【今だからこそ、発達障害グレーゾーンをちゃんと理解しよう④】~イメージができない人たち~
ことばが広がってきた今だからこそ知りたい
今回はパート4ということで、イメージができないことについて整理していきます。
「イメージができない」
=「目の前にないものをイメージしたり、図式化する力が弱い」ということ。
この力が弱いと、次のような困り感がでるんよ。
●よくしゃべって、一見社交的に見えても、会話が一方的になったり、場の空気や相手の反応がわからない。
●細かい一つ一つの事実にとらわれて全体が見えない。だから、いつも同じような愚痴ばっかり言っている。
これは周りが「ん?」と違和感を感じたり、一緒におるのが楽しくない・苦しいとかって感じることも多い。
でも、うまくコミュニケーションがとれんくて、本人が困ってることも多いんよね。
今回の記事で、イメージするのが苦手でも得意でも、コミュニケーションで相手の人を気遣うきっかけにしたい。
自分とほかの人って見えてる世界が意外と違うんよね。
この記事で何がわかるか?
◎イメージする力が弱いと、どんな問題があらわれるのか?
◎イメージする力が弱い人の発達障害グレーゾーンの代表的な2つのタイプ
●そもそも、「イメージする力が弱い」とは、どういうことか?
ウェクスラー式知能検査(WISC【ウィスク】・WAIS【ウェイス】)の
4つの能力のうち、「知覚統合(知覚推理)」の力が弱い ということ。
※ウェクスラー式知能検査(WISC【ウィスク】・WAIS【ウェイス】)のおおまかな説明は次の記事を見てね。
◎知覚統合ってどんな力?
◇知覚統合(知覚推理):(視覚👀)視覚情報を正確に理解し、表現する力
「視覚情報を正確に理解する」をもう少し詳しく見ていくと・・・、
①視覚的な情報を処理する。
②視覚的な情報と意味を結びつける。
③視覚的な情報から意味や規則性を読み取る。
さらに、①~③みたいに目の前にあるものを処理したり、意味を読み取るだけでなく、
④目の前にないものをイメージしたり図式化する力
これは、数学の問題を図に表すことで、理解して答えを導き出すようなことやね。
➡知覚統合の力が弱いと、目から入ってくる情報を正確に理解できないから、その場の状況判断が苦手で、ふさわしい行動がスムーズにできない。
状況判断が苦手でふさわしい行動がスムーズにできなくて日常生活に支障がでてくると、ASD(自閉スペクトラム症)のグレーゾーンといえる。
確認やけど、「日常生活に支障が出てくる」っていうのが「障害がある」ってことやったね!
◎急にASD(自閉スペクトラム症)ってでてきたけど何!?
ということで、ASDについて少し復習ね。
◇ASD=社会的コミュニケーション障害+2つ以上のこだわり症状
で診断されるんよ。詳しくいうと・・・、
◇知覚統合の力が弱い
➡目から入ってくる情報を正確に理解できない
➡その場の状況判断が苦手で、ふさわしい行動がスムーズにできない。
これに関係するのは?そう。社会的コミュニケーション障害やね。
だから、ASD(自閉スペクトラム症)のグレーゾーンになるってことやね。
◎大切なことは診断名よりも特性を理解し、対処すること。
だから、イメージできない人は、ASD(自閉スペクトラム症)のグレーゾーン。
でも、大切なのは診断名よりも特性を理解し、有効な対処につなげること。
今回は、イメージする力が弱い(つまり、知覚統合の力が弱い)ことで、その場にふさわしい行動がスムーズにとれなくて生活に支障がでてるってことやね。
(ことばがむつかしくてよくわからん!結局、見て理解する力(👀)が弱いと何が問題なん?)
①知覚統合が低いと、どんな問題があるの?
