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絶望の処方箋

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絶望した時の処方箋として。
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#エッセイ

寛容性を失いつつある日本を救う処方箋(横山慶太『日本一、大まかな娘。アイラブ お…

何をするにもおおまかな「おおま かなこさん」の日常を描いた、いい意味で「どうでもいい」行…

杉原 学
3年前
6

生命を捨てるぐらいなら言葉を捨てろ(大熊玄編『はじめての大拙』を読んで)

「読みやすさのために内容を犠牲にしない」という編者の姿勢がにじみ出ている気がして、とっつ…

杉原 学
3年前
6

動物も、死者も、自然も、働いている(梨木香歩『家守綺譚』を読んで)

夢とうつつの境界線に迷い込んだような、不思議な気持ちにさせられる物語。でもほんの少し前ま…

杉原 学
3年前
12

「死に方」を考えることは「生き方」を考えること(小澤竹俊『今日が人生最後の日だと…

「あした地球が滅びるとしたらどうする?」 誰もが一度はこんな話題で盛り上がったことがある…

杉原 学
3年前
10

「幸せとは魂の次元で到達するもの」(バート・ヘリンガー著、谷口起代訳『いのちの営…

訳者が述べているように、ここでの<いのち>とは、いわゆる個人としての「自己」のことではな…

杉原 学
3年前
6

「天才」を持って生まれた人間の宿命(団鬼六『真剣師 小池重明』を読んで)

「本を読むと眠くなる」というのを利用して、読書を睡眠導入の儀式に利用している杉原です。 …

杉原 学
3年前
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「悪い人間という一種の人間が世の中にあると君は思っているんですか」(夏目漱石『こころ』を読んで)

『こころ』との出会いは、高校の教科書に載っていたものを読んだのが最初であった。おそらく、僕と同年代の人々は大抵そうなのではないだろうか。 それは思春期の若者の心に、鮮烈な衝撃を与えた。教科書の文章というカテゴリーを超えて、僕の心を捉えた。「自分のことが書いてある」と、僕は本気で思ったのだった。 国語のテストでも『こころ』についての出題があった。当時の僕は国語を最も得意としていたので(算数は散々だった)、その時もかなりいい点数を取った。しかし国語の先生はその「点数」ではなく

苦しみはよりよく生きようとする人間の証(吉野源三郎、羽賀翔一『漫画 君たちはどう…

異例のヒットを飛ばした漫画。ご存知のとおり、1937年に出版された『君たちはどう生きるか』を…

杉原 学
3年前
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人生の袋小路にいる人へ(田中慎弥『孤独論 逃げよ、生きよ』を読んで)

僕が田中慎弥氏のことをはじめて知ったのは、テレビで放映された芥川賞授賞式の映像でだった。…

杉原 学
3年前
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内なる自然性を信頼する(星野文紘『感じるままに生きなさい』を読んで)

実に僭越ながら、拙著『考えない論』を彷彿とさせる内容で、終始ウンウンとうなずきながら読了…

杉原 学
3年前
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人生は一度しかない(藤子不二雄『まんが道』を読んで)

これを読んでいるあいだは、本当に青春時代に戻ったような気持ちになってしまった。けれども、…

杉原 学
3年前
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「よし、駄目になってやろう」(岡本太郎『自分の中に毒を持て』を読んで)

僕の人生に最も大きな影響を与えた一冊。当時勤めていた会社を辞めたのも、今思えばこの本の影…

杉原 学
3年前
9

「魂の声」に耳をすますこと(大津秀一『「いい人生だった」と言える10の習慣』を読ん…

「人生最後の日を考えたことが、ありますか?」 この本の表紙に書かれた言葉である。 子ども…

杉原 学
3年前
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プレッシャーに弱い人間の可能性

世の中には、プレッシャーに強い人もいれば、弱い人もいる。では、どちらのほうが大きな仕事を成し遂げられるかと言えば、そりゃプレッシャーに強い人だろう、と考えるのが普通だろう。僕もそう思っていたのだが、これはもしかすると逆かもしれない、とふと思った。 もしプレッシャーというものが、「他人や自分自身からの、自分に対する期待」から生まれる精神的な重圧だとすれば、プレッシャーに強い人というのは、そんな期待にしっかり応えられる人、ということになる。だからプレッシャーに強い人は、「あいつ