか。

  • 本質的に、AI時代のマネージャーの役割とは何なのか。

ただし、わたしが実務上直面したノンフィクションの話をベースにはしているが、職場でのプライバシーや会社の機密情報に接触しないため、本質を見失わないレベルで一部フィクションを加えていることはご容赦いただきたい。

また、ChatGPTの技術的な側面にも触れ、「なぜなのか」という理解ができるレベルまで可能な限り、掘り下げていく。

因果関係や理由を理解することは、現時点で人間がAIよりもはるかに得意としている数少ない能力のひとつだからだ。

少なくとも今のところは。

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