Ⅰ.数学や物理の成績が悪くなる。
図形で表したり、図を理解して答えを出すのが苦手やからね。
Ⅱ.円滑なコミュニケーションが取れない。
◇周りの状況判断が苦手やから、場の状況や暗黙の意味に気づけない。
(「暗黙の意味」っていうのは、ことばになってなくても、みんなが納得してること。暗黙の了解とか暗黙のルールとかでも使われるね。例えば、車は法定速度よりちょっと速く走ってる、とか。)
◇相手の話をききとれない。
・「それ、あっちに置いといて」がわからない。
・こみいった内容になると理解できない。
Ⅲ.細かい1つ1つの事実にとらわれて、全体が見えない。
◇物事のベースにある構造や関係を把握するのが苦手。
➡物事を客観視して全体を見ることが難しいんやね。
だから、背景にある本当の問題がわからず、同じ不満や嘆きを繰り返す傾向がある。
(なるほど、知覚統合の力が弱いといろんな問題が出てくるんやね。ちょっとわかってきたぞ)
②代表的な2つのタイプ(知覚統合が低いグレーゾーン)
知覚統合の数値が低い人で代表的なタイプは2つある。
この2つのタイプは、
共感性が高いか低いか、っていうことでわけると
理解しやすいんよ。共感性が高いか低いかっていうのは、人の気持ちを理解しやすいかどうかってことやね。
「ASD(自閉スペクトラム症)は、人の気持ちがわからん」っていう知識があるかもしれんけど、今回の「知覚統合の数値が弱い人(イメージができない人)」の中には、共感性が高い人もいるんよね。
図を大きくするわ。
◎Aタイプの人は、知覚統合の数値が低くて、共感性も低い人
➡言語・記憶が強いASD(自閉スペクトラム症:アスペルガー)タイプ
過敏で緊張が強くて自閉傾向が強いタイプ。よくしゃべって、一見社交的。でも、会話が一方的で、場の空気や相手の反応を見るのが苦手。
◇問題としてあらわれやすいのは、さっき説明した
Ⅰ.数学や物理の成績が悪くなる。
Ⅱ.円滑なコミュニケーションが取れない。
特にⅡが苦手なんよね。
こういう人は、成績優秀やのに就職で苦労する人も多い。
(なぜなら、就職試験でよく使われるSPIっていう試験が、学力検査と知能検査の中間に位置するような試験やから、知能検査で出るような数値が低くなっちゃうんよね)
※ちなみに、自閉スペクトラム症のアスペルガータイプの人には、知覚統合が高い人もいるよ。
◎Bタイプの人は、知覚統合の数値が低くて、共感性が高い人
➡言語・聴覚タイプ
◇このタイプの人は、言語理解や耳からの情報収集が得意なんよね。
女性脳、文系脳、Eタイプ(共感タイプ)とか言われる。
(女性脳とか文系脳とか、ことばとしては正確じゃないけど(実際には女性に多いわけじゃないし・・・)、どんな感じかイメージしやすいよう書いたよ。でもこれって偏見やね。)
◇問題としてあらわれやすいのは、さっき説明した
Ⅰ.数学や物理の成績が悪くなる。
Ⅲ.細かい1つ1つの事実にとらわれて、全体が見えない。
特にⅢが苦手なんよね。
こういう人は、物事を感情的に捉えすぎてしまうんよね。
さらに、全体像をみるのも苦手やから、同じ不満とか嘆きをくりかえしてしまうんよね。
(なるほど。知覚統合の数値が弱い人は共感性の高低で2つのタイプにわけられるっていうことやね。じゃあ、2つのタイプを分かったうえで日常生活の支障が少なくなるように工夫をしていけばいいわけやね!)
③知覚統合は鍛えられる
最後に、知覚統合は鍛えられるっていう話をして、今日の話をおしまいにするわ。
◇理想は、遊びの中で知覚統合を鍛えること
例えば、幼いうちはブロックのおもちゃとかパズル。
将棋やオセロ、ボードゲーム、パズルゲーム
➡完成図とか相手の動きをイメージするような遊びやね。
※これらの遊びが好きな人は、数学が得意な人も多いよね。
逆に言うと、数学や物理の勉強をしてても鍛えられる!ってことやね。
◇文章や聞き取った話を図式化して整理すること
学校でノートをとるという基本的な作業がとても重要
※学校で、(なんでノートなんかとらなあかんねん!)って疑問に思った人もおると思うけど、知覚統合、つまりイメージで考える力を鍛えるトレーニングになってたんやなぁ。
★ポイントは、今からできることを考える!ということ。
(ここまでの話をきくと、「若いうちにやっとけばよかった」と思うかもせんけど…)。人生は気付いたときが最速!今からできることを考えるのがポイント。
◇ヘタでもいい、負けてもいい、苦手でもいい、
でも、ちょっとでも変えたいと思ったら、まずはやってみたらいい。
(僕も動画をつくったり、記事を書いて整理することでうまくなってる。・・・。気がする・・・。)
そして、少しでも、楽しいかも、好きかもと思えたらステキ。
今からでも知覚統合は鍛えられる!
参考書籍
①岡田尊司著『発達障害「グレーゾーン」その正しい理解と克服法』SBクリエイティブ株式会社刊(2022年)。 ②「WAIS・WISCとは?ウェクスラー式知能検査の特徴、種類、受診方法、活用方法のまとめ【専門家監修】」『りたりこ発達ナビ』 https://h-navi.jp/column/article/725
今回の感想
「イメージできない力」って周りから見えないから、ほんまに苦しいと思う。周りから見えないのにいろいろな問題が出てきて、本人や周りが苦しんでしまう。
でも、障害とかグレーゾーンについての理解が深まれば、自分や周りへの理解が深まって対処ができるかもしれん。サポートができるかもしれん。理解を深めることで、日常生活の支障が減らせるって考えると、やっぱり障害について学ぶことって大切なんやなぁと実感する。
数十年前には、存在すら認識されていなかった「生きづらさ」に名前がつく。
➡少しでも対処が進んでいって、みんなが生き生きと生きられるようになっているなら、良い方向なんやろうな。でも、逆に生きづらさが増えてるとも考えられるんかなぁ・・・。実際はどうなんやろ。
みんなはどう思う?
動画は下に貼っときます!よければ、ぜひ見てください!
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